●被害者情報が漏れる心配を軽減する配慮
被害者にとっては、自分の連絡先が加害者側に伝わることへの強い不安があるのが一般的です。しかし、弁護人が被害者から連絡先を知った場合、その被害者の情報を加害者側(依頼者である息子さんやご家族)に対しては一切教えないこととされるのが通常です。
これは、弁護士には守秘義務があります。被害者としても、連絡先が加害者本人には知られないという安心感があるため、この方法であれば示談交渉に応じてもらいやすくなるというメリットがあります。
もちろん、被害者の意思が固く、弁護人にも連絡先を教えないことはありますし、示談交渉をしてもうまくいかないこともあります。お金を払って弁護人を選任しても、示談ができない可能性がある点には注意してください。
なお、相談者の息子さんが逮捕・勾留されて身柄を拘束されている場合には、国選弁護人をつけることができる可能性があります。この場合は費用がかからない可能性があります。
●具体的な対応策と注意すべきポイント
相談者が取るべき具体的な対応策と注意すべきポイントは、以下のとおりです。
すぐに弁護士に相談する
被害者への謝罪と反省の意を示す準備をする:示談交渉に入る前に、弁護士を通じて謝罪の意を伝えられるよう、ご本人やご家族が深く反省し、誠意をもって対応する姿勢を整えておくことが重要です。謝罪文などを用意し、被害者に渡すこともあります。
示談金の準備:具体的な金額は事案や交渉によりますが、示談交渉が始まった際にスムーズに進められるよう、ある程度の示談金(賠償金)の準備を進めておくことが一般的です。
なお、示談金の金額はケースバイケースです。衣服の上から軽く触った、というケースなのか、不同意性交等罪などに該当するようなケースなのか、被害者の態度や加害者側の資力の問題もあるでしょう。しかし、数十万円以上は覚悟した方が良いでしょう。
また、「分割払いできないか」というご相談も良く受けますが、被害者はほとんどの場合、加害者側とできるだけかかわりを持ち続けたくないと考えているため、一回払いを前提に考えるべきでしょう。

