隕石の衝突で災害が起きる確率
では、こうした災害はどの程度起こり得るのでしょうか? 吉川さんによると、小惑星が地球に衝突する確率は、太陽系に存在する小惑星の分布予測からある程度見積もることができ、小惑星が大きければ大きいほど確率は小さくなります。例えば、チェリャビンスクレベル(直径20m弱)の小惑星が衝突するのは数十年に1度、ツングースカレベル(直径50~60m)の小惑星が衝突するのは数百年~1000年に1度と推定できるそうです。
各国の宇宙機関が常時監視
しかも、地球に接近する小惑星は、各国の宇宙機関が国際的に連携して常時監視しています。「恐竜を滅ぼしたような直径10kmの小惑星はほぼ発見されていて、近い将来衝突する可能性はない」と吉川さん。小さくなればなるほど、望遠鏡でキャッチするのが難しくなりますが、大きな望遠鏡による観測も始まりましたし、今後、宇宙からの観測が始まれば地球に接近する小さな小惑星がより多く発見されることになるでしょう。
衝撃波をもたらす隕石の衝突は予測できない?
災害の観点から言えば、厄介なのが直径20m弱の場合です。2013年、ロシア・チェリャビンスク州に直径17mの小惑星が衝突した時は予測ができず、突然、衝撃波が発生しました。その後、小惑星の観測網はさらに充実しましたが、それでもこの程度の大きさだと、地球に衝突するのがわかるのがせいぜい数日前。しかも、事前にわかるのは太陽の反対側の暗い方向から接近する時だけです。小惑星の観測は高精度の天体望遠鏡を使っているので、太陽のある、昼間の方向から接近すると空の明るさで観測することができません。
衝撃波から身を守る方法
隕石の衝撃波から身を守る方法が確立しているわけではありませんが、窓ガラスやドアの近くに寄らず、屋内にいる時は外が見えない場所に移動することが大切です。太陽の方向から接近した場合は難しいですが、暗い方から接近して衝突が事前に把握出来る場合は、日本の「〇〇地方」といった範囲まで絞り込むことができるそうなので、将来、災害対策のなかに隕石の落下予測やその対策が組み込まれるかもしれません。
