隕石が地上に落下して起きる災害とは?地球防衛の専門家に聞きました!

隕石が地上に落下して起きる災害とは?地球防衛の専門家に聞きました!

「プラネタリーディフェンス」とは

さて、こうした小惑星の衝突を監視し、災害を防ごうというのが「プラネタリーディフェンス」(地球防衛)という活動です。1990年代初めに有志の天文学者の間で始まり、当初はスペースガードと呼ばれていました。その後、国連で議論されたり、米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)など各国の宇宙機関が連携したりするなどして、国際的な協力態勢が充実してきたことで、小惑星の発見が急増。2025年4月現在、地球に接近する小惑星は38,129個が見つかっています。

■地球に接近する小惑星の発見数の推移

(縦軸が発見した数、横軸が年。オレンジが直径140m以上、赤は直径1km以上)(JAXA提供)

軌道の推定が重要

ある程度の大きさがあり、衝突すればより大きな災害をもたらす危険のある小惑星は、遠くからでも観測できるので、早く見つけて軌道を正確に推定することが大切です。
下の図は2024年に発見された直径約60mと推定される小惑星の軌道です。地球の軌道は青、小惑星の軌道は白で表しています。

■2024年に発見された小惑星の軌道

(米航空宇宙局ホームページより)

この小惑星は、年の暮れも押し迫った2024年12月27日に発見されました。当初の観測で2032年に地球に衝突する可能性があるとして緊張が高まりましたが、各国の宇宙機関が集中的に観測を続けた結果、衝突の可能性は低いとわかりました。図のように、小惑星は偏った楕円軌道を描くことも多く、観測データを集めることが正確な軌道計算の土台となります。

衝突を回避するには

軌道計算で地球に衝突する可能性が高いとわかった時には、どうすれば良いのでしょうか? プラネタリーディフェンスのもう一つの大きな役割が、天体の地球衝突を回避する方法の研究です。NASAは2022年9月、無人探査機DART(ダート)を直径約160mの小惑星に衝突させ、その軌道を変える実験に成功しました。他にもいろいろな方法が考えられ、小惑星の大きさによって使い分けられていく可能性がありますが、ダートの実験は、現実的な回避方法として期待を集めています。

配信元: 防災ニッポン