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首都直下地震の危険地域ランキング 新たな被害想定でわかったこと

首都直下地震の危険地域ランキング 新たな被害想定でわかったこと

写真:PIXTA

地震調査研究推進本部地震調査委員会によると、M(マグニチュード)7程度の「首都直下地震」が今後30年以内(2020年1月24日時点)に70%の確率で発生するといわれています。首都直下地震が発生した場合、「自分の住んでいる場所では、どれくらいの被害を受ける可能性があるのか」を知りたい方も多いのではないでしょうか。

東京都では、首都直下地震が発生したときの建物倒壊危険度や火災危険度などを市町村ごとに示しています。首都直下地震によるリスクを知るためにも、危険地域を把握しておきましょう。この記事では、首都直下地震における危険度が高い市町村や危険度を判断する方法、対策などを紹介します。

区市町村危険度ランキング

下の表は、東京都で地震が発生したときの危険地域をランキングにしたものです。まずはご覧ください。

ランキング 区市町名 危険量(棟/ha) ランク
1 荒川区荒川6丁目 9.36 5
2 荒川区町屋4丁目 9.06 5
3 足立区柳原2丁目 8.63 5
4 足立区千住柳町 8.53 5
5 墨田区京島2丁目 7.95 5
6 墨田区墨田3丁目 7.74 5
7 足立区千住大川町 7.22 5
8 江東区北砂4丁目 7.11 5
9 墨田区押上3丁目 7.10 5
10 足立区関原2丁目 6.78 5
11 大田区羽田6丁目 6.37 5
12 荒川区南千住1丁目 6.00 5
13 北区志茂4丁目 5.78 5
14 北区岸町2丁目 5.52 5
15 墨田区東向島1丁目 5.43 5
16 江東区北砂3丁目 5.39 5
17 葛飾区東四つ木3丁目 5.34 5
18 江東区北砂6丁目 5.29 5
19 墨田区八広3丁目 5.19 5
20 足立区中川2丁目 5.09 5
21 足立区千住4丁目 4.87 5
22 荒川区西尾久6丁目 4.82 5
23 荒川区南千住5丁目 4.76 5
24 大田区羽田3丁目 4.72 5
25 足立区千住寿町 4.70 5
26 荒川区荒川3丁目 4.64 5
27 荒川区町屋2丁目 4.63 5
28 荒川区西尾久5丁目 4.59 5
29 墨田区墨田4丁目 4.54 5
30 大田区西蒲田4丁目 4.53 5
31 足立区千住元町 4.52 5
32 北区志茂5丁目 4.39 5
33 足立区柳原1丁目 4.33 5
34 大田区仲六郷2丁目 4.32 5
35 江戸川区平井2丁目 4.29 5
36 墨田区京島3丁目 4.24 5
37 江戸川区平井1丁目 4.22 5
38 江戸川区小松川4丁目 4.20 5
39 墨田区東向島6丁目 4.20 5
40 足立区千住龍田町 4.10 5
41 荒川区東尾久6丁目 4.07 5
42 荒川区西尾久2丁目 4.06 5
43 北区豊島3丁目 4.05 5
44 大田区西蒲田1丁目 4.02 5
45 江東区大島7丁目 4.01 5
46 葛飾区鎌倉4丁目 3.99 5
47 荒川区町屋3丁目 3.93 5
48 葛飾区西新小岩5丁目 3.92 5
49 新宿区若葉3丁目 3.92 5
50 墨田区立花2丁目 3.89 5

出典:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」

ランキングを見てもわかるように、危険量(棟/ha)が多いほど上位になっています。危険量とは、地震による建物倒壊や建物全焼棟数が1haでどれくらいの棟数になるかを数値化したものです。建物については「建物倒壊危険度」、火災については「火災危険度」として公開されています。

危険度のランキングで使用されている危険量は、建物倒壊危険度と火災危険度を足して、さらに災害時活動困難係数(※)を乗じて算出されています。そして総合危険度の順位によって1~5のランク付けがされており、数値が高いほど危険性が高いことを示します。

たとえば、ランキング1位の荒川区荒川6丁目における危険量は「9.36」となっていますが、地震が発生したときに1ha(100m×100m)あたり9.36棟の建物が倒壊・延焼する可能性があるということです。また、1位(荒川区荒川6丁目)の危険量が9.36棟であるのに対し、50位(墨田区立花2丁目)の危険量は3.89棟となっています。

墨田区立花の方が危険量は小さくなっているものの、1haに3.89棟もの建物が被害を受ける可能性があるため、ランキング下位やランキング外であっても安心はできません。危険量は町丁での平均数値です。特に住宅が密集している場所では、予想されている危険量を超えて被害が発生する可能性もあります。

総合危険度ランクが高いエリアは、東京都都市整備局で公開されています。

※災害時活動困難とは、災害時の避難・消火・救助・救援などの活動が困難な領域の面積を表す指標

出典:東京都「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)

マップを見ると、住宅が多い東京都の東側に総合危険度が高いエリアが集中しているのがわかります。

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地震危険度の高いエリアの見分け方

総合危険度は、地震の揺れによる建物倒壊や火災による建物延焼などのリスクが重視されており、津波や土砂崩れの被害については考慮されていません。

地盤の液状化については、総合的な危険度による建物の被害にも考慮されています。しかし、建物の被害には「耐震性があっても液状化に弱い」ケースもあるため、液状化そのもののリスクを把握しておく必要もあります。

ここでは、総合危険度以外で地震による危険度が高いエリアを見分ける方法を紹介します。

津波

出典:国土交通省「重ねるハザードマップ」

東京都では大地震が発生した際、首都直下地震の場合は1m以下、相模トラフが震源の場合は2m~3mの津波が予想されています。重ねるハザードマップによると、総合危険度のランクが比較的低い海岸沿いを中心に津波による浸水が予想されているため注意が必要です。

土砂崩れ

出典:東京都「土砂災害警戒区域マップ」

地震が発生すると、斜面崩壊・地すべりなどの土砂災害が発生します。首都直下地震においても、土砂崩れによる被害が想定されています。

ちなみに、総合危険度では土砂崩れによる建物崩壊は考慮されていません。総合危険度では西側ほど危険度ランクは低いものの、土砂崩れのリスクは西側ほど高くなっている点に注意が必要です。

液状化

出典:東京都建設部「東京の液状化予測令和7年度改定版

地震が発生すると液状化が発生し、建物の倒壊につながる場合もあります。建物倒壊危険度に液状化による倒壊も含まれていることから、総合危険度は液状化も考慮されています。

ただし、総合危険度は火災による延焼も含まれるため、揺れや地盤の液状化による倒壊だけを見るなら「建物倒壊危険度ランク図」を参考にしましょう。

出典:東京都「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」

建物倒壊の危険度が高くても、それが地震による揺れが原因なのか、液状化によるものなのかによって対策は変わります。液状化マップと建物倒壊危険度ランク図を照らし合わせることで、「揺れによる建物倒壊のリスクだけか」「揺れと地盤沈下による建物倒壊のリスクがあるのか」などの把握ができます。

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そもそも首都直下地震とは?

首都直下地震とは、首都やその周辺地域の直下で発生するM7クラスの地震です。今後30年以内に70%という非常に高い確率で発生すると予想されています。政府の中央防災会議は2025年12月に最新の被害想定を公表しました。都心南部直下地震(M7.3)が起こった場合の被害は下記のように想定されています。

全壊・焼失棟数 約40万棟
死者数 約1.8万人
負傷者数 約9.8万人
道路の被害 約1.09万か所
鉄道の被害 約6,300か所
岸壁・係留施設の被害率 ・岸壁:約310か所
・その他係留施設:約300か所
停電率(被災直後) 約1,600万軒(52%)
固定電話・インターネットの不通回線数
(被災直後)
約760万回線(51%)
上水道断水人口(被災直後) ・停電考慮あり:約1,400万人(29%)
・停電考慮なし:約1,300万人(28%)
下水道機能支障人口(被災直後) ・停電考慮あり:約200万人(5%)
・停電考慮なし:約180万人(4%)
避難者数 約480万人
経済的損失 約83兆円

被害がもっとも大きい冬の夕方を想定
引用:内閣府「首都直下地震の被害想定と対策について(報告書)

政府は2026年6月12日、この最新の被害想定を踏まえた「緊急対策推進基本計画」の改定を閣議決定しました。新たな計画では、「今後10年間で、首都直下地震による死者数と建物被害の規模を半数以下に抑え込む」という具体的な減災目標が明確に掲げられました。特に被害の約7割を占めると予測されている地震火災への対策が柱となっており、揺れを感知して電気を自動遮断する感震ブレーカーの普及促進や、木造住宅密集市街地の解消などの方針が示されています。

個人でできる首都直下地震の対策

首都直下地震では、情報収集・建物倒壊・備蓄品への備えが重要となります。それぞれのポイントを詳しく解説します。

モバイルバッテリーは必須、災害時は公衆無線LANサービス無料開放も

地震が発生すると電話やネット回線へのアクセスが急増することで、通信がつながりにくくなります。また、停電が発生した場合は電気が使えなくなるため、携帯電話の充電が切れると情報収集ができなくなるほか、家族などに連絡ができなくなり不便です。地震が発生しても携帯電話を使える状態にするため、モバイルバッテリーを備えておきましょう。

また、災害時には普段からフリーWi-Fiが提供されている場所や避難場所で、「00000JAPAN」という公衆無線LANサービスが無料開放されます。00000JAPANはドコモ、au、ソフトバンクなどのキャリアが行っているサービスで、インターネット接続ができることに加え、ネットの混雑緩和にも役立ちます。00000JAPANはパスワードやメールアドレスの登録も不要です。Wi-Fiの候補一覧から選択するだけで、キャリアに関係なく使えるため覚えておきましょう。

なお、00000JAPANは緊急時の利便性を最優先しているため、通信が暗号化されていません。そのため、接続中は電波の届く範囲にいる第三者に通信内容を盗み見されるリスクを伴います。「00000JAPAN」や暗号化されていない公衆Wi-Fiを利用する際は、インターネットバンキングの利用やネットショッピングなど、ID・パスワード、クレジットカード情報といった個人情報を入力する操作は控えてください。

また、「00000JAPAN」が利用可能となったからといって、携帯電話のモバイルネットワークのようにどこでも利用できるわけではありません。利用するには、各キャリアなどが設置している公衆Wi-Fiスポットの提供エリア内にいる必要があります。

旧耐震基準の建築物は補強を!

首都直下地震による建物倒壊リスクが高いのは、旧耐震基準で建築された建物です。1981年6月1日以降の新耐震基準が適用されている建物については倒壊するリスクは低くなっていますが、旧耐震基準で建築されている場合は、耐震工事をするなどして補強する必要があります。

また、地震の発生時は、新耐震基準の建物であっても揺れるため、家具の転倒や移動に注意しなければなりません。家具の固定は壁にL字金具でネジ止めするか、突っ張り棒・粘着マットなどを活用して備えましょう。

なお、政府が発表した最新の改定計画では、個人でできる地震火災・怪我対策として、「家具の固定等を実施している世帯の割合」を2035年度までに100%にするという高い目標を掲げています。万が一の事態に命を守り、避難経路を確保するためにも、寝室やリビングの家具固定は今すぐにでも取り組みましょう。

水や食料は最低でも3日分備え

首都直下地震が発生すると、建物や道路の崩壊によって避難が難しくなる可能性もあります。救援物資がすぐに届かず、自宅にあるもので数日乗り切ることも考えなければなりません。そのため、政府の基本計画改定でも、自宅の安全が確保できる場合はそのまま自宅にとどまって生活を送る在宅避難の重要性が強く打ち出されています。

この改定計画の中では、在宅避難を広く定着させるための具体目標として、2035年度までに「災害用の食料や飲料水を3日分以上備蓄している家庭の割合を100%にする」という目標を掲げています。水や食料は、生命維持のために必要不可欠です。最低でも3日分、できれば7日分の備蓄品を用意しておきましょう。なお、災害時の食料危機を乗り越えるための備蓄食料については下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
スーパーで揃えられる非常食9種!選び方の6つのポイントも解説

まとめ

この記事では、首都直下地震の危険地域ランキングや危険度を判断する方法、対策などを解説しました。首都直下地震は近い未来に高い確率で発生が予想されており、人命や建物、ライフラインに大きな影響が出るとされています。気象災害と違って地震災害はいつどこで発生するか分からないため、「今発生するかもしれない」という危機感を持って備えることが大切です。

また、地震の規模や被害は実際に起こってみないとわからない部分も多く、被害想定を超える場合や、想定されてないエリアで被害が大きくなる可能性もあります。危険度が低い地域でも大きな被害が発生するリスクがあるため、他人事と思わずに今できる備えをしましょう。

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<執筆者プロフィル>
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

配信元: 防災ニッポン