写真:PIXTA
積乱雲に伴って発生する突風といえば「竜巻」をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、実際には竜巻だけでなく「ダウンバースト」や「ガストフロント」と呼ばれる突風が発生することもあります。なかには竜巻と同等の強風により、大きな被害をもたらしたケースもあります。
特に、ダウンバーストは竜巻と異なり目に見えにくい現象であるため、回避しづらい点に注意が必要です。今回は積乱雲に伴って発生するダウンバーストやガストフロントについて紹介します。
ダウンバースト・ガストフロントの事例
ダウンバーストやガストフロントによって、過去に死傷者や建物被害が出たケースもあります。まずは、ダウンバースト・ガストフロントの被害事例を紹介します。
【ダウンバースト】

【ガストフロント】
※気象庁「突風事例一覧」を基に筆者作成
積乱雲に伴って起こる突風の種類
積乱雲に伴って発生する、竜巻・ダウンバースト・ガストフロントについて、それぞれの特徴を解説します。
竜巻
出典:気象庁「竜巻」
竜巻は、発達した積乱雲に伴う上昇流によって生じる強い渦巻きです。
<竜巻の特徴>
・ 砂ぼこりを伴った漏斗状または柱状の雲、水上では水柱が発生
・ 細長く、帯状や楕円形などの形で現れる
・ 被害域は幅数十m~数百m、長さ数km~数十km程度
竜巻は渦巻きが大きな特徴で、発生すると視覚的な兆候が現れるため、事前把握がしやすい現象です。
ダウンバースト
出典:気象庁「ダウンバースト」
ダウンバーストは、積乱雲から吹き降ろす下降気流が地表に衝突し、水平に吹き出す空気の流れです。
<ダウンバーストの特徴>
・ 円形または楕円形など面的に広がる
・ 竜巻と違って漏斗雲や水柱の発生はなく事前把握が難しい
・ 被害の範囲は数百mから十km程度
竜巻のように地面から風が吹き上がるのではなく、空から降りてきた空気が地面にぶつかって起こるため漏斗雲や水柱などの発生はなく、目視や事前把握が難しい現象です。
ガストフロント
出典:気象庁「ガストフロント」
ガストフロントは、積乱雲から吹き出した冷たく重たい空気が、周囲の暖かい空気とぶつかった際に発生する突風です。冷たい空気と暖かい空気の温度差によって生じます。
ダウンバーストも積乱雲から吹き出す冷たく重たい空気であるため、ダウンバーストの先端部がガストフロントになる場合もあります。水平方向の広がりは竜巻やダウンバーストよりも大きく、数十km以上に達するケースも。
なお、ガストフロントが起きている場所では、「アーチ雲」と呼ばれるアーチ状の雲が発生することがあります。
画像:筆者撮影(2023年7月8日、愛媛県伊予市にて撮影)
アーチ雲周辺では突風が吹きやすいため、十分に注意が必要です。
