
加藤清史郎が主演を務め、ドラマ「シナントロープ」(テレビ東京系)の脚本や漫画「セトウツミ」で知られる此元和津也氏の同名漫画を実写ドラマ化した「スピナーベイト」(毎週火曜日深夜、初回1:30~、フジテレビ放送/FOD独占見放題配信、TVer無料見逃し配信)が6月30日から放送・配信を開始する。平凡な高校生・三井宏太は“スピナーベイト”と名乗る恐喝まがいの自警団にうっかり入ってしまい、ヒエラルキーに縛られた日々の中で連続殺人事件の犯人を追うことになっていく。予測不能の青春クライムサスペンスとなる本作で、三井を演じた加藤にインタビューを実施。作品への思いや役作りについて、また高校時代の思い出についても語ってもらった。
■「まったく先が読めなくて惹き込まれました」
――出演の話を聞かれた感想を教えてください。
まず、主演ということが僕にとって貴重な経験なのでとても嬉しかったですし、「セトウツミ」は漫画も映画も見ていますし、此元先生の原作ということも喜びがありました。此元先生の作品は「これがメッセージです」という押し付けはないんですけど、今回この原作を読ませていただいたときも、読み終わってから大きなものを受け取ったように感じました。
三井はある意味、どこにでもいる男子高校生で、視聴者の方が感情移入しやすいキャラクターだと思うので、そんな主人公を演じさせてもらえてありがたかったです。
――物語はダークな雰囲気のサスペンスですが、原作や脚本を読まれた感想を教えてください。
最初は高校生の青春ものかと思ったのですが、だんだんとヒエラルキーや裏社会、連続殺人も出てきて、まったく先が読めなくて惹き込まれました。多くの人が生きていく上で、社会と関わっていかなければいけないんだということを、全編通して感じました。

■「ここまで監督と話し合った作品はなかった」
――三井宏太を演じるにあたって、注意したことや重視したことを教えてください。
このドラマは三井の成長の物語にもなっていると思うのですが、撮影は1話から順番に撮っていくわけではなかったので、このシーンの三井はどんな状態なのか理解しておく必要がありました。彼との関係性はこのぐらいだとか、ヒエラルキーに関してかなり下方のほうで抵抗している状況だとか、いろいろな要素があって5角形のパラメーターを作るとしたら、すべてのシーンで違う5角形になるはずです。
そこを把握しないといけなかったですし、モノローグで語られる三井の心情や人との会話も言葉だけじゃなく、スピード感やトーンを大切に演じました。そこに三井の本質的な部分がにじみ出ていると思うので。
毎回シーンを撮る前に平瀬(遼太郎)監督と時間をかけて話し合って、僕らの話を他のスタッフの方も聞いてくれていました。三井を小さい人間に見せたいのか、それともかっこよく見せたいのか、それぞれが共通認識を持ちながら作り上げていった作品だと思います。平瀬監督がこの作品にこれ以上ないほど大きな愛を注ぎ込んでいて、僕も安心して細かなことでも何でも相談しながら演じることができました。
――毎回、俯瞰的にキャラクターを捉えて分析して役作りされているのでしょうか?
日常を描く作品の場合は違ったアプローチかもしれないですが、この作品には必要だと思いました。殺人事件も展開するなかで視聴者の方は三井の視点で物語を追って行くことになると思うので、三井に違和感がないことはとても重要と思ったからです。ここまで監督と話し合った作品はなかったと思います。

■「僕なら“スピナーベイト”には入っていないです」
――三井とご自身との共通点はありましたか?
ほぼないです。言い方が難しいですけれど、僕はあまり流されないというか、何事も積極的に関わろうとするタイプなので。
――嫌なものは嫌だと言ってしまえるタイプですか?
そうです。だから僕なら“スピナーベイト”には入っていないですね。こんな集団だとわかった時点で学校側や警察に相談しているか、あるいは「勝手にしろ」って突き放しちゃうかもしれないです。
――同年代の共演者の方が多かったと思いますが、撮影現場で共演者とどんな交流があったのか教えてください。
共演者は同年代の方が多かったですが、年が離れた吉見役の駿河(太郎)さんとは「放送局占拠」で濃い数ヶ月を過ごさせていただいた仲間だったので、また共演できてすごく心強かったです。駿河さんとはいろんなお話をさせていただいてますし、表情や目もとても素敵な方なんです。今回の吉見役はミステリアスな面もある男で、三井は受け身の芝居が多かったのですが、駿河さんなので安心してお任せしました。

■「三井と一緒に旅をしているような気持ちで見て」
――サスペンスでありつつ青春ドラマでもある本作ですが、加藤さんはどんな学生生活でしたか?
高校3年間はロンドンに留学して寮生活をしていて、朝から晩まで友人と過ごす日々で楽しかったです。放課後はサッカー部での活動ばかりしていました。
――1番楽しかった思い出を教えてください。
ずっと会話も尽きず、笑ってばかりで、思い出はいっぱいあります。部屋の窓をちょっと開けてシャワーを浴びていたら、シャワールームから出た瞬間に蜂と出くわしてしまって。部屋の中でぶんぶん飛んでいて、こっちは裸でヤバかったんで、虫が得意な友だちを「◯◯、来て―!」って呼んで一緒に走り回って大騒ぎしたり(笑)。
僕が寮の執行部部長をしていて、毎晩点呼には気合いを入れていました。日常で大声を張り上げることってあまりないですけど、みんなに「聞こえなかった」って言わせまいとして、自分が出せるマックスの声量を出していましたね(笑)。
――では、最後に視聴者の方にメッセージをお願いします。
三井を見て鏡を見ている感覚になる方もいるかもしれません。ただ、何かをずっと突きつけられているというよりは、ストーリーに導かれながら三井と一緒に旅をしているような気持ちで見ていただけるはずです。最後は「さあ、あなたはどう生きますか?」という問いを、それぞれに受け取ってもらえるんじゃないでしょうか。ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
◆取材・文=入江奈々/ヘアメーク=入江美雪希/スタイリスト=山田安莉沙

[/EXCLUDE]

