「ただの風邪」と思っていたら、咳や息苦しさがどんどん悪化した経験はありませんか? それは「喘息」のサインかもしれません。見逃してはいけない悪化の兆しや、病院に行くべきタイミングを「ひらた循環器クリニック」の平田先生に解説していただきました。

監修医師:
平田 彩(ひらた循環器クリニック)
兵庫医科大学医学部卒業。その後、杏林大学医学部付属病院呼吸器内科、国立がん研究センターで経験を積む。2023年、東京都小金井市に位置する「ひらた循環器クリニック」の院長に就任。医学博士。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本医師会認定産業医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。
喘息が悪化するサイン
編集部
喘息が悪化しているとき、どのような症状がサインになりますか?
平田先生
「普段より咳や痰が増える」「夜間や早朝に咳き込む」「息苦しさや胸の圧迫感が強くなる」などは、喘息が悪化しているサインと言えるでしょう。また、「ゼーゼー・ヒューヒュー」という呼吸音が目立つ場合も要注意です。
編集部
夜間や早朝の咳き込みも危険なのですね。
平田先生
夜間や早朝に咳や呼吸困難で目が覚めるのは、喘息悪化の典型的なサインです。睡眠の質も下がるため、放置せずに薬の調整や受診が必要になります。
編集部
日常生活で息切れが出るのも悪化のサインですか?
平田先生
はい。階段や歩行など軽い動作でも息苦しさを感じるようになったら、気道が狭くなっている可能性があります。“普段できていたこと”がつらくなるのは、悪化を示す大事なサインです。悪化が気になる場合には、「ピークフローメーター」の使用をおすすめします。
編集部
ピークフローメーターとは?
平田先生
空気の通り道である気道の狭さを簡単に測定できる医療機器のことです。ピークフローメーターにより、喘息の重症度を把握して、大きな発作を予防する効果が期待できます。息を吐く強さを測定して、普段の値から20%以上低下した場合は悪化のサインとなり、早めの受診や治療調整が必要です。
喘息が悪化するシチュエーション
編集部
季節や環境で喘息が悪化することはありますか?
平田先生
花粉やダニ、寒冷刺激、気温差などで悪化しやすくなります。特に季節の変わり目は、注意が必要です。空気の乾燥も発作を誘発する要因になります。そのほかに、気圧の変化によって喘息が悪化することもあります。そのため、台風が来るときや雨が降る前などに喘息の発作がひどくなる人もいらっしゃいます。
編集部
風邪を引くと喘息が悪化するのはなぜですか?
平田先生
通常なら数日で治まる咳も、喘息の人は気道に慢性的な炎症があるため長引きやすく、発作に発展することがあります。また、喘息の人は気道の過敏性が高まっています。そのため、風邪自体は治っても咳だけが残り、冷たい空気やちょっとした刺激でも咳が出やすくなります。
編集部
ストレスや運動も悪化の原因になりますか?
平田先生
強いストレスや過度な運動も発作の引き金になります。適度な運動は予防に役立ちますが、冷たい空気の中での運動は悪化しやすいため注意が必要です。
編集部
薬を自己判断でやめると悪化しますか?
平田先生
症状が落ち着いても薬を勝手に中止すると、炎症が再び強まり悪化することもあります。必ず医師の指示に従って、治療を継続しましょう。

