IgA腎症の発症には、免疫の異常だけでなく、遺伝的な体質や生活習慣、感染症など複数の要因が関わっている可能性があります。家族に同じ疾患の方がいる場合や、扁桃炎を繰り返す場合には、特に注意が必要かもしれません。リスクに関わる背景を整理しながら、日常生活で意識したいことをご説明します。

監修医師:
田中 茂(医師)
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学
IgA腎症の治療費①|保険診療での費用の目安
IgA腎症の治療を始めるにあたり、費用についての見通しを持つことは、長期的な通院を続けるうえでとても重要です。このセクションでは、保険診療の範囲内で行われる検査や治療にかかる費用の目安について説明します。
診断にかかる検査費用の概要
IgA腎症の診断には、尿検査・血液検査・腎生検などの検査が必要になります。通常の健康保険が適用される場合、患者さんの自己負担は原則として医療費の1〜3割(年齢や所得によって異なります)となります。
外来での尿検査・血液検査の費用は、検査の種類や組み合わせによって異なりますが、1回の受診で自己負担が数百円から数千円程度になることが多いです。腎生検は入院が必要な検査であり、入院期間は施設によって異なりますが数日から1週間程度が一般的です。入院費用・検査費用を合わせた自己負担額は、3割負担の場合でおおよそ数万円規模になることが想定されます。
高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)を利用すれば、1ヶ月の自己負担額が一定の上限額を超えた分は払い戻しを受けられます。上限額は所得によって異なり、事前に申請することで窓口での支払いを抑えることもできます。医療費の負担が心配な方は、受診する医療機関の医療相談窓口や、お住まいの市区町村の担当窓口に相談してみることをおすすめします。
薬物療法にかかる費用の目安
IgA腎症の治療では、症状や腎機能の状態に応じてさまざまな薬が使われます。よく使われる薬としては、血圧を下げながら尿たんぱくを減らす効果が期待できる腎臓を保護する働きを持つ血圧の薬(RA系阻害薬(ACE阻害薬やARBと呼ばれるもの))、炎症を抑えるステロイド薬、免疫の働きを調整する免疫抑制薬などがあります。
これらの薬は基本的に健康保険が適用されるため、自己負担は薬の種類や量によって異なりますが、月々の薬代として数百円から数千円程度になるケースが多いです。ステロイドパルス療法(大量のステロイドを短期間に投与する治療)は入院が必要になることもあり、その場合は入院費用が別途かかります。
また、元々は糖尿病の薬として開発されましたが、現在では腎臓を保護する目的でも広く用いられている『SGLT2阻害薬』は、IgA腎症においても腎機能保護の効果が期待されています。保険適用の状況は変わることがあるため、主治医に最新の情報を確認することが大切です。
長期通院を見据えた費用の考え方
IgA腎症は慢性疾患であり、長期にわたる通院が必要です。定期的な外来受診(通常は1〜3ヶ月に1回程度)での費用、薬代、年1〜2回程度の詳しい検査費用などを合算すると、年間を通じた医療費の総額はある程度の規模になります。
また、透析が必要になった場合は、「特定疾病」として指定を受けることで、自己負担が月額10,000円(一定所得以上の場合は20,000円)に抑えられる仕組みがあります。
医療費は病状の進行度や治療の選択によっても大きく変わるため、一概にいくらとは言いにくい面もあります。長期的な見通しを立てるためにも、主治医や病院の医療ソーシャルワーカーと相談しながら、利用できる制度を上手に活用することが助けになります。
まとめ
IgA腎症は、初期の段階では自覚症状がほとんどなく、健康診断で初めて発見されることが多い疾患です。免疫の異常によって腎臓の糸球体に炎症が生じ、放置すると腎機能が低下するリスクがありますが、早期に発見して適切な治療を続けることで、腎機能を長期間にわたって維持できる可能性があります。治療費については保険診療の範囲内で対応できることが多く、指定難病制度や高額療養費制度などの支援を活用することで、経済的な負担を軽減できます。気になる症状や尿検査の異常がある場合は、まず腎臓内科への受診を検討してみてください。一人で悩まず、専門の医師に相談することが、早期発見・早期対応への確かな一歩です。
参考文献
難病情報センター「IgA腎症(指定難病66)」
日本腎臓学会「IgA 腎症診療ガイドライン 2020」
日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」
- 「IgA腎症」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
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