肝臓にB型肝炎ウイルス(HBV)が入ることで肝機能障害を伴うB型肝炎。日本を含め世界中で問題視されている病気のひとつです。
この病気は誰でも起こり得る病気である上、重症化すると命にかかわることもあります。そんなB型肝炎ですが、どのような経路で感染するのでしょうか。
ここではB型肝炎の感染経路をはじめ、治療方法をご紹介します。正しく病気を知るためにも、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『「B型肝炎」の症状・感染経路はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
B型肝炎の検査方法・治療法

B型肝炎の検査方法を知りたいです。
ご自身がB型肝炎に感染しているどうかは血液検査で調べられます。HBs抗原というHBVの外側のたんぱく質を検出するのです。この検査で「陰性」であれば、HBVには感染していないということになります。一方「陽性」の場合、より詳しい検査をすることになり、下記の検査を実施します。
HBe抗原
HBe抗体
HBc抗体
HBs抗体
HBc-IgM抗体
HBV-DNA
また、HBVの検査と並行して肝機能検査(AST・ALT・血清ビリルビン値)や肝生検を行い、肝炎の発症や進展具合を確認します。
検査で病院に行くのが恥ずかしいのですが…。
早期に発見し治療をすることで治癒する可能性が高くなります。少しでも不安のない日々を過ごすためにも、早めに医療機関に受診することがおすすめです。それでも検査を躊躇してしまうなら、自宅でできる検査キットを使用するのも良いでしょう。しかし、正確なのは医療機関になるため、陰性や陽性にかかわらず一度受診するほうが安心です。
B型肝炎は自然に治りますか?
成人以降に初めてB型肝炎に感染した場合、症状が現れることなく70%〜80%の方は自然に治癒します。1か月程度で完治し、抗体も作られるため再度感染することはありません。しかし、20%〜30%の方は急性肝炎となり、その内の1%〜2%は劇症肝炎へ移行するのです。劇症肝炎は命にかかわる危険な病気であるため、慎重な経過観察が必要となり入院による安静が求められます。
どんな治療を行うのでしょうか?
基本的な治療は、注射剤と内服薬を使用しウイルスを抑える方法です。注射剤はインターフェロン製剤を、内服薬は核酸アナログ製剤になります。それでも効果が期待できない場合、肝臓の細胞を破壊し進行を遅くする肝庇護療法を行うこともあるのです。しかし、この治療法は慢性B型肝炎に罹患している方が対象となり、急性B型肝炎に罹患している方は治療をすることはありません。
編集部まとめ

B型肝炎は感染経路が多数あるため、ご自身が気付かないうちに罹患していることもあるでしょう。また、誰でもかかる可能性もあります。
しかし、何もせず放置するのはあまり良いとはいえません。重篤化することも稀にあるため、異変を感じたら医療機関を受診するようにしましょう。
万が一、感染してしまったとしても適切な治療を行うことで進行を抑えることは可能です。
また、B型肝炎はワクチンもあるため、感染を防ぐためにも接種をすると良いでしょう。そして、定期的に検査を受けることも大切です。
参考文献
B型肝炎(厚生労働省 検疫所 FORTH)

