「レム睡眠行動障害を発症しやすい人の特徴」はご存じですか?医師が解説!

「レム睡眠行動障害を発症しやすい人の特徴」はご存じですか?医師が解説!

近年、心身の健康を維持する要素の一つとして睡眠の重要性が注目されており、みなさんの中にもご自身の睡眠の状態が気になる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

睡眠は年齢とともに変化しているといわれており、睡眠障害で悩む方も増えていきます。また、ご本人は気がついていなくても、睡眠障害に伴う異常行動が出現する睡眠時随伴症のために周囲の人が不眠などの睡眠障害を抱えてしまうこともあります。

そこで、今回はご自身では気が付いていないかもしれない睡眠に関する病気の中でも、レム睡眠行動障害という病気について詳しく解説をしていきます。

※この記事はメディカルドックにて『「レム睡眠行動障害」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

レム睡眠行動障害の特徴や受診のタイミング

問診をする白衣を着たシニアの男性医師

レム睡眠行動障害を発症しやすい人の特徴を教えてください。

レム睡眠行動障害は年齢とともに発症のリスクが高まります。性別では50歳以降の男性に多く、若年性の場合はうつ病などの精神疾患に伴い薬剤を服用している場合や生活習慣が乱れている場合などは発症のリスクが上がると考えられているのです。
また、他にも先ほど述べたようなパーキンソン病・レビー小体型認知症などの神経変性疾患に罹患している場合や、頭部の外傷・髄膜炎や脳炎といった炎症性疾患を有している場合は、レム睡眠行動障害を合併していることがあります。

レム睡眠行動障害と夢遊病は違うのですか?

レム睡眠行動障害と似ている睡眠時随伴症の中には夢遊病と呼ばれるものがあります。もしかすると、こちらの方が一般的に聞きなれた疾患であるかもしれません。レム睡眠行動障害と夢遊病が大きく異なる点は、夢遊病は入眠してから1~3時間のNREM睡眠中に生じることが確認されており、主に大人よりも子供に多く発症するといわれています。
大人でも夢遊病を発症することがありますが、その多くは精神的ストレスが原因であると考えられており、この点もレム睡眠行動障害とは異なります。

レム睡眠行動障害を放置するリスクはありますか?

レム睡眠行動障害を放置することによる一番大きなリスクは、この睡眠時随伴症による二次障害によってご本人や一緒に眠っている家族・パートナーが怪我をする危険性があるということです。ご本人は気が付いていないことも多く、家族関係の悪化やストレスの増大も深刻であり、ご家族が不眠症やうつ病を発症してしまうケースもあります。
また、原因疾患等がない場合は、将来的なパーキンソン病・レビー小体型認知症などの神経変性疾患の発症に先立って前駆症状として出現している場合もあり、将来の神経変性疾患の発症に繋がるリスクがあることも知られています。

レム睡眠行動障害に心当たりがある場合は何科を受診したら良いのでしょう?

レム睡眠行動障害に心当たりがある場合は、まずは睡眠外来が設置されている病院やクリニックに相談をしていただくとよいでしょう。レム睡眠行動障害が生じている原因は多岐に渡るため、まずは睡眠障害を専門に扱う医師により症状や睡眠の状態を細かく検査してもらい、そこから原因となる専門医に繋いでいただくという方法があります。
もし、お近くの病院に睡眠外来がなく、前述のようなレム睡眠行動障害に特有の症状がある場合は、脳神経内科を受診することをおすすめします。

受診するタイミングが知りたいです。

レム睡眠行動障害の場合はご本人に自覚がなく、ご家族が悩まれている場合が多くあります。ご家族に指摘をうけた場合は、睡眠時随伴症状による二次障害のリスクがありますので、なるべく早く受診をするようにしてください。
また、ご家族と同居されていない場合でも、朝起きた際に身体に身に覚えのない傷や痣がよくある場合などは、睡眠時随伴症状が出ている可能性がありますので、すぐに受診することをお勧めします。

編集部まとめ

ベッドで仲良く寝ている若い夫婦
レム睡眠行動障害は、50歳以降の男性に多く、年齢とともに発症のリスクが高まります。誰しも発症する可能性がありますが、症状を軽減できる病気でもあります。

病気の特性上、ご本人は気が付いていないことも多く、一緒に暮らしているご家族やパートナーが悩み、ストレスを抱えてしまうこともあるのです。

ご自身とともに一緒に暮らすパートナー・家族の身の安全を守り、良質な睡眠を得て快適な暮らしを保つためにも、気になる方は専門家にご相談をしてみてください。

参考文献

脳神経の主な病気(日本脳神経学会)

配信元: Medical DOC

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