
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家・鈴木二三江さんがカドコミで連載している『妄執女と芥川』をご紹介しよう。
同作は作家生活も社会生活もうまくいかない兼業作家が、思い入れの強い文芸編集者と出会い、2人で芥川賞を目指す様子を描いた一作。以前鈴木さんのX(旧Twitter)に第一話『二人だけの景色』がポストされると、約5200以上の「いいね」が寄せられている。そこで作者の鈴木さんに、同作を描いたきっかけやこだわりについて話を伺った。
■“唯一の読者”に再会するため芥川賞を目指す…絶望する小説家と執着する編集者の共犯関係

小説家の不破メイコは、学生時代に出会った唯一の読者「ユウちゃん」からの感想をもらうためだけに小説を書いていたが、単行本の出版を機に手紙は途絶えてしまう。
心の支えを失いながらも執筆を続けていたある日、自宅のアパートが火事になり、宝物だったユウちゃんからの手紙が全て燃えて、生きる意味を失い絶望するメイコ。その後、新任の担当編集者・薬師丸萌子が現れる。
メイコの作品に異常なまでの執着を見せる薬師丸は、「芥川賞を取ったらユウちゃんと会わせてあげる」と告げる。そして、ユウちゃんに再会するため、メイコは薬師丸を利用して芥川賞を獲ることを決意したが…。
読者からは「心にズンときてしまった…」「胸が痛い」などのコメントが寄せられている。
■「読者と私はなんだか共依存的関係で面白いな、なんて思っています」と作者の鈴木さん

――『妄執女と芥川』の中で『二人だけの景色』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
バディものが描きたいと思ったのがきっかけです。小説、映画、漫画と…創作物が大好きなので、その中でバディ関係にある編集者×小説家を描いてみようと思いました。
――『妄執女と芥川』の中で『二人だけの景色』を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
コミュニケーションが下手な人間を意識的に出すことにこだわって描いています。
漫画内では、小説を一方通行のコミュニケーションツールに定義しています。主人公の不破は薬師丸に会う前は一方通行のコミュニケーション(独り言)で満足していました。
薬師丸と出会いユウちゃんに会うために芥川賞受賞を目指すようになり「編集者との打合せ」という、一方通行ではどうにもならない相互的なコミュニケーション(会話)をしなくてはいけなくなります。
編集者と共に行う小説の執筆によって人との関係性が深まり不破が成長していく様子を見ていただききたいです。
――『妄執女と芥川』の中で『二人だけの景色』の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
1話のP36P37の見開きです。漫画で暗黙の禁じ手である「見開きでノド部分にキャラを配置する」をわざとしました。不破は読者であるユウちゃんによって感情や生死を左右させられますのでユウちゃんと現実で読んでくださっている読者をリンクさせる演出を入れています。
主人公不破の心情モノローグで「裂ける 潰される」と入れているんですが、読者の行動に付随しているんですよ。電子単行本ではページをめくるときに裂く、紙単行本では潰すと読者の行動によって不破心身の痛みと関連付けています。
――今後の展望や目標をお教えください。
ドラマやら映画やら映像化できたら最高に嬉しいです…!!
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
創作物の感想は読者や鑑賞者の人生フィルターを通して出るので、千差万別で最高に素敵だなと思っています。漫画を描くことでそんな素敵なものをみせていただけて私は幸せ者だなと思っています。
読者と私はなんだか共依存的関係で面白いな、なんて思っています(笑)。今後ともよろしくお願いいたします。

