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「足首の血圧」でわかる?“脳動脈硬化”が知らぬ間に進行する前兆【医師監修】

「足首の血圧」でわかる?“脳動脈硬化”が知らぬ間に進行する前兆【医師監修】

血圧と並んで、脂質の状態も脳動脈硬化症のリスクを左右する重要な要素です。LDLコレステロールやHDLコレステロール、中性脂肪のバランスが崩れると、血管壁にプラークが形成されやすくなります。ただし、数値の見方は一面的ではなく、全体のバランスや個々の状態によって判断が異なります。健康診断の結果を手がかりに、血管の状態を丁寧に見つめてみましょう。

田頭 秀悟

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

脳動脈硬化症の基準値②|動脈硬化の進行度を測る専門的な検査

血圧や脂質の数値だけでなく、脳動脈硬化症の進行度をより直接的に評価する検査も存在します。このセクションでは、動脈硬化の程度を数値として把握するために用いられる検査の種類と、その読み方について解説します。

ABI(足関節上腕血圧比)とPWV(脈波伝播速度)の見方

脳動脈硬化症は自覚症状が乏しいまま進行することが多いため、早期発見のためには血液検査だけでなく、血管そのものの状態を評価する検査も重要です。その代表的な検査が、ABI(足関節上腕血圧比)とPWV(脈波伝播速度)です。どちらも身体への負担が少なく、比較的短時間で実施できるため、動脈硬化のスクリーニング検査として広く活用されています。

ABI(Ankle-Brachial Index:足関節上腕血圧比)は、足首と腕の血圧を同時に測定し、その比率から下肢の動脈に狭窄や閉塞がないかを調べる検査です。健康な血管では足首の血圧は腕と同程度、あるいはやや高い傾向があります。そのため、一般的にABIは0.9〜1.3程度が目安とされています。

一方で、ABIが0.9未満の場合は、足の血管が狭くなっている可能性があり、「末梢動脈疾患(PAD)」が疑われます。下肢の血管に動脈硬化が起きている場合、同時に脳や心臓の血管にも動脈硬化が進行していることが少なくありません。そのため、ABIの低下は単に足の血流障害を示すだけでなく、全身の血管の健康状態を把握する重要なサインとして捉えられています。

また、ABIが低い方では脳梗塞や心筋梗塞などの心血管イベントの発症リスクが高まることも知られており、早期から生活習慣の改善や適切な治療介入を検討するきっかけになります。

もう一つの指標であるPWV(Pulse Wave Velocity:脈波伝播速度)は、心臓の拍動によって生じた脈の波が血管内を伝わる速さを測定する検査です。健康で柔軟性のある血管では脈の波はゆっくり伝わりますが、動脈硬化によって血管が硬くなると波は速く伝わるようになります。

そのため、PWVの数値が高いほど血管の弾力性が失われていると考えられ、動脈硬化の進行を評価する指標として利用されています。特に、cfPWV(頸動脈・大腿動脈間脈波伝播速度)は国際的にも評価されている検査で、一般的には10m/秒以上になると動脈硬化の進行が示唆されることがあります。

PWVは加齢によっても上昇する傾向がありますが、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙習慣などの危険因子がある方では、実年齢以上に数値が高くなることがあります。そのため、「血管年齢」を把握する検査として説明されることもあります。

ABIとPWVは、それぞれ異なる角度から血管の状態を評価できる検査です。ABIは「血管の詰まり具合」、PWVは「血管の硬さ」を確認する検査と考えると理解しやすいでしょう。両方の結果を組み合わせることで、動脈硬化の進行度や将来的な脳血管疾患・心血管疾患のリスクをより総合的に評価できます。

健康診断や人間ドックでこれらの検査を受ける機会があれば、単に数値を見るだけでなく、その意味を理解することが大切です。異常を指摘された場合は放置せず、医療機関で詳しい評価を受けることで、脳動脈硬化症や脳梗塞の予防につなげることが期待できます。

頸動脈エコーで脳動脈硬化を評価する基準

脳へ血液を送る頸動脈(首の両側を走る太い血管)の状態を超音波で観察する「頸動脈エコー検査」も、脳動脈硬化症の評価に欠かせない検査です。この検査では、血管壁の厚さや、内側に形成されたプラークの有無・大きさを確認することができます。

注目される指標がIMT(Intima-Media Thickness:内膜中膜複合体厚)です。頸動脈の壁の厚みを測定した数値で、一般的には1.0mm以上の肥厚が認められた場合に「内膜肥厚あり」と判定されます。さらに1.1mm以上になると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まっているサインとして受け止められます。

また、プラーク(血管内の隆起した脂肪の塊)が見つかった場合は、その形状や性質も重要です。表面が不規則で内部が不均一なプラークは、崩れて脳の細い血管を詰まらせる危険性があるとされており、より慎重な管理が必要になります。

頸動脈エコーは、痛みのない安全な検査であり、神経内科や循環器内科などで受けることができます。脳動脈硬化症が心配な方は、かかりつけ医に相談してみてください。

まとめ

脳動脈硬化症は、ある日突然現れるものではなく、長年の生活習慣の積み重ねによって少しずつ進行する疾患です。血圧・コレステロール・血糖といった基準値を把握し、異常があれば早期に対処することが、深刻な脳血管疾患の予防につながります。糖尿病を抱える方は特に、血管へのダメージが重なりやすいため、包括的なリスク管理が求められます。気になる症状がある方や、健康診断で数値の異常を指摘された方は、ぜひ神経内科や糖尿病内科などへご相談ください。日々の小さな積み重ねが、将来の大きな病気を防ぐ力になります。

参考文献

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」

日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」

厚生労働省「健康・医療生活習慣病予防」

配信元: Medical DOC

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