“食べてはいけない”油がある?「脳動脈硬化」を招く落とし穴【医師監修】

“食べてはいけない”油がある?「脳動脈硬化」を招く落とし穴【医師監修】

動脈硬化の進行度を評価するには、血液検査だけでなく、血管そのものの状態を確認する検査も役立ちます。ABI(足関節上腕血圧比)は血管の詰まり具合を、PWV(脈波伝播速度)は血管の硬さを示す指標です。どちらも身体への負担が少なく、動脈硬化のスクリーニングとして広く活用されています。数値の背景にある意味を知ることで、脳血管疾患の予防につなげることができます。

田頭 秀悟

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

脳動脈硬化症の振興を抑える方法①|食事・生活習慣からのアプローチ

脳動脈硬化症の進行を抑えるためには、日々の生活習慣を見直すことが基本となります。このセクションでは、食事の面から動脈硬化にアプローチするための具体的な方法を解説します。薬物療法と並行して取り組むことで、より効果的なリスク管理が期待されます。

脳動脈硬化症の進行を抑える食事の基本

食事の内容は、血圧・血糖・血中脂質のすべてに直結します。脳動脈硬化症のリスクを下げるための食事で意識したいポイントは、主に以下の通りです。

まず、食塩(ナトリウム)の摂取量を減らすことです。塩分の過剰摂取は血圧を上昇させ、血管への負担を高めます。日本高血圧学会では、高血圧の方の食塩摂取量の目標を1日6g未満としています。具体的には、汁物を1日1杯に減らす、漬物や加工食品を控えるといった取り組みが有効です。

次に、質の低い脂肪酸の摂取を控えることが大切です。具体的には、サラダ油やコーン油のような植物油に多いとされている炎症を起こしやすいω6系不飽和脂肪酸や、マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸の摂取は控えた方がいいでしょう。動物性の脂肪(バターや肉の脂身など)に多く含まれる飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを上昇させやすいとされていますが、前述のようにそれ自体が必ずしも悪いこととは言えません。むしろ筋肉や皮膚、あるいは全身の細胞の材料になったり、人体にとって重要なホルモンや消化液を合成する側面もあるので基本的には控える必要はありません。また、青魚に含まれるDHAやEPAなどのω3系の不飽和脂肪酸は炎症を抑え、脳を保護する効果があるとされており、こちらは積極的に摂ることが推奨されます。

食物繊維を多く含む野菜・豆類・海藻・きのこ類なども、コレステロールの吸収を抑えるはたらきがあります。1日の野菜摂取量を350g以上に近づけるよう意識することが、さまざまな生活習慣病の予防においても役立ちます。

また、過度なアルコール摂取は中性脂肪を増加させ、血圧を上昇させることから、飲酒量を適度に抑えることも重要です。節酒の目安としては、1日あたりビール中瓶1本(500mL)程度を上限とする考え方が一般的です。

適度な運動がもたらす脳動脈硬化症への効果

食事と並んで、運動習慣の見直しも脳動脈硬化症の進行を抑えるうえで重要な要素です。定期的な有酸素運動は、血圧の低下・HDLコレステロールの上昇・中性脂肪の低下・体重管理といった、複数の効果をもたらす可能性があります。

有酸素運動の種類としては、ウォーキング・水泳・自転車こぎなどが挙げられます。特にウォーキングは、特別な器具や施設が不要で、日常生活に取り入れやすいという利点があります。運動の目安としては、中強度(少し息が弾む程度)の有酸素運動を1日30分、週5日以上行うことが推奨されることが多いです。

ただし、すでに脳動脈硬化症の診断を受けている方や、心臓に持病のある方が急に激しい運動を始めることは避けていただきたいところです。運動を始める前には、主治医に相談して適切な種類・強度・時間を確認することが大切です。

日常生活の中でできることから始め、エレベーターの代わりに階段を使う、1駅分歩くなど、無理のない範囲で身体を動かす習慣を積み重ねることが、長期的な健康管理につながります。

まとめ

脳動脈硬化症は、ある日突然現れるものではなく、長年の生活習慣の積み重ねによって少しずつ進行する疾患です。血圧・コレステロール・血糖といった基準値を把握し、異常があれば早期に対処することが、深刻な脳血管疾患の予防につながります。糖尿病を抱える方は特に、血管へのダメージが重なりやすいため、包括的なリスク管理が求められます。気になる症状がある方や、健康診断で数値の異常を指摘された方は、ぜひ神経内科や糖尿病内科などへご相談ください。日々の小さな積み重ねが、将来の大きな病気を防ぐ力になります。

参考文献

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」

日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」

厚生労働省「健康・医療生活習慣病予防」

配信元: Medical DOC

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