「聴神経腫瘍」のサイン? 片耳の“あの違和感”と3つの初期症状

「聴神経腫瘍」のサイン? 片耳の“あの違和感”と3つの初期症状

聴神経腫瘍の初期症状は、耳鳴りや片耳の聞こえにくさ、歩行時のふらつきなど、日常生活のなかで見過ごされやすいものが少なくありません。「疲れのせい」「加齢によるもの」と判断されやすいこれらの症状が、実は腫瘍のサインである可能性があります。初期に現れやすい症状の具体的な特徴と、見分けるためのポイントを丁寧に解説します。

大津 和弥

監修医師:
大津 和弥(医師)

三重大学医学部卒業。三重大学附属病院で研修。市立四日市病院、三重大学附属病院などに勤務後、国立がんセンター東病院研修。三重大学附属病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 講師を務め、小松病院で一色信彦、田邊正博の音声外科医師の指導の下音声外科手術を研鑽。市立ひらかた病院耳鼻咽喉科部長、市立ひらかた病院耳鼻咽喉科主任部長、音声外科センター長などを歴任。大阪医科薬科大学臨床教授。現在は大津耳鼻咽喉科・ボイスクリニック 院長。

聴神経腫瘍の初期症状①:見落としやすい初期サインとその特徴

このセクションでは、聴神経腫瘍の初期に現れやすい症状について具体的に解説します。初期症状は日常生活の中で見過ごされやすいものが多く、発見が遅れる原因にもなっています。

一側性難聴(片耳だけの聞こえにくさ)

聴神経腫瘍の初期症状として最も多く見られるのが、片側の耳の聞こえにくさ(一側性難聴)です。両耳同時に症状が出るのではなく、一方の耳だけが聞こえにくくなるのが特徴で、「電話を取るときに左耳だと聞こえにくい」「人の声が片側からだと聞き取りにくい」といった形で気づく方が少なくありません。

この難聴は徐々に進行する「緩徐進行型(かんしょしんこうがた)」と、突然悪化する「突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)型」の2通りがあります。突発性難聴として扱われ治療を受けたものの改善が見られない場合に、精密検査を行った結果として聴神経腫瘍が発見されるケースも報告されています。片側だけの難聴が続く場合は、原因を調べるための検査を受けることが重要です。

難聴の自覚がなくても、聴力検査で片側だけの低下が見つかることがあります。聴神経腫瘍は発見までに数年かかることもあり、定期的な聴力チェックも早期発見の一助になります。

慢性的な耳鳴りと耳の違和感

耳鳴りも聴神経腫瘍の早期に見られる症状のひとつです。高音域の「キーン」とした耳鳴りが片側に持続するケースが多く、中には「シー」というような持続音として感じる方もいます。耳鳴りは日常的に感じやすい症状であるため、「疲れているだけ」「加齢によるもの」と判断して放置されやすい傾向があります。

しかし、片側だけに現れる慢性的な耳鳴りは、内耳や聴神経に何らかの問題が起きているサインである可能性があります。特に耳鳴りに加えて難聴やめまいを伴う場合は、聴神経腫瘍の可能性も念頭に置いて検査を受けることが勧められます。

耳の違和感として「耳が詰まった感じ」「水が入ったような感覚」が続く方も、一度専門機関での診察を受けることが望まれます。これらは中耳炎(ちゅうじえん)など他の疾患でも現れますが、それらが否定された場合は聴神経腫瘍の可能性を確認することが大切です。

バランス感覚の乱れと歩行のふらつき

前庭神経が障害されることで、バランス感覚が低下することがあります。日常生活の中での自覚としては、「暗いところで歩くと不安定になる」「階段を下りるときにふらつく」「まっすぐ歩いているつもりでも少しずれる」といった形で現れます。これらは激しいめまいとは異なり、比較的軽い不安定感として感じられるため、初期段階では見過ごされやすい症状です。

脳には、バランス感覚のズレを学習して補う「前庭代償(ぜんていだいしょう)」と呼ばれる仕組みがあります。脳が前庭神経の機能低下を補おうとするため、バランス感覚の乱れが強く自覚されないこともあります。この代償機能が働いている間は症状が目立たないものの、腫瘍がさらに成長すると代償しきれなくなり、より顕著なふらつきや転倒リスクが高まります。

まとめ

聴神経腫瘍は、耳鳴りや片側の難聴、めまいといった日常的な症状のなかに潜んでいることがあります。良性腫瘍ではありますが、発見が遅れると治療の選択肢が限られることもあるため、症状が続く場合は早めに耳鼻咽喉科や神経内科へ相談することが大切です。治療法には経過観察・放射線治療・手術の3種類があり、いずれも基本的に保険診療の範囲で対応できます。また、高額療養費制度など公的支援を活用することで、費用面の不安も軽減できます。まずは専門機関への受診を検討してみてください。

参考文献

国立がん研究センターがん情報サービス「脳腫瘍(成人)」

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳の病気」

難病情報センター「神経線維腫症Ⅱ型(指定難病34)」

厚生労働省「34 神経線維腫症 」

配信元: Medical DOC

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