若年性アルツハイマーの主な原因
アルツハイマー病は、アミノ酸数の多い変異型のアミロイドβというたんぱく質が脳に溜まることをきっかけに、タウというたんぱく質が脳に溜まってしまい神経が変性・萎縮することで発症する病気です。発症には遺伝的な要因や頭部外傷、金属への暴露などさまざまな要因が発症に関与するといわれています。これまでに60以上の関連因子が報告されていますが、ここでは比較的関与の大きい因子についていくつかご紹介します。
遺伝的要因
アルツハイマー病に関連する遺伝子変異は、関与が比較的大きいものから関与が疑われるにとどまるものまで多数報告されています。発症への関与が大きい代表的なものにはAPP遺伝子、PSEN1/2遺伝子、APOE遺伝子の変異があります。遺伝子変異がない場合と比較して早期に発症しやすく、若年性アルツハイマー病の原因の一つとなりえます。遺伝子変異を持っていても発症しない人もいるため、特に遺伝子変異のある方では下記に記載する環境要因を避けることが重要です。
頭部外傷
脳挫傷などの外傷性脳損傷のある方はアルツハイマー病の発症頻度が増加するとの報告が多数あります。交通事故などの高エネルギー外傷だけでなく、ボクシングやアメリカンフットボール、レスリングなどの接触スポーツで頭部の打撲を繰り返した場合にも発症頻度が増加すると報告されているため、注意が必要です。
金属の暴露
アルミニウムを豊富に含む粉塵にさらされた鉱山労働者にアルツハイマー病で亡くなった方が多いことが知られています。また、各種の微量金属が細胞の再生や修復などのプロセスに含まれていることから、アルミニウムや亜鉛、水銀、銅、カドニウムなどの金属の暴露がアルツハイマー病に関与することが知られています。鉱山や金属加工業で働く人は注意が必要です。
栄養失調や肥満
栄養失調はビタミンや微量金属などさまざまな栄養素の不足により、アルツハイマー病の発症に関与するとされています。肥満とアルツハイマー病の関連についてのメカニズムは不明ですが、観察研究などから強い関連が報告されています。食事との関連の報告もあり、バランスの取れた食事を心がけましょう。
「若年性アルツハイマーの初期症状」についてよくある質問
ここまで若年性アルツハイマーの初期症状などを紹介しました。ここでは「若年性アルツハイマーの初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
若年性アルツハイマーと高齢者が発症するアルツハイマーに違いはありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
若年性アルツハイマー病では22~64%で、アルツハイマー病としてよく知られている認知機能低下以外の症状が主体となると報告されています。また、子育てや仕事をしている年齢で発症するため、社会的な面での問題も大きく、うつ病などの精神疾患を併発する頻度も高くなります。
若年性アルツハイマーの初期症状にめまいや頭痛はありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
めまいや頭痛が初期症状となることはなく、それらの症状が目立つ場合には脳出血など別の疾患を疑います。
若年性アルツハイマーを発症すると嗅覚障害を引き起こすのでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
アルツハイマー病の方の半数以上で嗅覚障害がみられるため、若年性アルツハイマー病の方で嗅覚障害となりやすい可能性はあります。しかし、若年性アルツハイマー病で嗅覚障害が多いかどうかはわかっておりません。

