アルツハイマー型認知症の主な原因
アルツハイマー型認知症は、脳細胞内や周囲に異常なタンパク質がたまることが引き起こされると考えられています。この蓄積が起こる原因は正確にはわかっていませんが、リスクを高める要因としてはいくつかあるということがわかっています。
加齢
加齢は、最も大きな要因と言えます。
アルツハイマー型認知症を発症する可能性は、65歳を過ぎると5年ごとに2倍となります。一方で、40歳前後の方でもアルツハイマー型認知症を発症することはもちろんあります。
家族にアルツハイマー型認知症の人がいる
両親から受け継いだ遺伝子が、アルツハイマー型認知症を発症するリスクの増加に繋がっている可能性はあります。
一部の家族では、アルツハイマー型認知症はある特定の遺伝子が受け継がれることで引き起こされることが知られています。
もしも家族の何人かが何世代にもわたり、特に若い年齢で認知症を発症している場合には、アルツハイマー型認知症を発症する可能性があります。この場合には、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。
ダウン症候群
ダウン症候群という病気の人では、アルツハイマー型認知症の発症率が高くなると言われています。これは、ダウン症候群を引き起こす原因となる遺伝子の変化が、長い時間をかけて脳内にアミロイドプラークの蓄積につながり、一部の方ではアルツハイマー病につながる可能性があるためです。
高血圧
高血圧、特に、中高年の高血圧は、認知機能低下やアルツハイマー病などの認知症のリスクを上げることと関連しているといわれています。脳の小血管疾患が原因の一つではないかと言われています。
血圧が低すぎることも、また認知機能や記憶力に対して悪影響を与えると言われていますので、適切な血圧に保てるように健康診断などできちんとチェックすることが大切です。
2型糖尿病
糖尿病は、インスリンという血糖値を下げる働きをするホルモンが十分に働かなくなり、血液中を流れるブドウ糖が増えてしまうという病気です。
中でも、2型糖尿病は肥満や運動不足などが原因となり、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりすることで血糖値が高くなります。
この2型糖尿病は認知症の発症率リスクを上げることが知られています。
血糖値の高い状態では、喉の渇きや体重減少などの症状がでることもありますが、無症状の場合もあります。
そのため、健康診断などで血糖値の異常を指摘された場合には、放置せずに生活習慣改善や内科受診をするようにしましょう。
アルツハイマー型認知症の代表的な症状
アルツハイマー型認知症にでは、認知機能障害による症状と、認知症の行動・心理症状が現れます。末期には、さまざまな神経症状が起こり、寝たきりになります。
記憶障害
初期にまず障害されるのが、近時記憶(きんじきおく)です。これは、数分から数十分前の事柄を忘れてしまうというものです。そのため、何度も同じことを話したり聞いたりするようになります。
このような場合には、安定した環境を整え、日常生活のルーチンを一定に保つことで、患者の不安を減らすことができます。また、メモやリマインダーを活用することも効果的です。脳神経内科や精神科、または認知症専門のクリニックを受診するようにしましょう。受診時には、具体的な記憶の問題や他の認知機能の変化について具体例を準備しておくと良いでしょう。
見当識障害
見当識障害(けんとうしきしょうがい)とは、時間や場所の感覚がなくなってしまうことを言います。初期の頃は、時間的失見当識が生じ、今日の日付がわからなくなります。症状が進行すると、場所がわからなくなり、末期には人物の失見当識があらわれ、最後には家族のこともわからなくなります。
脳神経内科や精神科に受診することが推奨されます。家族が同伴し、日常の具体的な困りごとを説明すると良いでしょう。
失語・失行
初期には、失語といって、言葉を思い浮かべることが難しくなり、語彙が乏しくなります。次第に遠回しにいうような言い回しが増え、言葉が減ってきます。末期には、発する言葉の意味が理解できない状態になります。
失行症状とは、図形の模写が困難になり、物の使い方を真似するのが難しくなるといった症状のことです。さらに進行すると、洗濯や入浴などに使う道具の使用ができなくなったり、服が上手に着られなくなったりします。

