「化膿性汗腺炎の治療」は何をするのかご存じですか?医師が解説!

「化膿性汗腺炎の治療」は何をするのかご存じですか?医師が解説!

わきやおしりなどのデリケートな部分に繰り返し炎症が起こる「化膿性汗腺炎」について、気になる方も多いのではないでしょうか。

「わきの下やおしりに繰り返しぶつぶつができる」「皮膚が硬くなって膿を含んでいる」という症状がある人は、化膿性汗腺炎かもしれません。

この病気は、一定期間の間に、良くなったり悪くなったりをくり返すのが特徴です。重症化すると、できもの同士が繋がり膿のトンネルを形成することもあります。

今回は、化膿性汗腺炎について詳しく解説していきます。

※この記事はメディカルドックにて『「化膿性汗腺炎」の症状・粉瘤との違い・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

竹内 想

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

化膿性汗腺炎の治療と手術

パソコンの前で話す医師

化膿性汗腺炎はどのように診断されますか?

一般的には、問診と視診により判断が可能です。ただし、症状がよく似た皮膚疾患や感染症もあるため鑑別が必要となります。患部を確認しただけでは判断が付きにくい場合、皮膚の一部を採取して顕微鏡で病変部分を確認します。
以下の3つは、化膿性汗腺炎の重症度の評価によく用いられる方法です。 PGA (Physician’s global assessment for HS: PGA)
炎症性の結節・非炎症性の結節・膿瘍・瘻孔の数で評価します。 Hurley病期分類
患部の状態により、Ⅰ(軽症)・Ⅱ(中等症)・Ⅲ(重症)の3段階で評価します。膿を含んだできものが独立して存在する場合にはⅠ(軽症)です。
一度炎症が落ち着いたのちに皮膚が硬くなり、内部に膿のトンネルが形成された場合にはⅡ(中等症)となります。さらに、一度炎症が治まって瘢痕化した内部が膿を含んでトンネルのようになる瘻孔が複数つながり、炎症や膿が出ている状態の場合にはⅢ(重症)という評価です。 IHS4 (International hidradenitis suppurativa 4)
結節・膿瘍・瘻孔・瘻管の数により評価します。3点以下の場合は軽症、4~10点の場合は中等症、11点以上で重症となります。

治療方法を教えてください。

症状が軽い場合には、抗菌作用のある塗り薬と飲み薬での治療が一般的です。中等症~重症の場合には、炎症を抑えるための皮下注射を行います。
また、生理不順や高アンドロゲン血症などホルモン異常のある女性は抗アンドロゲン薬を処方します。肥満や喫煙など、化膿性汗腺炎を悪化させるリスクが高い患者に対しては減量や禁煙の指導も必要です。
重症の場合には、「アダリムマブ」という薬を用いることもあります。1~2週間ごとに継続投与を行うことで結節や膿瘍の数を減らす効果を期待できる薬です。こちらの薬は保険適用となります。
症状を悪化させないために、薬物治療と合わせて生活改善を心がけていきましょう。

手術が必要な場合もあるのでしょうか?

重症化した場合には手術が必要です。それぞれの膿瘍を切開したり病変部分の上を筒状のメスでくり抜いたりして膿を外に排出させる方法があります。こちらの処置は身体への負担も少ないですが再発することも多い方法です。
その他には、炎症をくり返す範囲や重症度に応じて、部分切開または広範囲での切除が行われます。切除した部分に健康な皮膚を移植する「植皮」が行われることもあります。また、外科的な手術よりも負担が少ないレーザー療法が用いられるケースもあります。

編集部まとめ

パソコンで調べ物をする女性
今回は、わきやおしりに赤いぶつぶつができ、時には膿を伴うこともある化膿性汗腺炎について解説しました。

症状が出やすい場所がデリケートな部位であるため、なかなか人に相談しにくい病気でもあります。

しかし、重症化すると炎症部分の痛みや臭いにより日常生活に支障が出てしまうこともあるので注意が必要です。

皮膚のできものは、化膿性汗腺炎以外の皮膚疾患である可能性もあります。気になる症状があれば、できるだけ早めに受診するように心がけましょう。

参考文献

難病情報センター

Q1 アテロームとはどんなものですか?(日本皮膚科学会)

配信元: Medical DOC

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