7月2日に配信されるや否や、爆発的ヒットを記録しているNetflixシリーズ「ガス人間」(全8話)。小栗旬さん演じる刑事・賢治、蒼井優さん演じる記者・京子、そして本作で俳優デビューを飾ったUTAさん演じるガス人間に加え、トリックスターとして大活躍しているのが広瀬すずさん扮する華歩と林遣都さん扮する富士太の配信者の兄妹です。2人の登場と共に物語が大きくドライブする第4話に驚かれた方も多いはず。オトナミューズウェブの「ガス人間」勝手に徹底特集、第3回では広瀬さんと林さんに思う存分《ネタバレ対談》を行っていただきました。レアな制作秘話を読んだらもう一度、本編を観返したくなること間違いなし! “おかわり観賞”のおともに、ぜひお使いください。
※作品中盤の内容に触れた記述があります。未視聴の方はくれぐれもご注意ください。
Netflixシリーズ「ガス人間」独占配信中
――華歩と富士太のビジュアルが鮮烈ですが、どのようにして現在の形に到達されたのでしょう。
林 脚本にはそこまで細かい設定は書かれておらず、「華歩にはあざがある」「ホラー系統の配信者」というくらいでした。衣装合わせの中で、監督を中心にアイデアを膨らませていきました。この兄妹はこういう生き方をしてきて、今はこういう状態で……といったような役柄の設定をお話しながら、一通り試してみて「これだ」というものを見つけていく形でした。片山監督が出して下さるアイデアはすごく面白いですし、細かな設定まで熟考される監督なので「片山さんにハマるものが決まるまで委ねよう」と早い段階で僕は決めて、ただひたすら着替え続けました。
林遣都さん演じる配信者の富士太
広瀬 衣装は本当にさまざまなものを着ましたよね。2回目の衣装合わせのときに「金髪ロングになりました」と聞き、人物デザイン監修/衣裳デザインをして下さった柘植伊佐夫さんが描かれたイメージ画を拝見して「1回目のときと随分変わったな、何が起こったのだろう」と驚きました。大胆にキャラクター像を一新して下さったのは自分としても楽しかったですし、演じる上でのヒントをたくさんもらえた感覚になりました。
広瀬すずさん演じる配信者の華歩
――準備稿(完成稿の前段階の脚本)を読ませていただきましたが、配信時のテンションやトーンについては「ゴス系メイクで大げさに目を見開き、舌を出す」というト書きとセリフくらいだったかと思います。そこから富士太のスタイルを構築されたのは、すごいなと。
林 まさに僕も富士太がどういった人物でどんなテンションなのか人物設定を探るところから始まりました。初日の撮影ということもあり、自分なりにいろいろと考えたものを現場に持っていき、片山さんに観ていただきながら「次はこうやってみてもらえますか?」「次はこういう形でどうでしょう」とさまざまなパターンを試して、一緒にたどり着いていく流れでした。
――初日があのシーンだったのですね!
林 はい。屋上のシーンを撮った後で、配信シーンに移りました。
広瀬 自分のテンション云々の前に、動画配信時の爆発的にキャラを作っているお兄ちゃんも、屋上で一緒にいるときの普段通りのお兄ちゃんもどっちも面白くて幸せだな、と感じられる空気感を林さんが作って下さいました。屋上という開放的な空間から、室内という2人だけのこじんまりした空間に移っていくのも心地よくて、すんなり受け入れられました。
林 屋上は夜の雰囲気もすごくよかったですよね。
広瀬 あのシーンの撮影だけは涼しかったですよね(笑)。
――本作のプロデューサー陣が「お2人が兄妹に見えるかも重要だった」とおっしゃっていました。広瀬さん・林さんは撮影時など、何か工夫されたことはおありでしたか?
林 おたがい口数が多い方ではないのであまりそういった会話はありませんでしたが、実際にすずちゃん自身も妹で、僕にも妹がいて兄の立場で、そういった部分がちょうどハマったような感覚があります。
広瀬 私は台本をいただいたときから「妹感全開で行こう」と思っていました。しゃべり方も含めて子どものままでいいな、って。この年齢で、この距離感でしゃべる兄妹いる? ってくらい、富士太と華歩は“近い”ですよね。ただ私としてはそこが好きで、この2人の間でしか流れていないぬくもりを思う存分味わいつつ、丸ごと全部寄りかかるような感覚でいました。
――富士太と華歩が本格登場する第4話は、ガラッとトーンも変われば要素も盛り盛りで、髙嶋政宏さんや賀来賢人さんが演じる個性的なキャラクターも登場します。非常に面白いエピソードでありつつ、異色の回といえますよね。
林 実は、「ガス人間」の撮影自体が、第4話から始まったんです。我々のパートが8割がた撮り終わってから小栗旬さんがクランクインするスケジュールでした。
――あれが初っ端とは……まさにやりたい放題でしたよね(笑)。髙嶋さん演じるゴロ監督の面接シーン、何度観ても笑ってしまいます。
林 片山さんの遊び心と役者への愛が爆発していますよね。仕上がった本編だとあれくらいの長さですが、撮影中は10分くらいカメラを回しっぱなしでした。しかもあのくだり、台本にないんですよ。髙嶋さんに片山さんが委ねて、カットがかからないまま50問くらい質問されて、8割が下ネタでした。なんの時間なんだよと思いました(笑)。衣装合わせ同様に片山さんのおかげでいろいろなパターンのお芝居がどんどん引き出されていきました。本当にひどい目に遭いましたが(笑)、すごく楽しかったです。
髙嶋政宏さん演じるゴロ監督
――ホストクラブに潜入した華歩に富士太が車中から指示するシーンでは、片山監督自らお茶場(撮影現場に設置される休憩所)のお菓子を持ってきて「これを食べながら演じてほしい」と指示されたそうですね。現場でどんどん足されていく感じだったのだな、と思いました。
林 そうですね。1つのシーンをとことん追求される監督でした。
広瀬 林さんと髙嶋さんのやり取りを車中から見ながらお芝居するとき「リアルタイムで動画を観ながら演じて下さい。自由にしゃべってもらっていいです」と言われて、私も10分の長回しを見続けました(笑)。髙嶋さんがスカートをはいているとは知らず、本番でどこまで笑っていいかわからずに「その人、大丈夫な人!?」みたいに言ってしまったのですが、そういったものも全部使って下さって、すごくライブ感のある現場でした。
――正直、お2人の語られる現場トークが面白すぎます(笑)。広瀬さんは嘔吐シーンにも挑戦されていましたね。
広瀬 あのシーンも「3分割、できます?」と言われました。口の中に収めるのにも限界があるので、何回に分けられるかという話になり。「私いま、やっちゃいけないことやってる?」とも思いつつ、スタッフの皆さんから「吐くのが上手!」と褒めていただき、今後に自信がつきました(笑)。
林 僕に対しては「そのゲロいくらすると思ってるんだよ、と言って下さい」と指示が来ました(笑)。めちゃくちゃいいセリフじゃないですか?
――最高でした。
林 僕はそうしたクスッと笑える片山監督のセンスが大好きです。人と違うことをやろうとしたり、狙っている感じが全くなく、細かな動機を考えて考えて考え抜いた結果そこにたどり着いたのが伝わってくるんです。
Interview & Text_SYO
Photograph_KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE]
Styling_ YONOSUKE KIKUCHI(林さん)、YOKO KAGEYAMA[eight peace](広瀬さん)
Hair & Make-up_ TAZURU TAKEI[&'s manegement](林さん)、AIKO TOKASHIKI(広瀬さん)
衣装クレジット 広瀬さん■ブラウンピンタックシャツ¥26,400、ブラウンプリーツスカートベルト¥22,000、ブラウンワイドタックパンツ¥35,200(全てアモーメント/AMOMENTO TOKYO FLAGSHIP STORE)、ピアス¥103,400、チェーンブレスレット¥223,300(共にシャルロット シェネ/シャルロット シェネ 青山店)、サンダル¥140,800※参考価格(ネオス/ザ・ウォール ショールーム)、ブラックキャミソールはスタイリスト私物
お問い合わせ先:
AMOMENTO TOKYO FLAGSHIP STORE 070-3185-9757
ザ・ウォール ショールーム 050-3802-5577
シャルロット シェネ 青山店 03-6433-5955

