
GACKTがフジドラマ初主演、月9初主演を務める「ブラックトリック~裁きを操る弁護人~」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)が7月20日(月)にスタートする。「正義がウソにつぶされるなら、ウソで正義を勝たせる」をモットーにする敏腕弁護士が“ウソ”を武器に真実を暴いていく痛快リーガルエンターテインメントで、GACKTは“でっちあげの天才”と称される弁護士と一級建築士の二刀流をこなす主人公・浦真鷲を演じる。自分の目で確かめるまではどんな世間の評価も信じず、己の正義と勝つためなら手段を選ばない“月9”としては異色のダークヒーローを演じるGACKTに、役への思いや自身との共通点、ドラマの見どころについて聞いた。
■スマホで視聴することも意識した作品づくり
――フジテレビのドラマ初出演、月9初主演となりますが、今の心境をお聞かせください。
ボクは二番手か、三番手ぐらいで主演を支えるぐらいがちょうどいいんですよ(笑)。主演は重すぎます。
――台本を読んでの感想を情報解禁時のコメントでは「月9っぽい」と言われていましたが、それはどのようなところに感じましたか?
最初にいただいた台本は万人受けするような内容だったので、そう感じたのですが、やっているうちに台本がどんどん変わってきて、もっとドキドキできるものになったという印象があります。
今までの月9は主に日本人に向けて作られているものが多かったと思いますが、今は動画配信などを含めてターゲットが世界に広がっているので、本当に面白いものを作らないと、誰も観てくれないと思うんです。今はスマートフォンで観る人たちも増えてきているので、スタッフたちもスマホの小さい画面で観てもスケール感のある作品にしようとこだわっていることが撮影に参加していてもすごく伝わってきます。
――ストーリーはもちろんのこと、映像にも期待ができそうですね。
今回の撮影クルーは普段ドラマをやらない映画班(※)が担当していて、モニターを見ていても「これはドラマの規模じゃないな」と思いました。本当にびっくりするほど映像が美しいですし、そのまま映画にできるんじゃないかと思うぐらいクオリティーの高いものになっています。
(※『キングダム 大将軍の帰還』で日本アカデミー賞最優秀賞撮影賞を受賞した佐光朗、同じく最優秀照明賞に輝いた加瀬弘行がスタッフとして参加)
■クセの強い主人公に感じる自身との共通点
――今回、GACKTさんが演じられる浦真鷲は、“でっちあげの天才”と称されるウソで正義を勝ち取るダークヒーローとなっています。弁護士と建築士の二刀流で活躍するキャラクターでもありますが、浦真鷲をどういう人物だと捉えていますか?
気質そのものは建築士で、しかもかなりこだわりの強い変わった建築士です。そんな浦真鷲がなぜ弁護士になったのかはストーリーが進むにつれてわかってくると思います。そのうえで、今言えるのは、正しいことをやっている人たちがウソによって言いくるめられたり、ハメられたり、ときに犯罪者のような扱いを受けてしまったりすることがあったりして、すごく生きづらい世の中になっていると思うんですね。
そこに対するアンチテーゼでもありますが、浦真鷲は正義を正面からやるのではなく、相手がウソで固めるのであれば、こちらはさらにそれを上回るウソでひっくり返す。それが浦真鷲であり、かなり歪んだ性格の男だと思います。
――浦真鷲を演じるうえで意識していることはありますか?
自分にないものをやろうとは思っていなくて。ボクも演技をやり始めた頃は(自分とは)違う人物になろうとしていましたが、今はそういう感じではなく、自分の引き出しから役と共通する部分を出して、なるべく自然にできるようにしようと思っていて。10年ぐらい前からスタイルが変わっているので、無理に演技している感じはないですね。なので、ボクのイヤらしいところとか、人をつめていくところとか、人をひっかけるところとか、ボクの得意なことをたくさんやっています(笑)。
■志田未来、神尾楓珠、戸塚純貴との共演で世代間ギャップも
――浦真鷲に振り回されるウソが嫌いなエリート弁護士役の志田未来さん、浦真鷲と同じ建築事務所でアシスタントを務める神尾楓珠さん、浦真鷲と同じ一級建築士を演じる戸塚純貴さんの印象を教えてください。
まず、楓珠はビックリするくらい超人見知りですね(笑)。だから、どうやって彼を引き込むかを自分がうまくやらないと、すぐ心を閉ざしてしまうと思ったので、演技でのやりとりを含めてコミュニケーションの取り方には気をつけているというか、けっして押しつけず、彼がやりやすいように誘導していく感じで向き合っています。
純貴は、非常に頭のいい子です。対応能力が高いですし、彼は乗せれば乗せるほど力を発揮する子なので、現場ではずっと乗せ続けて、いい演技ができるようにしています。
未来は、ボクの想像をはるかに超えるいい俳優です。正直、こんなに演技ができるんだとビックリしました。その場の空気のつかみ方や、監督からの指示を受けたときの反応速度もそうですが、自分の色を出しながら上手に役を作っていくんですよ。
ボクは現場で台本にないことをやることも多いのですが、未来はそれにもすべて瞬時に対応してくれるので本当にすごいなと思います。だからこそ、未来と一緒のシーンでは安心して台本にないことをやることができています。
――撮影現場の雰囲気はいかがですか?
未来や楓珠、純貴もそうですが、世代の違う役者が集まっているので、世代間のギャップみたいなものは感じますね。ノリも違いますし、仕事に向き合う姿勢も違いますしね。でも、それはそれぞれの世代にそれぞれの考え方があって、どちらが良い、悪いではなくて。その世代間ギャップみたいなものが混じり合うときがこの作品の中にもあるので、ドラマを観てくださる方にもそれぞれの世代によって「わかる、わかる」と思ってもらえるような伝え方ができればいいなと思っています。
――浦真鷲が所属する建築設計事務所にも、若手からベテランまで幅広い世代がそろっていますね。
かなりの世代を網羅していると思います。しかも、台本に書かれているもの以上に、世代間のやりとりみたいなものがリアルに出ているので、会社を経営されている方や中間管理職で世代間のギャップに悩んでいる方がいたら、このドラマを観ると、人との向き合い方のヒントがたくさんあるんじゃないですかね。
■撮影開始して4日間は食事抜きで集中モード
――厳しい暑さの中での過酷な撮影になりそうですが、それを乗り越えるために気をつけていること、もしくは撮影の必須アイテムはありますか?
アイテムはないです。それよりもボクは撮影中とか時間がないなと思ったら、食事をしないとかぐらいです。今回のドラマも撮影が始まって(取材日時点では)1週間ぐらいですけど、最初の4日ぐらいは食事を抜いてやっていて。ボクにとっては集中できる環境を作ることが何よりも大事なので、何かを食べなきゃという感覚がないんです。
もちろん、体重が落ちないようにバランスを取りながらやってはいますが、集中できる状況をつねに作っておきたいと思いながらやっています。
――浦真鷲はかなり個性的なキャラクターですが、この作品でしか見られないGACKTさんの注目ポイントを教えてください。
浦真鷲は人を引っかけるようなことをすごく言うので、「GACKTって、こんなにイヤなヤツだったんだ」と思う瞬間がたくさん出てくるかもしれない(笑)。あと、浦真鷲は他者とうまく関われないところがあって。ボクは年齢を重ねてだいぶマシになってきていると自分では思っていますが、ボク自身も少なからずそういうところがあるので、やはり浦真鷲と近いところにいるのだと思います。
浦真鷲はちょっと偏った思考の持ち主ですが、問題を解決するのにも「なぜなんだろう」という疑念をとことん追い込んでいく男でもあります。ボク自身もそうですが、浦真鷲は「社会に合わせないといけない」という考えの持ち主ではなく、それでいて社会を拒絶するのではなくありのままで向き合っていく。もし社会や人との向き合い方で悩んでいる人がいれば、浦真鷲の言動を参考にしていただければと思いつつ、浦真鷲は本当にびっくりするぐらい適当に動いたりもするので、そういう意味ではあまり参考にならないかもしれません(笑)。でも、自分と関係のある人たちへの上手なフォローと上手な転がし方を含めて、こういう人でも生きていけるんだということが伝わればいいなと思ってます。

◆取材・文=馬場英美

