“あの寝方”はすぐやめるべき?「緑内障になりやすい人」の3つの特徴

“あの寝方”はすぐやめるべき?「緑内障になりやすい人」の3つの特徴

「眼圧が正常なら緑内障の心配はない」と思っている方もいるかもしれません。しかし、日本では眼圧が正常範囲内でも発症する「正常眼圧緑内障」が多いことが知られています。うつぶせ寝による睡眠中の眼圧変動は、日中の検査では把握できないことがあります。特に注意が必要な方の特徴とあわせて、緑内障リスクと睡眠姿勢の関係を確認していきましょう。

柳 靖雄

監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

うつぶせ寝と眼圧上昇の罠|緑内障リスクを高める睡眠環境

緑内障は眼圧だけで発症する病気ではありませんが、眼圧は現在のところ治療や生活習慣の見直しによって介入できる重要なリスク因子とされています。うつぶせ寝は、睡眠中の眼圧上昇に関与する可能性があるため、緑内障のリスクが気になる方にとって注意したい習慣の一つです。このセクションでは、うつぶせ寝と緑内障の関係について詳しく解説します。

正常眼圧緑内障とうつぶせ寝の関係

緑内障というと「眼圧が高い人がなる病気」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、日本人の緑内障では、眼圧が一般的な正常範囲内であっても発症する「正常眼圧緑内障」が多いことが知られています。

実際、日本で行われた疫学調査では、緑内障患者さんの多くが正常眼圧緑内障に該当すると報告されています。そのため、健康診断や眼科受診で「眼圧は正常です」と言われたとしても、緑内障の可能性が完全に否定されるわけではありません。

正常眼圧緑内障では、眼圧の高さそのものだけでなく、視神経の血流や視神経の脆弱性、眼圧の変動幅などが関与していると考えられています。特に近年は、「眼圧の平均値」だけではなく、「眼圧の変動」にも注目が集まっています。

うつぶせ寝によって睡眠中に眼圧が上昇する可能性がある場合、日中の測定では分からない眼圧変動が生じていることになります。こうした変動が長期間続いた場合、視神経への負担につながる可能性があると考えられています。

また、睡眠中は数時間にわたって同じ姿勢が続くことも少なくありません。日中のように姿勢を頻繁に変えることが難しいため、眼圧が高い状態が長時間持続する可能性があります。

さらに、眼圧の上昇やその変動は、視神経への負担因子の一つと考えられています。とくに正常眼圧緑内障では、眼圧以外に視神経血流の異常も関与しているとされています。

ただし、現時点では「うつぶせ寝が直接的に正常眼圧緑内障を引き起こす」と証明されているわけではありません。あくまで複数あるリスク要因の一つとして考えられており、個人差があることも理解しておく必要があります。

リスクが特に高い方の特徴

うつぶせ寝による眼圧上昇の影響が特に気になるのは、もともと緑内障のリスクを抱えている方です。

例えば、すでに緑内障と診断されている方や、眼圧が高めと指摘されたことがある方では、睡眠中の眼圧変動にも注意を払う必要があります。治療中であっても、生活習慣の見直しが病状管理の一助となる可能性があります。

また、家族に緑内障の方がいる場合も注意が必要です。緑内障には遺伝的要因が関与すると考えられており、親や兄弟姉妹に緑内障の方がいる場合は発症リスクが高くなることが知られています。

40歳を超えると緑内障の有病率は徐々に上昇するとされており、加齢も重要なリスク因子の一つです。特に40歳以上で眼科検診を長期間受けていない方は、一度検査を受けることを検討してもよいでしょう。

また、高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などの全身疾患を抱えている方では、眼の血流環境に影響が及ぶ可能性があるため、眼科的な管理が重要になる場合があります。

このように、うつぶせ寝だけで緑内障が決まるわけではありません。しかし、複数のリスク因子を持つ方がうつぶせ寝を習慣としている場合には、視神経への負担が懸念される可能性があります。

眼圧の管理は点眼治療だけでなく、生活習慣の見直しも含めて考えることが大切です。緑内障と診断されている方やリスクが高い方は、睡眠姿勢についても一度眼科医へ相談してみるとよいでしょう。睡眠環境を整えることは、視神経を守るための取り組みの一つになるかもしれません。

まとめ

毎晩のうつぶせ寝は、眼圧を一時的に上昇させる可能性があり、とくに緑内障やそのリスクがある方では注意が必要です。失われた視野を回復させることは難しく、症状が現れる前の定期検診が重要です。首や脊椎、呼吸など全身への影響も踏まえると、うつぶせ寝を見直すことは幅広い健康上のメリットをもたらします。まずはできることから睡眠姿勢の改善に取り組み、定期的な眼科検診を習慣として取り入れていただければと思います。
本記事で述べている「うつぶせ寝による眼圧上昇」は、複数の研究で報告されている事実です。とくに緑内障の治療中の方や、眼圧が高め・家族歴がある方は、睡眠体位を含めた生活習慣の見直しを眼科医と相談することをおすすめします。一方で、うつぶせ寝をしているすべての方が失明するわけではなく、睡眠姿勢と緑内障の因果関係を直接示した大規模研究はまだ限られています。不安がある方は、症状の有無にかかわらず定期的な眼科検診を受けてください。

参考文献

日本眼科学会「緑内障診療ガイドライン(第5版)」

国立眼科研究所(NEI)「Glaucoma: What You Should Know」(参考)

配信元: Medical DOC

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