全身性強皮症は、皮膚だけでなく肺や心臓、消化管など全身の臓器に影響を及ぼす可能性がある疾患です。症状の現れ方や進行のスピードには個人差が大きく、いくつかのタイプに分かれます。
本記事では、全身性強皮症の基礎知識を解説します。
※この記事はメディカルドックにて『30〜50代女性に多い「全身性強皮症」の原因と見逃せない初期症状とは?【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学附属市民総合医療センター リウマチ膠原病センター)
【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
日本リウマチ財団 登録医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
日本臨床免疫学会 免疫療法認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本エイズ学会 認定医
日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本母性内科学会 母性内科診療プロバイダー
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)
インフェクションコントロールドクター
博士(医学)
診療科目
一般内科、リウマチ・膠原病内科、アレルギー科、感染症科
全身性強皮症の基礎知識

全身性強皮症はどのような病気ですか?
全身性強皮症は、皮膚や内臓が硬くなる硬化や線維化を特徴とする疾患です。皮膚だけでなく肺や心臓、消化管など全身の臓器に影響が及ぶことがある点が特徴です。また、すべての患者さんで同じ経過をたどるわけではなく、進行の速さや内臓への影響の程度には大きな個人差があります。ほとんど進行しないケースもあることから、かつて用いられていた進行性という表現は現在では一般的に使われていません。
全身性強皮症は次の2つに分類されます。
びまん皮膚硬化型:皮膚硬化が体幹まで広がりやすく、発症から数年は進行しやすい
限局皮膚硬化型:皮膚硬化が手指などにとどまり、進行は緩やかまたはほとんど進まない
上記の分類によって、将来的な症状の現れ方や内臓病変のリスクをある程度予測できるようになりました。
日本には何人程度の患者さんがいますか?
日本の全身性強皮症の患者数は、27,017人と報告されています。ただし、全身性強皮症は初期にレイノー現象(寒さなどで指先の色が変わる症状)から始まることが多く、皮膚の硬化がゆっくり進行する軽症例では、病気に気付かれないまま経過するケースも少なくありません。そのため、診断に至っていない患者さんも含めると、実際の患者数は報告数の数倍にのぼる可能性があると考えられています。
また、男女比は約1:12と女性に多く、特に30〜50歳代での発症が目立ちます。一方で、ごくまれに小児期や高齢期に発症することもあります。
全身性強皮症の原因を教えてください
全身性強皮症の原因は、現時点では完全には解明されていません。ただし、近年の研究により、発症には主に自己免疫、線維化、血管障害という3つの異常が深く関わっていることがわかってきました。免疫の異常により本来は自分の身体を守るはずの免疫が自身の組織を攻撃し、炎症や自己抗体の産生が起こります。これがきっかけとなって、皮膚や臓器が硬くなる線維化や、血管の障害へとつながると考えられています。
実際に、免疫の働きを抑える薬が一定の効果を示すことから、免疫異常が病気の出発点である可能性が高いとされています。
さらに近年では、免疫に関わるB細胞の異常な活性化や、インターロイキン6と呼ばれる炎症性物質の関与も明らかになってきました。線維芽細胞を刺激し、皮膚や臓器の硬化を進める要因の一つと考えられています。
ただし、免疫異常が起こる理由や引き金に関しては解明されておらず、現在も研究が進められています。
参照:
『全身性強皮症(指定難病51)』(難病情報センター)
『原因はわかっているのですか?』(日本皮膚科学会)
編集部まとめ

全身性強皮症は、皮膚の硬化だけでなく、肺や心臓、消化管などさまざまな臓器に影響を及ぼす可能性がある病気です。
診断は問診・診察・検査を組み合わせて総合的に行われ、診断基準はあくまで判断の目安として用いられます。
治療は、病気の進行を抑える方法と症状を和らげる方法を組み合わせて行われ、近年は新たな治療選択肢も増えてきています。
強皮症は長期的に向き合う必要がある病気ですが、適切な診断と継続的な治療によって症状のコントロールが期待できます。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
【参考文献】
『全身性強皮症(指定難病51)』(難病情報センター)『原因はわかっているのですか?』(日本皮膚科学会)
『診断はどのように行われるのですか?』(日本皮膚科学会)
『どんな治療がありますか?』(日本皮膚科学会)- 「膠原病の原因」はご存知ですか?発症しやすい性別や年代も解説!【医師監修】
──────────── - 「強皮症」とはどんな病気かご存知ですか?原因や治療費も解説!【医師監修】
──────────── - 【闘病】奔走して診断に3年かかった『膠原病』 “指を切断”の危機と全身の激痛の日々
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