「夕方の足のむくみや息切れ」に注意?不整脈が原因で起こる危険な症状【医師監修】

「夕方の足のむくみや息切れ」に注意?不整脈が原因で起こる危険な症状【医師監修】

心拍数が著しく低下すると、全身へ届く血液量が減少し、倦怠感や息切れ、むくみなどさまざまな症状が生じる場合があります。なかでも「アダムス・ストークス発作」と呼ばれる突然の意識消失は、転倒や外傷のリスクを伴う重篤な状態です。このセクションでは、完全房室ブロックが引き起こす代表的な症状とその背景にある仕組みをご紹介します。

本多 洋介

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

完全房室ブロックが引き起こす主な症状の全体像

完全房室ブロックでは、心拍数の著しい低下によってさまざまな症状が現れます。このセクションでは、代表的な症状とその背景にあるメカニズムを整理します。

徐脈による全身症状——倦怠感・息切れ・むくみ

完全房室ブロックでは、心室が自発的なペースで収縮するものの、その頻度は1分間に30〜50回程度にとどまることがあります。通常の心拍数(60〜100回程度)と比べると著しく少なく、全身に届く血液の量が大幅に減少します。これが「徐脈(じょみゃく)」と呼ばれる状態です。
徐脈による血流不足は、全身にさまざまな影響を及ぼします。まず、脳への血流が不足することで頭重感や集中力の低下、慢性的なだるさが現れやすくなります。また、筋肉や臓器への酸素供給も低下するため、少し動いただけで強い倦怠感を感じたり、息が切れたりすることがあります。普段は平気だった階段の上り下りや買い物が急に辛くなった、という変化を感じる方もいます。
さらに、心臓のポンプ機能の低下は体液のバランスにも影響します。静脈血が心臓に戻りにくくなることで、足首や下肢にむくみが生じる場合もあります。特に夕方になるにつれてむくみが強くなる傾向があり、「靴がきつくなった」「足が重い」という訴えとして現れることもあります。これらは一見すると心臓病と結びつきにくい症状ですが、完全房室ブロックのサインである可能性があります。

失神(アダムス・ストークス発作)という重篤な症状

完全房室ブロックに特有の重篤な症状として、「アダムス・ストークス発作(Adams-Stokes attack)」があります。これは、心拍数が極端に低下したり、一時的に心室が停止したりすることで、脳への血流が急激に途絶え、突然意識を失う状態です。前触れなく発症することが多く、転倒や外傷のリスクがあるため非常に危険な状態といえます。
アダムス・ストークス発作の特徴は、倒れた後に自然と意識が戻ることです。失神後、数秒〜数十秒で意識が回復し、本人には何が起きたか分からない場合もあります。そのため、「転んだ」「気が遠くなった」程度に捉えられてしまい、適切な評価が遅れるケースも少なくありません。
発作が繰り返されると、突然死のリスクが高まるとされています。特に高齢者では、転倒による骨折や頭部外傷を合併する可能性もあります。アダムス・ストークス発作が疑われる場合は、速やかに循環器内科での精査が必要です。ペースメーカーの植え込みによる治療が行われることで、多くの場合、発作の再発を防ぐことが期待できます。

まとめ

完全房室ブロックは、心臓の電気信号が心室に伝わらなくなることで、徐脈・倦怠感・失神・めまいといったさまざまな症状を引き起こす不整脈です。前兆となる脈の乱れや前失神の段階で気づくことができれば、早期の介入につながります。症状が気になる方は、循環器内科での心電図検査を早めに受けることが大切です。ペースメーカー治療によって多くの方が症状の改善と生活の質の向上を実感しており、適切な治療と定期的なフォローアップが心臓の健康を守ります。

参考文献

日本循環器学会「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」

国立循環器病研究センター「不整脈」

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。