2026年7月4日 追悼の展示|辛酸なめ子

2026年7月4日 追悼の展示|辛酸なめ子

ミヅマアートギャラリーで、中ザワヒデキさん企画の「もとみやかをる 追悼展」があったので行ってきました。亡くなられて4年も経つなんて、まだ一昨年くらいだと思っていました。30年くらい前、お二人がご夫婦だったときにバイトで手伝いをさせていただいていました。

 

会場には約8,000個のマシュマロで構成されたドレスのインスタレーション作品「内なる被服」などが展示。制作してから25年以上経つのにマシュマロがそのままの形をとどめていました。少し黄色っぽくなっているくらいで変な匂いもなく……。網に等間隔でマシュマロがつけられていて、かつてグラフィックデザイナーでもあったもとみやさんの完璧な仕事ぶりに思いを馳せました。

中ザワさんによる詳細な年表も展示されていました。私が夫妻のもとでバイトさせていただいていた90年代前半のできごとは、懐かしい名称がたくさん出てきて、飼われていたパグ犬なども思い出しました。でも、それ以降、世界各国でアート活動をされていたことは今回の年表で知って、90年代から社会的な課題をテーマにしていた先見性にも驚かされました。そして裏千家の茶道もされていたそうです。

会場内の空間に、白い小さな発光体がチラッと見えたので、もしかしたら会場にいらしていたのかもしれません。その日の夜、誰かと一緒に空港にいる夢を見たのですが、今ももとみやさんは好きなときに世界各国を旅しているような気がします。

完璧な形で保管されていた代表作「内なる被服」(2000年/高橋龍太郎コレクション)高橋さんの保管の技術もすごいです。

懐かしいといえば、その日、俳優さんの取材で指定された場所が、なんと新宿村でした。文士劇「風と共に去りぬ」の直前稽古で、1週間ほど毎日通った場所です。私ははじめて行く取材場所は大抵迷うのですが、1週間通った新宿村は流石に体が覚えていました。部屋は違って地下の狭めのところだったのですが、稽古中の写真など見返して思い出にふけりました。俳優さんが「昨日顔合わせで本読みがあって、これから立ち稽古が始まる」と言っていて、プロのスピード感に驚きました。

編集の方に「出口はこっちです」とくわしい感をアピールして案内してしまいましたが、そのくらいしか覚えていません。思い出が風化するのは早いです。自分のことですら忘れてしまいますが、もとみやかをるさんのように、親しい方々が過去のアーカイブを集めて展示してくれるというのはレアなことで、やはりご人徳があったのでしょう。

配信元: 幻冬舎plus

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