上室性期外収縮の症状は、生活習慣の改善によって和らぐことがあります。睡眠・ストレス・食事・運動といった日常のあり方が、自律神経のバランスを通じて心臓の電気信号に影響を与える可能性があります。特別なことを始めるのではなく、毎日の生活を少しずつ整えることが、症状と上手に付き合うための土台になります。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
上室性期外収縮との上手な向き合い方|医療機関での治療と薬物療法
生活習慣の見直しだけでは改善が難しい場合や、症状が強く日常生活に影響している場合は、医療機関での診察と治療が必要になることがあります。このセクションでは、上室性期外収縮に対する医療的なアプローチについて解説します。
循環器内科での検査と診断の流れ
上室性期外収縮が疑われる場合、まず循環器内科での受診が勧められます。診察では問診(症状の出方・頻度・きっかけ・持続時間など)と検査が行われます。
最初に行われる検査として代表的なのが「心電図検査」です。心電図は心臓の電気的な活動を波形で記録するもので、上室性期外収縮が起きているときに特徴的な波形が確認されます。ただし、症状が常に出ているわけではないため、通常の安静時心電図では捉えられないことも少なくありません。
そのような場合に用いられるのが「ホルター心電図」です。ホルター心電図は、小型の装置を身につけて24時間以上の心臓の活動を記録するものです。日常生活を送りながら記録できるため、どのようなタイミングで上室性期外収縮が起きているかを把握しやすく、頻度や重症度の評価に役立ちます。
さらに必要に応じて「心エコー検査(超音波検査)」が行われることもあります。心臓の構造や動き、弁の状態などを確認することで、上室性期外収縮の背景に心臓の器質的な異常(心臓の構造自体の問題)がないかどうかを調べることができます。
これらの検査の結果をもとに、治療が必要かどうか、どのような治療が適切かが判断されます。
薬物療法とカテーテルアブレーションについて
上室性期外収縮の治療は、症状の程度や頻度、日常生活への影響、基礎疾患の有無などを考慮して選択されます。すべての方に治療が必要なわけではなく、症状が軽く日常生活に支障がない場合は、経過観察と生活習慣の改善が中心になることも多くあります。
症状が強かったり、頻度が高かったりする場合には、薬物療法が検討されます。主に使用される薬には「抗不整脈薬」があり、心臓の電気信号の乱れを抑える働きがあります。また、動悸や心拍数の増加を抑えるために「β遮断薬(ベータ遮断薬)」が用いられることもあります。これらの薬は医師の指示のもとで使用するものであり、自己判断で服用・中止することは避けてください。
なお、通常、上室性期外収縮そのものに対して手術が行われることは稀です。ただし、上室性期外収縮が引き金となって心房細動など別の不整脈を引き起こしている場合や、極めて特殊なケースにおいては、異常な電気信号の発生源を治療する「カテーテルアブレーション」が検討されることもあります。上室性期外収縮そのものに対してアブレーションを行うことは多くなく、期外収縮が引き金となって心房細動などを起こしている場合や、特定の部位からの頻拍が確認された場合などに、専門的な判断のもとで検討される治療です。
いずれの治療においても、患者さん一人ひとりの状態に合わせた判断が重要です。「どの治療が自分に向いているか」について、担当医に率直に相談することが、適切な治療を受けるための第一歩となります。
まとめ
上室性期外収縮は、コーヒーやアルコールなどの摂取習慣・睡眠不足・ストレスといった日常生活の要因と深く関わっています。症状が気になる方は、まずカフェインや生活習慣の見直しに取り組むことが大切です。無症状でも健康診断で指摘された場合は、放置せず循環器内科への受診を検討してください。自分の身体の状態を正しく把握し、必要に応じて専門の医師に相談することが、上室性期外収縮と向き合ううえでの第一歩となります。
参考文献
日本循環器学会「不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」
国立循環器病研究センター「不整脈」
内閣府 食品安全委員会 「食品中のカフェイン」
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