完全房室ブロックの根本的な治療として広く行われているのが、恒久的ペースメーカー植え込み術です。心拍数が安定することで、めまいや倦怠感が改善し、日常生活を取り戻せる方も少なくありません。このセクションでは、ペースメーカー治療の概要や術後の生活上の注意点、そして速やかに医療機関を受診すべき状況の目安についてご説明します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
完全房室ブロックにおける回転性めまいと治療のアプローチ
完全房室ブロックによるめまい症状に対して、どのような診断・治療が行われるのかについて、このセクションで整理します。治療の選択肢と、日常生活での注意点についても説明します。
ペースメーカー治療とめまい症状の改善
完全房室ブロックの根本的な治療として、現在広く行われているのが「恒久的ペースメーカー植え込み術」です。これは、胸部の皮下に小型の電気装置を埋め込み、規則正しい電気信号を心臓に送り続けることで、正常な心拍数を維持する方法です。
ペースメーカーを植え込むことにより、心拍数が適切に保たれるようになると、脳への血流不足が改善されます。その結果、完全房室ブロックに伴っていためまい・倦怠感・失神といった症状が軽快することが期待できます。植え込みによって心拍が安定し、日常生活における身体的な負担が軽減されるケースが多くみられます。
手術は通常、局所麻酔のもとで行われることが多く、数日程度の入院で対応できる場合があります(施設や患者さんの状態によって異なります)。術後は定期的なフォローアップが必要で、ペースメーカーのバッテリー寿命(一般的に7〜10年程度)や設定の確認が行われます。植え込み後も、普段どおりの日常生活を送ることができるケースが多いですが、強力な磁場を発する機器の近くでは注意が必要です。
日常生活での注意点と受診の目安
完全房室ブロックと診断された方、あるいは疑われる方が日常生活で心がけるべき点は多くあります。まず、めまいや立ちくらみを感じた際は、すぐにその場で座るか横になり、転倒を防ぐことが大切です。立ち上がる際はゆっくりと動作し、急な姿勢変化を避けることも有効です。
運動については、完全房室ブロックの重症度や治療状況によって異なります。ペースメーカー植え込み後であっても、担当医との相談のもとで適切な運動量を定めることが大切です。過度な安静は筋力低下や気力の低下を招くこともあるため、無理のない範囲での活動を継続することが推奨される場合があります。
以下のような状況が生じた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
・突然の意識消失または意識を失いそうな感覚
・安静時でも脈が非常に遅い(1分間に40回以下)
・胸の痛みや強い息苦しさが続く
・めまいが頻繁に繰り返される、または悪化している
完全房室ブロックは、適切な治療を受けることで多くの方が日常生活を維持できる疾患です。症状に不安を感じている方は、早めに循環器内科を受診し、心電図検査による評価を受けることをおすすめします。一人で抱え込まず、医療チームと連携しながら治療を進めていくことが、生活の質を守るうえで大切な一歩です。
まとめ
完全房室ブロックは、心臓の電気信号が心室に伝わらなくなることで、徐脈・倦怠感・失神・めまいといったさまざまな症状を引き起こす不整脈です。前兆となる脈の乱れや前失神の段階で気づくことができれば、早期の介入につながります。症状が気になる方は、循環器内科での心電図検査を早めに受けることが大切です。ペースメーカー治療によって多くの方が症状の改善と生活の質の向上を実感しており、適切な治療と定期的なフォローアップが心臓の健康を守ります。
参考文献
日本循環器学会「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」
国立循環器病研究センター「不整脈」
- 「女性が心電図検査」に引っかかる原因はご存じですか?注意点も医師が解説!
──────────── - 「急性心筋梗塞」の詰まった部位で”心電図”がどう変わるかご存じですか?症状も医師が解説
──────────── - 「心不全を疑うむくみ」はどこを押すと分かるかご存知ですか?初期サインも医師が解説!
────────────

