足の血管がボコボコと浮き出たり、むくみやだるさが続いたり……。そんな悩みの原因となる「下肢静脈瘤」は、良性の病気ながら進行すると見た目や日常生活に大きく影響を及ぼすことがあります。そこで「おかざき足の血管外科・痛みのクリニック」の藤原圭史先生に、下肢静脈瘤は放っておいて良いのか、話を聞きました。

監修医師:
藤原 圭史(おかざき足の血管外科・痛みのクリニック)
金沢大学医学部(現・金沢大学医薬保健学域医学類)卒業。その後、安城更生病院で初期研修を修了し、聖マリアンナ医科大学病院、国立がんセンター中央病院(現・国立がん研究センター中央病院)などで研鑽を積む。カテーテル治療専門クリニックのIGTクリニックや、痛みの専門クリニックであるOKUNO CLINIC 東京表参道の院長を歴任し、2022年、愛知県岡崎市に「おかざき足の血管外科・痛みのクリニック」を開院、院長となる。日本IVR学会IVR(カテーテル治療)専門医、下肢静脈瘤血管内治療実施管理委員会指導医、日本医学放射線学会専門医。
編集部
手術にはどんな種類がありますか?
藤原先生
根治を目的とした治療にはいくつかの方法がありますが、現在の主流は「血管内治療」と呼ばれるカテーテルを使った低侵襲な治療法です。とくに多くおこなわれているのが「血管内焼灼術(ラジオ波またはレーザー)」と「血管内塞栓術(グルー治療)」の2つで、それぞれに特徴があります。ほかに「硬化療法」という治療法もあります。
編集部
血管内焼灼術とはどのような治療ですか?
藤原先生
血管内焼灼術は、細いカテーテルを病変静脈内に挿入し、内側から高周波(ラジオ波)やレーザーで熱を加えて静脈を塞ぐ治療です。なお、血管が塞がれても、半年ほどで体内に吸収されるため問題ありません。当院ではラジオ波を採用していますが、ラジオ波とレーザーの治療成績や合併症の頻度は同等とされています。局所麻酔で、片脚あたり20~30分ほどの短時間でおこなえる日帰り治療です。
編集部
血管内塞栓術(グルー治療)についても教えてください。
藤原先生
グルー治療は、2019年に保険適用となった新しい治療法で、カテーテルを用いて血管内に医療用の接着剤(グルー)を注入し、静脈を閉塞させます。焼灼とは異なり、熱を使わないため痛みが少なく、TLA麻酔(周囲への局所麻酔)も不要です。針を刺す回数も少なく、術後の弾性ストッキングの装着も必要ないケースが多いのがメリットです。
編集部
2つの治療はどんな人でも受けられるのですか?
藤原先生
グルーには接着剤成分が含まれているため、アレルギーのある人には適さない場合があります。また、血管内焼灼術、血管内塞栓術どちらの治療法も万能というわけではなく、静脈瘤の種類や広がり、患者さんのライフスタイルなどを踏まえて適切な方法を選ぶことが大切です。静脈瘤の径(大きさ)があまりにも大きい場合には、グルー治療は向いていません。痛みや費用も異なりますので、どちらが向いているかは診察の上で判断していきます。
編集部
硬化療法についても教えてください。
藤原先生
硬化療法は、硬化剤という薬剤を静脈に注入し、外から圧迫することでその血管を閉塞させる治療法です。ものごく細い針を用いるため、通常の注射より痛みは少ないとされています。適応となるのは、くもの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤、側枝型や軽度の伏在型静脈瘤と呼ばれるもので、再発例や出血性の静脈瘤にも用いられます。なお、副作用として注入した部位に一時的なしこりや皮膚の色素沈着が見られることがありますが、これらは時間の経過とともに軽快するケースがほとんどです。
※この記事はメディカルドックにて<足の血流が滞る「下肢静脈瘤」の治し方をご存じですか? 主流の2つの方法と選び方>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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