肝吸虫症の前兆や初期症状について
肝吸虫が少数の場合、多くは症状が出ません。肝吸虫の数が多いと、全身のだるさ、食欲不振、腹部の痛み、肝臓の腫大などの症状が見られます。そしてその後に下痢が続くことがあります。通常2〜4週間で落ち着きます。
肝吸虫に寄生され続けると、胆管の炎症、肝臓の萎縮、門脈の繊維化(繊維のように硬くなること)が起きることもあります。寄生虫が多い場合には胆管が詰まり、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が出たり、貧血や腹水、浮腫、胆石、膵炎などを起こしたりすることもあります。胆管に膿が溜まって炎症を起こす化膿性胆管炎を引き起こすこともあります。さらに長期間感染が続くと、胆管がんになる危険性が高まります。
肝吸虫症の検査・診断
淡水魚を生で食べた、または東南アジアなどの流行地へ渡航した人が発熱、腹痛、黄疸、下痢などの症状をきたした場合に肝吸虫症が疑われます。そして、便から肝吸虫の虫卵が見つかれば肝吸虫症と診断されます。
しかし肝吸虫は1日にあまり多くの虫卵を産まないため、便を遠心分離機にかけて虫卵を沈殿させることで集める沈殿集卵法を行います。また、血液検査で抗体を調べたり、好酸球の増加を確認したりする方法もあります。これらは便に虫卵が出ていない早期でも有効な場合がありますが、肝吸虫が寄生していても必ずしも抗体や好酸球が増えるとは限らない点に注意が必要です。

