
自身の右耳難聴や子宮内膜症などの体験をコミカルに描くキクチさん(kkc_ayn)。母親の自宅介護と看取りを描いた『20代、親を看取る。』に続き、今度は父の闘病に直面するコミックエッセイ『父が全裸で倒れてた。』が話題だ。一人っ子として親の老いと向き合うキクチさんに、本格的なリンパ腫治療の開始と父からのビデオ通話に関するエピソードを聞いた。
■本格治療への道とビデオ通話



父親がコロナに罹患し、抗がん剤治療をストップしていた期間、腫瘍が大きくなってしまった。しかしコロナから回復し、ようやく本格的な治療が始められるという。キクチさんは「腫瘍が大きくなっていると聞いたときは不安になりましたが、本格的な治療ができるということは体力も復活してきたということ。ここからがスタートラインだと感じました」と安堵を語る。
そんな中、スマホで文字を打てるまで容態が安定した父からビデオ通話がかかってきた。医師からリンパ腫の悪化を告げられた直後だったが、映った父の姿は「いつもよりむくんだ顔が、余計につぶれた表情を誇張していた」という。キクチさんは笑いつつも、症状がほとんどなく体力が戻ってきたことから、元気だった頃の父が戻ってきた印象を受けたと振り返る。
■せん妄の記憶と父親の言葉
実は父親は、自分がせん妄だった時のことを断片的に覚えていた。「苦労かけてしまっただろうから申し訳ない」という謝罪の言葉に、キクチさんは胸を打たれたという。
「せん妄は脳の意識障害なので、まさか覚えているとは思いませんでした。今思えば意識がありながらあんなひどいことを言っていたんかい!と突っ込まずにはいられないですが、過ぎ去ったことなので責める気にはなりません。実際、せん妄を振り返って謝ってくれる人なんて稀なのではないでしょうか。すごく私は幸せ者だと思いました」
コロナを乗り越え、いよいよ治療が始まるという希望の中で不穏な展開を見せる本作。つらい状況も淡々と、時にクスリと笑える場面を交えて描くキクチさんの今後の展開に注目したい。
取材協力:キクチ(@kkc_ayn)
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