
韓流・中国ドラマ、映画作品をはじめ、K-POP番組や話題のオーディション番組を900作品以上配信しているABEMAが、10月限定で『コネクション』『哲仁王后~俺がクイーン!?~』を全話無料配信。2作品の見どころについて、ABEMAが韓国大衆文化のスペシャリストとして知られる古家正亨氏にインタビューを行った。
■『哲仁王后~俺がクイーン!?~』

――『哲仁王后~俺がクイーン!?~』はご覧になられましたか?
古家:とても面白い作品でした。少女時代のユナさんが出演している『暴君のシェフ』が最近日本でも話題ですが、この『哲仁王后』とは設定が少し似ていて、僕の周りでも「どちらも見た」という方が多いんです。そうした共通点もあって、見比べるのも楽しいドラマだと思います。
この作品は、いわゆるチャラ男的な男性がタイムスリップして王妃の体に入ってしまうという大胆な設定なんですが、最初に聞いたときは「本当に最後までこの設定が成立するのかな?」と思ったんです。結論から言うと、テンポも良く「よくぞ、ここまで自然にまとめ上げました!」と脚本家さんに、心の中で拍手を贈りましたね。
そして斬新だと思ったのが、時代劇でありながら、思い切り“コメディ”であるところ。ラブコメとも言えますが、ブロマンスでもあり、友情ドラマでもある。そう、その枠に留まらない、いろんな要素が詰まっているんです。
それを歴史ドラマの枠の中で違和感なく描いているのが魅力的で、いわゆる重厚な史劇というよりは、コメディをベースに韓国ドラマの面白さをうまく盛り込んだフュージョン時代劇と言えます。時代劇をあまり見たことがない方でも入りやすい、いわば“入り口”のような作品だと思います。
――キャラクターの描かれ方についてはいかがですか?
古家:王様のチョルジョンは、一見すると穏やかで弱そうに見えるのですが、実は国を立て直したいという強い信念を持った人物です。そうした真っすぐな人ほど孤立してしまうものですが、その姿にすごく人間味を感じました。
一方の王妃ソヨンは、家の事情によって誤解されやすい立場にいて、周囲から悪く見られてしまうこともある。そんなふたりが反発し合いながら、ボンファン(現代から来た男性の魂)が彼女の体の中で自由に動くことで、少しずつ惹かれ合っていくんです。
王が「自分はボンファンが好きなのか、それともソヨンが好きなのか」と揺れ動く描写も印象的で、とても巧みに描かれていると思いました。結末には賛否もあるようですが、僕自身は「この物語ならこう終わるのが自然」と感じられる、納得のラストでした。
――演出や役者の演技について印象的だった点は?
古家:やはり、シン・ヘソンさんの演技が素晴らしかったです。ボンファンが乗り移ったあと、“男性の心を持つ女性”という難しい役柄を、全身で丁寧に演じ切っていました。彼女の演技の幅広さが伝わる作品で、代表作のひとつに挙げられるのも納得です。
脇を固めるキャラクターも個性的で、それぞれが物語にしっかり存在感を持っていて、笑える場面が多いのに、ドラマとしての重厚さも失われていません。
時代劇というと“難しそう”と思われがちですが、この作品はとても親しみやすく、「朝鮮時代ってこういう雰囲気なんだ」と感じながら楽しめると思います。5年前のドラマとは思えないほど新鮮で、今見ても十分に引き込まれますね。
『哲仁王后~俺がクイーン!?~』 概要
朝鮮時代の仮面夫婦、国王哲宗(チョルジョン)と王妃ソヨンとのうそか本当か分からない、ロマンスでもブロマンスでもない愛を “ノータッチロマンス”と呼ぶ。宮廷では誰もが秘密を持っていて、人々に隠された秘密とその秘密が知られることによりさまざまな事件が起こっていく。仮面夫婦として過ごす中でソヨンと哲宗の間には戦友愛に似た絆が生まれていき、対立と誤解の末に手をつなぐこととなる2人。果たして人間の意志によって運命を変えることはできるのか?

■『コネクション』

――続いて『コネクション』について教えてください。
古家:この作品は、麻薬専門の刑事が“麻薬中毒者に仕立て上げられてしまう”という衝撃的な展開から始まるサスペンスです。
事件をきっかけに高校時代の同級生たちが再び関わっていくのですが、それぞれが警察官、記者、検事など異なる立場にいながら、どこかしらに闇を抱えていて、人間模様がとても濃い。単なるサスペンスドラマというよりも、“人間関係の闇”を描いた群像劇としての深みを感じました。
――主演のチソンさんの演技はいかがでしたか?
古家:本当に圧巻でした。チソンさんが演じる刑事は、記憶を失った麻薬中毒者という難しい役どころなのですが、特に“目の演技”が印象的で、まるで本当に禁断症状に苦しんでいるかのようなリアリティがありました。実はチソンさんとは、以前何度かファンミーティングなどでご一緒したことがあるんですが、韓国で偶然再会したこともあるんです。
僕が時々行っている「古家と行く韓国ツアー」の訪問地の1つで、韓国のテレビ局MBCの見学コースを訪れたことがあるんですが、ちょうどその時、MBC前でチソンさんが『キルミー・ヒールミー』の撮影をされていて、偶然お会いしたんです。
ダメ元でスタッフの方に「ご挨拶してもよいですか?」と聞いたところ、チソンさんがこちらに気づいて「古家さん!」と声をかけてくださったんです。「ツアーの皆さんとMBCに見学に来たんです」とお伝えしたところ、「おいでおいで」と言ってくださって、撮影風景を見学させていただけたんです。本当に優しい方なんですよね。
でも、今回の『コネクション』では、その穏やかな印象とは真逆の、狂気すら感じる演技を見せていて驚かされます。役者としての振り幅の広さに改めて感服しました。
――タイトル『コネクション』にはどんな意味を感じましたか?
古家:“コネクション”という言葉は、人と人との“つながり”を指しますが、このドラマではそれをさまざまな形で描いていると思います。
人間関係だけでなく、事件そのものの中にも複数の“つながり”があり、「ここも関係していたのか」「この人物もつながっていたのか」と、パズルのピースが次々と埋まっていくような構成がとても見事です。そこがこの作品の大きな魅力ですね。
また、韓国では学生時代の友人関係をとても大切にする文化があるんです。日本でいうと、大学のサークルなどの“縦のつながり”に近いでしょうか。そうした社会的な背景も、このドラマのテーマに通じているように感じました。
社会派サスペンスとして完成度が非常に高く、チソンさんの演技をはじめ、俳優陣の表現力が物語に引き込む大きな力になっています。
『コネクション』概要
アニョン警察署の麻薬捜査チームの刑事チャン・ジェギョン(チソン)はチームのエースとして大活躍し、署の誇りと言われるほど華々しく昇進する。その夜、疎遠になっていた友人がジェギョンの家を訪ね、20年前の出来事を謝罪して帰る。一方、ジェギョンの高校時代からの友人で、不正をしてお金を稼いでいた記者のオ・ユンジン(チョン・ミド)は、麻薬中毒の疑いのある女性が事故死するのを目撃する。そんな中、昇進祝いの飲み会の帰り、ジェギョンは何者かに拉致されて麻薬を摂取させられる。送られてきたメッセージから、家を訪れた友人が何かを知っていると思い、電話をするが連絡が取れない。その後、彼が転落死したことを知り...。


