中央線沿線で愛されてきた、どらやきが新店で復活

かけがえのない、思い出の味はありますか? 私にとってそれは、2024年まで阿佐ヶ谷にあった和菓子店「うさぎや」のどらやき。上京して最初に住んだのが、うさぎやの先の家。月に数回、おやつに買ったり、手みやげに選んだり。今の仕事を始めたばかりの苦労時代を支えてくれた、とびきりの口福でした。
店が閉店してから、各地であの味を探し続けるも、思い出とともにある味の代わりは見つからず。すると同業の友人から嬉しい知らせが。「うさぎやの職人と売り子が味を引き継ぎ、新たな店を始めるそう」。オープン日の開店前、列の5番目に並んで、どらやき、うさぎ饅頭、あんみつ、みたらし団子を購入しました。

どらやきは、手で混ぜ空気を含んだ生地を銅版で焼くことで、ふっくらむっちりやんわりとした食感に。しっとりみずみずしい粒あんは口の中ですうっと溶ける。うさぎ饅頭は、上新粉にやまと芋を混ぜた生地で、なめらかな口当たり。羊羹で描いたうさぎの表情に顔がほころびます。この饅頭を手に初めて、東京の空を見上げて一人で月見をした十五夜の夜を思い出しました。
取材・文/甲斐みのり
この記事の詳細データや読者のコメントはこちら

