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古谷一行“金田一耕助”が絶対的象徴となった理由 色褪せない魅力は“アンニュイさと強い黒目”のギャップにあり

古谷一行“金田一耕助”が絶対的象徴となった理由 色褪せない魅力は“アンニュイさと強い黒目”のギャップにあり

金田一耕助シリーズ1「本陣殺人事件」
金田一耕助シリーズ1「本陣殺人事件」 / (C)東阪企画

日本ミステリー界の頂点に君臨する名探偵こそが、金田一耕助だ。

金田一耕助とは、横溝正史氏原作の推理小説「本陣殺人事件」で登場したことをきっかけに、以後「獄門島」「八つ墓村」「犬神家の一族」などの長編をはじめ、多くの中短編でも活躍してきた作中の名探偵である。そんな横溝氏没後45年の特集として、古谷一行が主演を務める「金田一耕助シリーズ」が、7月13日(月)朝9時よりCSホームドラマチャンネルにて放送される。

■石坂浩二、稲垣吾郎、吉岡秀隆…錚々たる名優の中で“絶対的象徴”となった男

「金田一耕助」と言えば、映画版では片岡千恵蔵から始まり、石坂浩二、渥美清、西田敏行、豊川悦司、鹿賀丈史。ドラマ版では古谷をはじめ、役所広司、片岡鶴太郎、上川隆也、稲垣吾郎、加藤シゲアキ、吉岡秀隆といった錚々たる役者が演じてきた。

そんな大人気シリーズにおいて、お茶の間から愛されてきた名探偵・金田一耕助を、単発ドラマから始まったテレビシリーズで長年にわたり演じ抜いたのが古谷一行だ。なぜ彼が金田一耕助を演じ、絶対的象徴とまでなったのか。その理由を紐解いていきたい。

■歴代で最も強い“人間臭さ”と圧倒的な“色気”

古谷が演じる金田一(以降、古谷金田一)は、なんと言っても“人間臭さ”がある。事件に直面したとき、自ら現場に走って向かう名探偵らしさはあるものの、決して等身大の人間らしさを失わず、その心に“揺れ”が見えるのだ。

おどろおどろしい殺人や血の海に本気で怯えたり、関係者たちの背景に感情移入して悲しんだり、かと思えば時には美女に鼻の下を伸ばしたりと、コロコロと表情が変わる。切れ者の名探偵なのに抜群の親近感が湧き、その矛盾が魅力を増長させる。だが、それだけではなく大人の男としての独特な哀愁と色気も漂う。

このスパイスが、凄惨な“横溝正史の世界観”の中で視聴者をホッとさせると同時に、どうしようもなく夢中にさせる。古谷金田一は、世界三大スパイスのクローブのように甘く刺激的な存在で、どんな人物や事件にも合い、作品の強すぎる臭み(残酷な描写)を中和してくれるのだ。

■原作の“素朴な温かさ”の完全再現

そんな古谷金田一は、もっとも原作に近いキャラクターでもある。映画的なスタイリッシュさとはまた違った、地方の閉鎖的な村にふらりと馴染む古谷金田一。名探偵だからこそ難事件であればあるほど好奇心で心が躍るという不謹慎さもありながら、泥臭く歩き回って地道に解決の糸口を探す。

そして、虐げられたり理不尽な思いをしたりしている関係者を哀れみ、被害者の無念や犯人の悲しい動機には涙を流す。そんな素朴な温かさがあるのだ。この愚直さが古谷金田一の味わい深さの一つであり、長きにわたり視聴者から支持され続けた理由ともいえる。

■“アンニュイ×強い黒目”のギャップに悶絶

さらに個人的に最も印象的だったのは、古谷金田一のアンニュイさと強い黒目のギャップである。普段はボサボサ頭にヨレヨレの袴姿で、のほほんとした物憂げな空気を纏っているのに、いざ推理が始まると、その強い黒目が光を帯びて輝き、人間の心の闇を鋭く見抜いていく。この“静と動”、“日常と覚醒”のギャップのかっこよさは悶絶ものだ。そして何よりも、そのギャップこそ、ただ者ではない間違いなく天才だという説得感をもたらしている。

古谷金田一のアンニュイな名探偵という魅力に虜になる「金田一耕助シリーズ」。頭が切れて人間臭い優しさを持つキャラクター。推理ものとしてのギミックを楽しむのはもちろん、古谷金田一という人物をじっくりと観察して、その人間としての奥深さと名探偵としての有能さを自分なりに推理して解釈していくのもまた面白い。

構成・文=戸塚安友奈

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