
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『素朴なたぬき』の1エピソード『ニュートンがたぬきを発見した話』を紹介する。作者の多(たた)さんが、5月26日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、3000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、多(たた)さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■リンゴの木とニュートン

天才科学者であるニュートン。彼はリンゴの木の近くに座りその木を眺めていた。ニュートンと言えば、リンゴが木から落ちる様子を見て万有引力を発見したエピソードが有名である。しかし、その木にはたぬきが登っていた。
リンゴの木にたぬきがいたことに気がついたニュートンは、そのたぬきの行動を目で追ってしまう。リンゴを取ろうとしたたぬきだが、足を滑らせてしまう。そして、そのまま地面に落ちた。その様子を見たニュートンは…。
このエピソードを読んだ人たちからは、「万有ではなく蛮勇になってしまう」「たぬきについて発見される」「落下音に重みを感じる」「これは歴史が変わる」など、多くのコメントが寄せられている。
■作者・多(たた)さん「試行錯誤の末の「コマはみ出し」はこだわりポイント」

――『素朴なたぬき』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
元々たぬきが好きで、たぬきキャラクターのLINEスタンプを買い漁っていたんです。ところが、たぬきを題材としたスタンプって意外となくて。動物スタンプの中に1個だけとか、キツネとの抱き合わせになっていたり、ニセタヌ(尻尾が縞々で、目元の模様がアイマスクのようになっているたぬきのことをそう呼んでいる)だったり。
自分が欲しい内容のたぬきのスタンプがあんまりないとわかったので、「無いなら作ればいい」精神で自分用のLINEスタンプを作ったのが始まりです。たぬきのデザインは今と全く違いますが、その頃から『素朴なたぬき』という名前でした。シンプルなたぬきであることと、「素朴」と「たぬき」のイメージの親和性が高くて名付けました。
最初のXの投稿であるLINEスタンプの宣伝が思いのほか反応を頂けて、そこからちょくちょくとXに投稿するようになりました。三日坊主の性根を持っているので飽きちゃうかなとも思いましたが、1ヶ月経って少しずつ多くの人に見てもらえるようになったので、その反応が嬉しくて「これは続けよう」と思いました。
今とは全くデザインも画力も違うので、ぜひ遡って見てみて欲しいです。まだ投稿も1年分しかないので、遡りやすいと思います。今思えば、最初はにとりささみ先生の影響で4コマとか描いてみたり、すやお先生の影響で脱力系を描いてみたりと、遊ハち先生を始め、大好きな先生の影響を存分に受けていましたね。
紆余曲折を経て、現在進行形でうようよ曲折しています。
――本作では、たぬきがリンゴを取ろうと必死になっている姿が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
初めていわゆるSNS漫画を描いてみて、見せ方とかコマ割りとか本当にわからなくて、その試行錯誤の末の「コマはみ出し」はこだわりポイントかもしれません。注目ポイントは、ニュートンの口の中が、口の中の表現に見せかけてたぬき模様になっていることです。そりゃかわいいたぬき見たら、口の中もたぬきになりますよね。
――『素朴なたぬき』シリーズのなかで、特に気に入っているエピソードがあれば、理由と共にお教えください。
「GWの隙間に有給を取ればGWが長くなるということを知ったたぬきが、毎日有給を取ればずっと休みだと気づく話」が個人的に気に入っています。たぬきは「有給」がなんだかわかっていないので、「ゆーきゅーを取っといてくだしー」と他人に取っておいてもらえるものだと勘違いしてる所とか、吹き出しや文字によるコマ割りの視線誘導とか、話としても演出としても気に入っています。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
基本は思いつきです。普段日常を過ごしていたり、ネットサーフィンをしている中で、こんなたぬきがいたらかわいいなとか、ここにたぬきがいたらどうなるかなとか、この容器に入れちゃおうとか。そういうのを普段からメモしています。そして描く時に自分のメモ帳の中から何にしようかなと選んでいます。その中には、画力がないからこれは描けないなと断念しているものもあります。特に漫画という媒体は全く慣れないというか、まだ全然描き方がわからないものです。難しい……。
とにかく、自分の中の「これはやらないようにしよう」と決めたところ以外で、好き勝手に描いてます。
――多(たた)さんの作品は、見ているだけで癒されます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
そう思っていただけることは大変嬉しい限りです。が、作画のこだわりや意識として、特筆すべきことはありません。たぬきがかわいいことは自然の摂理ですから、そのかわいさに水を差さないよう、細心の注意を払いながら、自分が思う「かわいいたぬき」がそっくりそのまま絵になって伝わってくれればいいなと思ってます。なので何か良い題材が思い浮かんだ時は、どうかそのまま何事もなく描き上がってくれと祈っています。そして、自分で完成品を見て思わず笑ってしまうような作品は、やはり皆様からの反応も良くて、思っていたかわいさがしっかり伝わって良かったと嬉しくなっています。
――今後の展望や目標をお教えください。
最終的な目標は、ポップアップストアやコラボカフェなど『素朴なたぬき』がメインとなるリアルイベントが開催されることです。というのも、『素朴なたぬき』を好きでいてくれる人たちをまだ実際に見たことがなくて、本当に実在してるのかがまだ怪しいんです(笑)。
実際に実体を確かめるためにも、まずは認知してもらうためにXのフォロワーを増やすことが最初の目標ですね。そして、あわよくばカプセルトイや書籍化、プライズなどなど、いろんな展開がされていったら嬉しいです。ちらっちらっ(各所へ向ける視線)。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつもたくさんの反応や応援、ありがとうございます。そして『素朴なたぬき』を見つけてくれてありがとうございます。たぬきたちは今日も、食べたり寝たり、少しだけ頑張ったり、大概休んだりして過ごしています。皆様の日常の中で、少しでも笑えたり、肩の力が抜けるような時間になれていたら嬉しいです。
皆様にいろんなたぬきを届けていくために、これからも様々な取り組みに挑戦していきますので、たぬきたちをゆるく見守ってくれると嬉しいです。何卒〜。

