
監修医師:
大坂 貴史(医師)
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。
ACTH単独欠損症の概要
ACTH単独欠損症は、体のストレスに対抗するために必要な「副腎皮質ホルモン(コルチゾール)」をうまく分泌できなくなる病気です。原因は、脳の下垂体というホルモンの司令塔が、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)だけを作らなくなってしまうことです。その結果、副腎がうまく働かず、体のバランスが崩れてしまいます。
この病気は非常にまれで、診断されることが少ないため、風邪や疲労と勘違いされることもあります。しかし、進行すると命に関わる可能性もあるため、早期の診断と治療が重要です。
ACTH単独欠損症の原因
ACTH単独欠損症の原因には、先天的なものと後天的なものがあります。先天的なケースでは、遺伝子の異常などにより、生まれつきACTHを分泌できない体質であることがあります。一方、後天的な原因としては、頭部の外傷、脳下垂体への腫瘍、自己免疫による障害、ウイルス感染などによって、ACTHを作る細胞だけが障害を受けることがあります。
ほかのホルモンは正常に分泌されていて、ACTHだけが欠損しているという点が、この病気の特徴です。

