ACTH単独欠損症の前兆や初期症状について
ACTH単独欠損症の初期症状はとてもあいまいで、日常の疲れやストレスと見分けがつきにくいことが特徴です。代表的な症状には、全身のだるさ、疲れやすさ、食欲不振、体重減少、吐き気や嘔吐、低血糖による意識障害などがあります。また、低血圧や脱力感、無気力、うつ状態のような症状が出ることもあります。
これらの症状は一見、他の病気と区別がつきづらいため、見過ごされやすいのが実情です。しかし、ストレスがかかったとき(たとえば、風邪や手術、事故など)に急激に悪化することがあり、「副腎クリーゼ」と呼ばれる危険な状態に至ることもあります。これは命に関わる緊急状態で、意識がもうろうとしたり、血圧が極端に低下したりするため、早急な対応が必要です。
ACTH単独欠損症の検査・診断
ACTH単独欠損症の診断は、血液検査を通して行われます。まず、血液中のコルチゾール濃度が低くなっているかを調べます。同時に、ACTHの値も測定します。通常、コルチゾールが低いとACTHが上がるはずですが、この病気ではACTHも低いままです。
さらに、副腎がどの程度反応できるかを見るために、「ACTH刺激試験」や「インスリン負荷試験」などの負荷試験が行われることがあります。また、下垂体の異常を調べるためにMRI検査を行い、腫瘍や炎症がないかも確認します。
重要なのは、他の下垂体ホルモン(甲状腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモンなど)が正常であることを確認することで、ACTHだけが欠損していると診断がつきます。

