歯性上顎洞炎は虫歯や歯周病などの口腔内の問題が引き金となって起こる病気です。
症状によっては、痛みや違和感など普段の生活に支障をきたすものもあります。しかし、自覚症状が少なく、気付きにくいケースもあります。
歯性上顎洞炎を起こさないためにも、原因や治療方法・予防方法を知ることが大切です。
そこで今回は、歯性上顎洞炎の検査方法・治療方法を詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「歯性上顎洞炎」の症状・原因はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修歯科医師:
熊谷 靖司(歯科医師)
熊谷歯科医院 院長
歯性上顎洞炎の検査と治療

歯性上顎洞炎の治療は何科を受診すれば良いですか?
「歯科」「耳鼻咽喉科」どちらを受診しても構いません。
上顎洞炎は歯科と耳鼻科の共通の病気であります。
虫歯や歯周病など口腔内の問題が明らかな場合は「歯科」へ受診しましょう。
早急に適切な治療を行い、症状を緩和させることが大切です。
歯と鼻のどちらかわからない場合は、原因を突き止めるために両方受診すると良いでしょう。
検査方法を教えてください。
歯性上顎洞炎と診断するには検査が必要です。
診断するための検査は以下の方法で行われます。
口腔内部の観察
視診やファイバースコープによる鼻内部の観察
画像診断(CT・レントゲン)
自覚症状のない虫歯や歯周病などの確認や、周辺の骨の状態など、上顎洞炎との関連を調べます。
歯性上顎洞炎は体内で炎症が起きているため、目視のみでの診断は難しいです。
確実に診断するためにも、内部を観察できるファイバースコープや画像診断が必要不可欠になります。
治療方法にはどのようなものがありますか?
「歯科治療」「内服治療」「手術治療」の3つに分かれます。
それぞれの治療方法について詳しく解説しましょう。
歯性上顎洞炎の原因は歯のため、歯科治療を優先的に行います。
具体的な治療は歯の根っこをきれいに掃除する「根管治療」や「歯周病治療」が主です。
原因となる歯の細菌をきれいにすることで多くは改善がみられます。
それと同時に抗生剤や消炎剤を投与し、内側からもアプローチするのです。
根管治療や歯周病治療でも改善がみられない場合は、原因となる歯を抜歯します。
上顎洞に細菌が入り込まないようにするためです。
一般的には抜歯は極力行わず、歯科治療を行い歯を残すようにします。
しかし、状態によっては抜歯せざるを得ないこともあるため、早めに診察してもらいましょう。
どうしても抜歯を避けたい場合は、内視鏡を用いて鼻から上顎洞を広く解放する手術を行うケースもあります。
手術時間は1〜2時間ほどと短く、日帰り手術も可能です。
なかには全身麻酔をして手術を行うこともあり、1週間〜10日ほど入院が必要になるケースもあります。
治療期間はどのくらいでしょうか?
治療期間は歯の状態によって異なるため、一概にはいえません。
1ヶ月以内で治る方もいれば、1年かかる方もいます。
歯の状態が悪ければ治療期間も長期的になってしまうため、日頃のケアが不可欠です。
早期に発見すれば、その分の治療期間が短くなるのです。
編集部まとめ

意外と身近な病気である歯性上顎洞炎ですが、放置しておけば恐ろしい合併症を招く危険性があります。
しかし、違和感を感じた時点で病院を受診すれば、病気自体は恐ろしいものではありません。
虫歯がある方は治療をし、治療がない方は定期検診を受けるなど、体調管理と同じように歯の管理をするようにしましょう。
参考文献
歯性上顎洞炎について|赤羽歯科赤羽診療所
歯科と耳鼻科どっちに行ったらいいの?~上顎洞炎~|とみざわ駅前歯科
歯性上顎洞炎|神戸市立医療センター西市民病院

