ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、ネタバレ上等な私見&本音でおすすめしますよ〜。
よしひろさん、「きのう何観た?」
『トイ・ストーリー5』
story ジェシーとバズたちが幸せに暮らすボニーの家に、最新タブレットのリリーパッドがやってくる。すると、ボニーはリリーパッドに夢中になり、リアルな友達との交流も。危機感を抱いたジェシーはウッディに助けを求めるが……。
監督:アンドリュー・スタントン/声の出演:トム・ハンクス、ティム・アレン、唐沢寿明、所ジョージ ほか/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/公開:現在、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中
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過去作全てが伏線の大傑作
本編を観るまで「えー、5って……もういいんじゃね?」と思っていたあたし、反省しなさい。と、観た直後に言いたくなった『トイ・ストーリー5』。そりゃ日本に先駆けて公開した本国ほか各国で大ヒットしてたのも納得だし、日本でもこれまでの洋画のオープニング記録を塗り替える大ヒットで爆走中なのも納得。なにがそんなええんや? という方。あたしの原稿を読んでくださいまし。
ボニーの家に来たばかりで機能フルスロットルのリリーパッド。敵なの?
まずですが、『トイ・ストーリー』シリーズ自体、2で終わってても全然よかったんですよ。というのも、CGアニメーションを劇場サイズに持ってきた祖・ピクサー・アニメーション・スタジオの長編デビュー作&シグネチャータイトルだけに、それを作ったジョン・ラセター以外は手出し無用だったんですわ。しかも、そうこうしているうちに、ジョンはピクサーだけでなく、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの面倒もみることになり、それと同時にピクサーでもクリエイターが成長し、新しいタイトルがどんどこ作られるようになったから、ますます『トイ〜』はお役御免! だったわけです。
ところがですな。時を経て3の企画があがり、当初はジョンが自分でやる、と奮起してたんだけど、彼の企画で『カーズ2』が同時進行。ということで、『トイ〜』の初期メンバーが引き継いで仕上げたんですね。これが想定以上の大ヒット&映画史に残る傑作として評価されちゃった(ちなみにこの当時まではジョンはピクサーの重鎮だったので、3の最終決定をしています)。完璧なストーリーとシリーズを締めくくることができるエンディングに涙したもんです。
で、問題は4。ジョンがピクサーを去り、ピクサー創業時からいるメンツが作った最初の『トイ〜』はどうだったか、というと賛否両論。たしかに、あんだけすごい3の結末があったうえで、忘れられていたとはいえ重要なキャラ、ボー・ピープを主人公にしたってのは、シリーズのファン以外はちょっと……って気持ちは分からないでもないのよね(あたし的には大好きだったし、ボー・ピープの男前っぷりに爆アゲでしたが)。それまでの3作品がどれも大傑作の誉れが高かっただけに、4が賛否分かれたことが「あぁ、もうこれは次はないな」と思ってしまった理由なの。
ところがですよ。観たらそんな邪な考えを恥じるほどの大傑作。いや、5作中で一番すごいもんを見せられました、といっていいでしょう。その理由。ひとーつ、全く無駄がない脚本。ふたーつ、新キャラが魅力たっぷり。みっつー、テーマぶれない!
デジタルガジェットってすぐに旧式になる……ってのを体現したのが、カバのケータイ・アトラスとゲームのスマーティパンツ、デジカメのスナッピー。
まずひとつめ。ピクサー作品のすごいところは、子ども向けに見せかけて、一緒に観ている大人を泣かせるストーリーなのね。どの作品もそうだけど、やっぱシグネチャータイトルじゃん。よほどのアイデアがない限り、そしてよほどの試行錯誤ができないと続編は無理なのよね。おまけに、一応子どもたちが主要ターゲットだから、尺は絶対に1時間台。そんなコンパクトにおもちゃたちのストーリーを作れますか、ってことですよ。それができちゃってるのよね……。それどころか、ほんとに無駄なし。どのキャラクターにも光が当たってるの。特に4で大活躍だったボー・ピープやフォーキーをはじめとするキャラクターの扱いはマジで見事。賛否が分かれただけに、4のキャラをスルーして作ることだってできたはずなのに、まさか4のストーリー自体を伏線にするとは思いませんでしたわ。
ふたつめ。新キャラは基本デジタルガジェットだから、単純な「おもちゃ vs デジタルデバイス」って思い込んでいたのが間違い。デジタルデバイスとはいえ、流行り廃りがあるから、リリーパッド以前のデジタルガジェットたちはフィジカルのおもちゃよりも短い期間遊ばれて、そのままゴミ扱いになってるのね。この哀愁よ……。フィジカルのおもちゃたちと同じ目にあっているからこそ共闘できちゃうっていう流れはマジで想定外。それに、デジタルだろうがアナログだろうが、おもちゃの存在意義が同じってことを再確認させるのは見事としか言いようがありませんわ。
そしてぶれないテーマ。それが「おもちゃの存在意義」なんですよ。子どものパートナーであり遊び相手であり、ってのはもちろんだけど、シリーズで貫かれていたのは「子どもを笑顔にすること」なの。これがブレちゃダメ。おそらくですが、4が批判されたのはこれが薄かったからでしょう……(あるっちゃあるんだけど、それよりは子どもに独立の道があるのと同様、おもちゃに独立の道があることを示すのも大事だったからあのストーリーに)。それがですよ、タブレットがゲストキャラとなると、子どもにとっては「遊び道具」というひとつの目的しかないおもちゃと立ち位置が違うのね。リリーパッドは最初こそ「あたし、失敗しないので」と言いそうなくらいの多機能を発揮するけど、それが裏目に出たときにする行動に嗚咽。タブレットとはいえ、子どものため、子どもの笑顔のためによかれ、と思ってたことができてなかったから身投げ!? これには驚くとともに、さすがピクサー初期メンバー……と大感動でしたわ。

