
応援しているアイドルやキャラクターのイメージカラーを、日常生活のアイテムに忍ばせる「メンカラ(メンバーカラー)」の文化。それは単なるおしゃれの域を超え、時に予期せぬ窮地から身を救う強力な武器になることもあるのかもしれない。Instagramで6万人以上のフォロワーを誇る航空オタのみたん(@mitandays)さんが、看護師で熱狂的なジャニオタだったころの驚きの実体験を描いたエッセイ漫画『自担色の自転車を買ったときの話』が、SNSを中心に「推しのいる生活の強さ」を物語るエピソードとして大きな笑いと共感を呼んでいる。
さまざまなジャンルの「推し活」が市民権を得るなか、今回は格安で購入した「自担色」の自転車を巡って起きた、警察官との緊迫(?)のやり取りを紹介。自転車泥棒の手口と疑われかねないピンチを、純粋な愛の熱量だけで突破した一部始終について、作者のみたんさんへのインタビューを交えてお届けする。
■8000円で見つけた特別な「青」。ライトの付け方がわからず警察官に疑われた絶体絶命の3日後



みたんさんが病院で看護師として勤務していた当時、彼女には熱心に応援している「自担(自分が担当する推しメンバー)」がいた。自担のメンバーカラーは「青」。みたんさんにとって青は、職場のナース服で選べる白と水色のうち、しょっちゅう水色を選んで着るほど特別な色だった。そんなある日、通勤用の自転車に空気を入れようと立ち寄った自転車屋で、彼女は運命的な出会いを果たす。店頭に置かれていたのは、一目で釘付けになる鮮やかな青い自転車。しかも価格は8000円と破格の安さだった。みたんさんはその場ですぐに購入を決意した。
しかし、購入からわずか3日後、予想だにしないトラブルが彼女を襲う。夜間、うっかりライトをつけ忘れて無灯火のまま走行していたみたんさんは、巡回中のおまわりさんに呼び止められてしまったのだ。「すみませーん!」と謝罪し、慌ててライトをつけようとしたものの、買ったばかりの自転車だったため操作方法がわからない。ライトひとつ点灯させるのに手間取り、不審に思ったおまわりさんから「本当にあなたの自転車ですか?」と、窃盗の疑いをかけられてしまう事態に発展した。
購入時のレシートは手元になく、防犯登録の手続きは済ませていたものの、その場で警察のデータベースを確認してもすぐに情報が反映されず確認が取れない。いよいよ言い逃れのできない大ピンチに陥ったみたんさんは、おまわりさんに向かって、3日前にこの「青い自転車」を衝動買いするに至ったオタクとしての切実な経緯を、ありったけの情熱を込めて語り始めた。
■「自担がいれば日常のストレスは半減する」
「今日も私は自担に助けられた!大事なさ●し号を取られてたまるかと思って、熱弁したら信じてもらえました!!」
受話器の向こうの緊迫感をも吹き飛ばすようなみたんさんの熱量に、おまわりさんも最後は圧倒され、納得せざるを得なかったという。このエピソードが公開されると、読者からは「愛が届いた!ばんざーい」「推しがいるってすごい」といった歓喜のコメントが寄せられた。みたんさんは「普通に生きてたら滅多にないことだと思いますので、おもしろい経験をしたなと思って漫画にしてみました」と創作のきっかけを振り返る。
自担という存在について、みたんさんはその絶大なメリットを熱く語る。
「自担という存在がいるだけで、日常生活のストレスが半減どころかそれ以上に減りますからね。それに、あらゆる身の回りのグッズを自担の色でそろえていけば、それを見るだけで自担を思い出して、心が平和になりますので。オタというのはそんな単純なことで、ハッピーになれるんです。ちなみにここだけの話ですが、今も私の車は自担色です。自担はもう活動してないんですけどね……。活動再開を願って、年1回のお布施(ファンクラブ会費)だけはしています」
現在は航空オタとして活動し、家族や子どものユニークな日常をブログやInstagramで発信しているみたんさん。どの作品も家事や育児の合間にサッと読めるよう、短くフフッと笑える展開を心がけているという。時にはモヤっとする話があっても、数話後には必ずスカッとする結末が待っている。オタクの純粋すぎるエネルギーが、予期せぬトラブルを最高の笑い話に変えた本作。推しを持つすべての人に、共感と元気を与えてくれる痛快な一編だ。
取材協力:みたん(@mitandays)
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