
ほんの少し目を離しただけだったのに、幼い少女は忽然とどこへ消えてしまったのか。携帯電話の着信が鳴って娘から目を離したのは、ほんの数分ほどのことだった。その数分を、その後の人生で延々と後悔することになる。



■10年前の幼女失踪事件の幕開け
SNSで興味深い漫画の連載が始まった。「犯人を予想する漫画『仮門』」というタイトルの通り、犯人を予想しながら読み進めていく作品だ。物語は、洗濯物をたたむ幸せな家庭のシーンから始まる。洗濯物に紛れて家の中に入ってきたテントウムシを見つけた常見七海(4歳)は、逃がしてあげるために庭先へ出る。そのとき携帯電話の着信音が家の中から鳴り、母親は少しの間その場を離れた。そして戻ってきたときには七海の姿はなく、神隠しにでもあったかのように消えてしまっていた。七海が温かい家の門をくぐることはなく、常見家の空気も冷たく凍ったまま10年もの歳月が流れた。
■幼なじみの訪問と作者の挑戦
「七海ちゃんが行方不明になってもう10年ですね」と、娘の幼なじみだった徳原砂羽と白井圭樹(現在14歳)が常見家を訪れたところから物語は動き出す。2人が持ってきたのは、七海が幼稚園のときに埋めたというタイムカプセルだった。引き込まれるストーリー展開を描くのは、2023年2月に「第2回朝日ホラーコミック大賞」漫画部門で大賞を受賞した漫画家・鳩ヶ森(@hatogamori)さん。本作を描くにあたり、「読者はもちろん、作中のキャラクターまでもが『え?そうなるの?』と驚くような展開になるよう心がけています。自分で描くキャラクターすら騙してやろうという気持ちです」と語る。
ホラー漫画を得意とする鳩ヶ森さんにとって、本格ミステリーは本作が初挑戦だ。「子どものころから推理小説が大好きで、自分でも描いてみたいとずっと思っていたんです。でもミステリーは難しいですから、私には無理だろうとあきらめてもいました」と明かす。大賞受賞後に出版社の編集担当から漫画のノウハウを叩き込まれ、チャレンジする気持ちになれたという。pixivという媒体で自由に描ける点も後押しになった。
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