
漫才&コント二刀流芸人No.1 を決める新たなお笑い賞レース「アサヒビール スマドリ ダブルインパクト2026 漫才&コント二刀流No.1 決定戦」の決勝戦が、7月20日(月夜7:00‐10:04、日本テレビ系)に行われる。
WEBザテレビジョンでは、2025年、初代王者に輝いたニッポンの社長にインタビューを実施。優勝から1年、今だから語れる「あの日の裏側」をたっぷりと届ける。
■「吉本に期待されてなかった(笑)」からこそ掴んだ勝利
――改めて、昨年の優勝を振り返っていかがですか?
辻:審査員が関西のレジェンド級の方々で、僕らのバカバカしい感じをすごく笑いながら見てくれはった。構成とか細かいことより、相性が良かったのが大きかった気がします。
ケツ:僕はとにかく全力で声を出すネタだったので、その自信が伝わったのかなと。
――当日の舞台裏、お二人でどんな会話をしたのでしょう?
辻:実は、夕方までバッテリィズとツーマンライブをやってから会場に駆け込んだんです。普通は朝からそわそわするんですけど、準備してすぐ出番! という感じで緊張する暇がなかった。
ケツ:賞レースの当日にライブを入れられているってことは、吉本から「お前らは決勝に行かん」と思われていたってことですからね(笑)。でも、その「準備運動」があったからこそ、気楽に挑めました。
辻:先に出たロングコートダディがすごい高得点を出したのを見て、「もうどうなってもええわ、楽にやろう、楽しもう」って一言だけ声をかけ合いましたね。
■「分からなさ」が緊張を和らげてくれた
――「ダブルインパクト」の印象や、他の賞レースとの違いはどこにあると感じましたか?
辻:昨年は第1回だったので、いきなり大会が現れて、火がついたらもう戦っていた…という感覚でした。でも戦ってみて思ったのは、ここは「漫才とコント、ずっと両方やってきた人」が報われる大会やなということです。
この大会のために急造でコントや漫才を始めたような人たちは、やっぱり決勝には残っていなかった。予選から両方のネタをしっかり見られるので、普段から二つの刀を研いでいる芸人にとっては、本当にありがたい大会やなと思いました。
ケツ:昨年は 出演者もスタッフさんも、みんなが正解を模索している状態。でも、その「分からなさ」が逆に緊張を和らげてくれた部分もありましたね。「気楽にやろう」と思えたのは、あの手探りの空気感のおかげかもしれません。
■「漫才」か「コント」か…1位通過を狙うための戦略
――ネタの順序や組み合わせも重要になりますよね。M-1などのように「1本目に自信のあるネタを持ってくるべきか」という悩みはありましたか?
辻:この大会の面白いところは、1位通過できればトリ(最後)にネタができること。やっぱりみんな、1位通過を狙っているはずです。 あとは、ネタの種類が「漫才」と「コント」に分かれているので、戦略は立てやすいと思います。同じジャンルのネタを2本並べるよりも、自分たちの強みがはっきり出る。
ケツ:昨年はコントから入るコンビが多かったですが、今年は漫才メインのコンビが決勝に多いのも面白いところ。今年は雰囲気が変わって来るかなと思いますので、見どころですね。
――優勝して、周りからの反応も変わりましたか?
辻:全然違いますね。色んな番組にも呼んでもらえましたし、一番は会社からの扱いが大きく変わりました(笑)。新幹線がグリーン車になったのと、なんばグランド花月に定期的に呼んでもらえるようになった。これはずっと目標だったので、本当にうれしいです。
ケツ:会社に「どっちも(漫才もコントも)できます!」っていう最大のアピールになりました。営業は漫才、劇場はコント、みたいにいいとこ取りをさせてもらっています。
――ファイナリストの顔ぶれが決まりましたが、今年期待することやお薦めの戦略があれば教えてください。
辻:仲の良いメンバーが多いので、正直「今年戦わんでよかった」。アドバイスするなら…当日昼間にバッテリィズとライブをやること(笑)。今のところ優勝確率100%のルーティンですから。
ケツ:結果、ライブがあってよかったですからね(笑)。
■活きたのは「吉本の劇場出番」
――今回8組中5組しか2本ネタができないルールになりましたが、影響がありそうですか?
辻:ないんじゃないかな。前回のルールでも5位以下なら逆転は難しそうだし、みんな優勝を狙っていると思うので、2本目ができる・できないのルール変更は関係ないはず。一番自信のあるネタを持ってきてほしいですね。
――1日で漫才とコント、両方のネタを披露するのは、他の賞レースにはない過酷さがあると思います。実際に挑戦してみていかがでしたか?
辻:予選がとにかく大変でしたね。ブロックごとに分かれていて、1本終わったらすぐに次のブロックの準備。でも、そこで活きたのが「吉本の劇場出番」だったんです。
僕ら吉本の芸人は、1日に10ステージ以上こなすことも珍しくないし、その中で漫才とコントを両方やることも日常茶飯事。だから、現場を見ていても、やっぱり吉本の芸人が一番着替えるのが早かった(笑)。
ケツ:慣れよな(笑)。
辻:他の事務所の芸人さんが「大変だ!」って言っている横で、僕らは「まあ、いつも通りかな」って。
――他のコンビの様子で、印象に残っていることはありますか?
辻:昨年、ななまがりは本当に大変そうでしたね(笑)。決勝の展開が早すぎて。予備の衣装を準備しておかないといけないんですけど、森下(直人)さんが「(着替える展開なんて)まさかないやろ」と思って、一応持ってはいたけど、どこか「なめんなよ」みたいな感じで余裕をこいていたら…まんまと着替える状況になって、大慌て(笑)。
スタッフさんも「一応持って行ってください!」って必死に促していたんですけどね。あの焦りっぷりは、二刀流ならではの光景やなと思いました。
■「1本目で滑ったら、そこは地獄」…残酷すぎる予選の真実
――精神的な面ではいかがでしたか?
辻:一番「これ、きついな…」と見ていて思ったのは、予選で1本目のネタが完全にスベってしまった人の2本目ですね。あれは見ていられないくらい過酷ですよ。
お客さんも「あ、さっきスベった人だ」って分かっている状態で、もう一回出ていかなあかん。 舞台袖で「もう絶対無理やから、帰りたすぎる…」ってこぼしている奴もいましたから(笑)。
1本目が終わった瞬間に心が折れてるんです。でもルール上、2本目をやらなあかん。僕らは幸い、そこまでスベることはなかったですけど、もしそうなっていたらと思うとゾッとします。
■実際に振り込まれたのは「408万円」
――優勝賞金1000万円の使い道について教えてください。
辻:いや、これだけは最初に言わせてください。僕ら、M-1とかを見てて「色々引かれても450万円くらいは残るやろ」と聞いていたんです。でも、実際に振り込まれたのは「408万円」でした。
ケツ:刻むなー(笑)。
辻:「あれ、あと50万どこ行ったん?」って、まずそこでちょっと損した気分から始まるんです(笑)。だから将来が不安で、NISAとかiDeCoとか、めちゃくちゃ堅実なところに回しました。それで引っ越しをしたのと、ずっと飼いたかった大きなリクガメを一匹買ったんです。そしたら、知らん間に賞金無くなってましたね。
あとはバッテリィズ・エースとよく飯に行くんですけど、前までは「うどん行きましょう」やったのが、当たり前のように「2800円の牛タンいいっすか?」って言われるようになりました(笑)。
――ケツさんはいかがですか? 大会直前に結婚も発表されましたよね。
ケツ:そうなんです。大会の前日に結婚を発表して、その翌日に優勝できたので。賞金のおかげで、新婚旅行をハワイにアップグレードできました。もし優勝してなかったら、多分「熱海」とかになってたと思います。
辻:振り幅がすごいな(笑)。
ケツ:あとは結婚指輪を買いに、人生で初めて「カルティエ」に入りました。そこで驚いたのが、座ったら飲み物が出てくるんですよ。見たこともないメーカーの、どこで売ってるんか分からん高級そうなジュース(笑)。「あぁ、勝ったらこんなもん飲ませてもらえるんや」って、そこで一番優勝を実感しました。
――今年の優勝者に「賞金の使い道」のアドバイスをお願いします。
辻:「408万円だと思っておくこと」です。500万入ると思ってると、差額の50万を損した気分になって、心にダメージを負うので(笑)。
ケツ:プラスやのに、損したくらいの気持ちでいた方が幸せになれそう(笑)。
■街の人から「初代チャンピオン!」と呼ばれる
――優勝して、ファンの方や街の方からの反応に変化はありましたか?
辻:めちゃくちゃ声をかけられるようになりましたね。それも「ニッポンの社長だ」じゃなくて「初代チャンピオン!」って言われるんです。
ケツ:ありがたいですよね。行きつけの居酒屋でも、それまで僕らが芸人だって知らなかったはずなのに、急にサービスしてくれたりして。「こないだ優勝してましたよね!」って、街の人が“チャンピオン”として接してくれる機会が本当に増えました。
――ご家族や身近な方の反応はいかがでしたか?
ケツ:これが一番驚いたんですけど…優勝した直後に、生き別れた親父から3年ぶりくらいに電話がかかってきたんです。
辻:生き別れてんのに、電話はたまにくるんやな(笑)。
ケツ:会うてはないんですけどね、もう15年くらい。でも「見てたよ」って。どういう感情で受け止めていいか分からんかったですけど、やっぱり反響はすごかったんだなと。あとは、母親から頼まれるサインの枚数が劇的に増えたりとか、後輩から「お金貸してください」って言われるようになりましたね。完全に「持ってる」と思われてます。
■「お願いだから終わらんといて!」大会存続への切実な叫び
――「初代王者」という肩書きは、今後もずっと付いて回る一生の財産ですね。
辻:いや、ほんまに! だからこそ言いたいんですけど、この大会「ダブルインパクト」絶対終わらんといてくださいよ! もし大会がなくなっちゃったら、僕らの「初代チャンピオン」っていう肩書きまで、どこかへ消えてしまいそうじゃないですか(笑)。
今年もファイナリストのメンツを見たら、誰が勝ってもおかしくないくらい豪華。毎年こうやって盛り上がって、ずっと続いてほしい。
ケツ:2刀流って本当に難しいからね。大会が大きくなればなるほど、初代である僕らにも恩恵があるはずなんで(笑)。この大会を見て「芸人っておもろいな、かっこいいな」って思ってくれる人が増えてくれたら、それが一番うれしいですね。

