これは、息子が4歳のときのお話です。ある日、幼稚園の同じクラスに子どもを通わせている仲良しママ友たち5組で、持ち寄りランチをすることになりました。その中のひとり、Aさんは少し見栄っ張りなところが。料理にはこだわりがあるそうで、張り切ってくれたのですが……。
持ち寄りランチで嘘が判明
持ち寄りランチ当日。この日はBさんの家にお邪魔することになりました。事前に「予算は2,000円くらいで、それぞれみんなで食べられる量の手作りのおかずを1品ずつ持ち寄ろう」と決めていた私たち。子どもたちを遊ばせながら、それぞれが持ち寄ったランチをお皿に並べていると、Aさんが「Cさんのおかず、なんか地味じゃない?」と嫌味をチクリ。
Cさんがタッパーから出していたのは「ひじきの煮物」と「卵焼き」。Cさんは「きっとみんな華やかなの持ってくると思ったから、メイン1品じゃなくて、副菜になりそうな小さいおかず2品にしたんだ。予算余ったからおやつも作ったよ」と話します。そんなCさんの気づかいに「たしかにね。こってりしたものばっかりだと、こういうのも無性に食べたくなるよね。おいしそう!」と、みんな感心。
しかしAさんだけは「なんか残り物みたいじゃない。せっかくのランチ会なのに、ちょっとやる気なさすぎじゃない?」と不満をこぼします。「ごめん……」と落ち込むCさんに、私たちは「そんなことないわよ!? おいしそうじゃない!」と必死でフォローしました。
その後、Aさんが持ってきたおかずを披露すると、思わず大歓声。大きなお皿に、とても華やかなビーフシチューがきれいに盛り付けられていたのです。食べたみんなからも「Aさん、料理がじょうずすぎる! もはやプロよ!」とほめられ、「大変だったのよ~。昨日から徹夜で煮込んだの。私は手を抜きたくなくて。せっかくなんだから、このくらいこだわらなくちゃね!」とCさんを横目にAさんは笑顔で胸を張ります。
しかし、Aさんの笑顔もここまででした。ランチを終え、お茶を用意していたとき、Cさんの息子くんが「ママ、こんなのが落ちてたよ」と紙片を渡したのです。「何かしら?」とCさんが見ると、それは近所のスーパーのレシート。私たちにも見せてくれたので覗き込むと、そこにはビーフシチューのレトルト商品が、前日の日付入りでばっちりと記載されていました。しかも、賞味期限が近いためか「30%オフ」の割引が適用されています。
Cさんが思わず「ねぇ、これってAさんの?」と声を上げました。するとAさんは、レシートがCさんの手にあるのを見て「まずい」といった表情に。この時点で、Cさんはこのレトルトのビーフシチューは、Aさんが「苦労して作った」と言う、さきほど食べたビーフシチューだと確信した様子。
するとCさんは、「へぇ、Aさん。前日の夜に、30%オフのレトルトビーフシチューを『徹夜』で買い出しに行っていたの?」と、静かに突っ込みを入れました。もちろんAさんは、顔面蒼白です。「あ、それは……」と言葉になりません。
そしてついに「ごめんなさい、実は料理が苦手なの。だから本当は高級デリで買ってこようと思ったんだけど、すごく高くて……。スーパーに行ったらいいのがあったから、これでいいやって思っちゃって……」と白状したのです。しかも、レシートの合計金額は1,000円を切っています。みんなが予算2,000円分で手作りしてきた中で、Aさんはスーパーのレトルトビーフシチューを買い、予算の半分以下で安く済ませていたということです。
ウソで塗り固めたプライドは、あっけなく崩壊。「Cさんみたいな家庭的な料理も、本当は作るのがとっても苦手なの。本当にごめんなさい」とCさんに謝罪したAさん。これには、全員が苦笑いでした。
結局、Bさんが「でも、こんなにおいしいレトルトがあるって知れたのはラッキーよね!」「期限も別に切れてたわけじゃないんでしょ?」と、場をとりなしてくれ、そのままランチ会は続きましたが、Aさんは最後まで肩身が狭そうでした。
私たち自身も「一律で手作りのメインおかず」という、少し無理のある計画を立ててしまったことを反省しました。最初から「市販品もOK」など、お互いに負担のないルールにしていれば、Aさんも追い詰められてウソを重ねる必要はなかったのかもしれません。この一件以来、私たちのランチ会は「手作りにこだわらず、市販のお惣菜やテイクアウトでも何でも持ち寄りOK」という自由なルールに変わりました。
とは言え、自分はウソをついておきながら、他の人を悪く言うようなことはよくないと思います。見栄のためにウソを重ねるのではなく、等身大でありのままの状況を伝え合える関係を大事にしたいと思った出来事でした。
著者:立川りか/30代・パート。7歳の男の子を育てるママ。息子の好きを全力で応援するため日々奮闘中。虫が大の苦手だが、息子の虫取りに付き合ってきたおかげで少しだけ耐性がついてきた。食後のデザートや週末の晩酌がご褒美。
作画:ryo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)

