「小細胞肺がん」の“治療費”が不安?自己負担を大きく抑える『あの制度』とは

「小細胞肺がん」の“治療費”が不安?自己負担を大きく抑える『あの制度』とは

小細胞肺がんは進行が速く、転移しやすい性質を持つため、予後の厳しいがんの一つとされています。一方で、化学療法と放射線治療の組み合わせや、免疫チェックポイント阻害薬の活用により、治療成績の向上への取り組みが続いています。生存率はあくまで統計上の目安であり、一人ひとりの状況は異なります。治療の現状と今後の可能性について解説します。

松本 学

監修医師:
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)

兵庫医科大学医学部卒業 。専門は呼吸器外科・内科・呼吸器リハビリテーション科。現在は「きだ呼吸器・リハビリクリニック」院長。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。

小細胞肺がんの治療費①:費用の全体像と公的支援制度

小細胞肺がんの治療には、長期間にわたる費用が発生します。診断時に行われる各種検査に加え、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療、入院費、定期的な通院費など、治療の過程ではさまざまな費用が必要となります。また、病状や治療方針によっては治療期間が長期化することもあり、経済的な負担が大きくなるケースも少なくありません。
しかし、日本には医療費の自己負担を軽減するための公的支援制度が整備されています。代表的な制度として高額療養費制度があり、一定額を超えた医療費については払い戻しを受けることが可能です。そのほかにも、加入している健康保険によって利用できる独自の給付制度や、自治体による支援制度が用意されている場合があります。
治療を継続するためには、病気や治療内容だけでなく、費用面についてもあらかじめ理解しておくことが大切です。このセクションでは、小細胞肺がんの治療費の全体的な目安と、利用できる公的な支援制度について解説します。治療に伴う経済的な不安を軽減するためにも、利用可能な制度を把握しておきましょう。

入院・外来治療にかかる費用の目安

小細胞肺がんの治療費は、治療の内容・病期(がんの進行の段階)・入院日数・使用する薬剤などによって大きく異なります。化学療法は複数回のサイクル(周期)を繰り返すことが多く、1サイクルごとに入院または外来での治療が行われます。

健康保険が適用される治療であれば、患者さんが実際に支払う金額は医療費の一部(自己負担割合)となります。日本の公的医療保険では、一般的に医療費の3割が自己負担となりますが、年齢や所得によって異なる場合があります。

放射線治療も保険適用の対象となることが多く、治療ごとに費用が発生します。複数回の放射線照射が必要な場合は、その分の費用が累積します。また、入院中の食事代・差額ベッド代(個室などを利用した場合の追加費用)は保険の対象外となるため、別途費用が生じます。免疫チェックポイント阻害薬など、一部の薬剤については保険適用の可否や条件が定められており、担当医や医療機関の窓口に確認することが大切です。

高額療養費制度の活用で自己負担を抑える方法

医療費の負担が大きくなる場合、「高額療養費制度」を活用することができます。これは、同じ月に支払った医療費の自己負担額が一定の上限(自己負担限度額)を超えた場合に、超えた分が後から払い戻される制度です。手術や入院、高額な薬剤を使用する治療などで医療費が高額になった場合でも、この制度を利用することで経済的な負担を軽減できる可能性があります。なお、上限額は年齢や所得によって異なり、所得区分ごとに細かく設定されています。

申請は加入している健康保険(健康保険組合・協会けんぽ・国民健康保険など)の窓口または市区町村の窓口で行います。事前に「限度額適用認定証」を取得して医療機関に提示すると、窓口での支払いをあらかじめ上限額に抑えることもできます。高額な治療を受ける予定がある場合は、事前に手続きを済ませておくことで、一時的な支払い負担を軽減しやすくなるでしょう。また、マイナ保険証に対応している医療機関では、限度額適用認定証がなくても自己負担限度額までの支払いとなる場合があります。

また、長期間にわたって治療が続く場合は、複数月にわたる自己負担を合算して払い戻しを受けられる「多数回該当」の仕組みも利用できます。1年間のうちに3ヶ月以上、自己負担限度額に達した場合は、4ヶ月目から上限額がさらに引き下げられるため、継続的な治療が必要な患者さんにとって心強い制度といえるでしょう。治療内容によっては長期間にわたり医療費がかかることもあるため、利用できる制度をあらかじめ把握しておくことが大切です。制度の詳細は、加入している保険の窓口や、医療機関のソーシャルワーカーに相談することをおすすめします。特に治療費への不安がある場合は、早めに相談することで利用可能な支援制度について詳しい説明を受けられるでしょう。

まとめ

小細胞肺がんは進行が速く、治療が長期に及ぶこともある病気です。しかし、禁煙による発症リスクの低減・早期発見・適切な治療の選択・公的支援制度の活用など、患者さん自身が取り組める行動は数多くあります。「気になる症状がある」「診断を受けた直後で不安が大きい」という方は、まず呼吸器内科や腫瘍内科のある医療機関に相談されることをおすすめします。一人で悩まず、医療チームやサポート窓口を積極的に頼りながら、治療と生活を前向きに続けていただければと思います。

参考文献

厚生労働省「傷病手当金について」
国立がん研究センター がん情報サービス「小細胞肺がん」
国立がん研究センター がん情報サービス「肺がんの統計」
厚生労働省「健康・医療高額療養費制度を利用される皆さまへ」 国立がん研究センター がん情報サービス「がんと診断されたあなたに知ってほしいこと」
配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。