
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『単純だけど、こういうので生きてる。』を紹介する。作者の孤太郎さんが、5月30日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、2000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、『体調…じゃなくて気分が悪いのでお休みします。 あなたが今日を生きのびるための58のヒント』(徳間書店刊)の作者としても知られる、孤太郎さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■仕事がつらく辞めたいと思っていたときに届いた知らせ

仕事がつらく、書類も溜まっている状況で「もう辞めたい…」と感じているうさみぃちゃん。しかし、推しのライブ開催が決定したという朗報が届く。
知らせを受けたうさみぃちゃんは、「チケット代稼ぐぞぉぉぉ!!」と仕事のつらさや辞めたいと思っていた気持ちも吹き飛びやる気を出す。ライブが終わり、喪失感と共に「明日からどうやって生きよう…」とテンションが下がってしまうが…。
このエピソードを読んだ人たちからは、「このマインドで生きている」「目標があることは素敵」「新しく何か見つけたい」「まるで私の1年」など、多くのコメントが寄せられている。
■作者・孤太郎さん「「人って意外と単純だけど、だからこそ毎日を頑張れるんだな」という気持ちを作品にしました」

――『単純だけど、こういうので生きてる。』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
1日の終わりにNetflixを観る時間が毎日の楽しみになっています。「今日はあの続きを観よう」と思うだけで、もうひと頑張りできる日も少なくありません。そんな中、SNSで「推しがいるから仕事を頑張れる」「ライブがあるから毎日生きられる」といった投稿をよく目にし、「楽しみにしているものを励みに毎日を頑張る」という点では、どこか自分にも通じるものがあると感じました。ライブが終わると落ち込んでしまうのに、追加公演が発表された途端に「また仕事を頑張ろう!」と前向きになれる。その感情の切り替わりが、とても人間らしく、どこか微笑ましく感じられ、「人って意外と単純だけど、だからこそ毎日を頑張れるんだな」という気持ちを作品にしました。
――本作では、“推し”の存在で日々頑張っているうさみぃちゃんの姿が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
この作品で描きたかったのは、「推し活」そのものではなく、人の気持ちが切り替わる瞬間です。仕事がつらくて「もう辞めたい」と思っていたのに、推しから少し良いニュースが届いただけで、「チケット代を稼ぐぞ!」と一気に前向きになる。こうした感情の動きは、推しに限らず、美味しいご飯や旅行、週末の予定など、誰にでもあることだと思います。この作品を通して、毎日を必死に過ごしている自分自身の姿も、少し客観的に見てもらえたら嬉しいです。小さな楽しみを励みに頑張っている自分の姿は、案外けなげで、思っているより悪くないものなのかもしれません。
――孤太郎さんのなかで特に気に入っているエピソードがあれば、理由と共にお教えください。
『気分に勝てない』という作品です。週末に頑張って作り置きをしたものの、「今日は好きなものを食べたい」「今日は作り置きじゃない気分」と、その日の気分を理由に結局、別のものを食べてしまう。そして数日後、ほとんど減っていないタッパーを見つめながら、「作った時は食べる気だったんだけどな……」と思う、そんな日常を描いた作品です。理屈では「作り置きを食べた方がいい」と分かっていても、気分にはなかなか勝てない。そんな誰もが経験したことのある「気持ちの弱さ」を描けた作品だと思っています。SNSでも「まさに自分です」といったコメントをたくさんいただき、印象に残っている作品です。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
普段はフルタイムで働きながら創作を続けているため、作品の多くは日々の生活の中から生まれています。仕事中や通勤中、家で過ごしている時間など、「なんで自分はこんな行動をしたんだろう?」と気になったことを掘り下げていくうちに、作品になることが多いです。一見すると何気ない出来事でも、少し視点を変えると「言われてみれば、自分もやっているかも」と思える瞬間があります。そうした日常の小さな気づきを、共感できる漫画として形にしています。
――孤太郎さんの作品は、共感する内容が多くまるで自分のことのように感じます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
「あるある」を描くことよりも、「言われてみれば、自分もやっている」と気付いてもらえる作品を目指しています。ありふれた日常でも、少し見方を変えるだけで面白さや新しい発見が見えてくることがあります。また、読んだあとに少し肩の力が抜けたり、「自分だけじゃなかった」と安心できたりするような終わり方になるよう心がけています。キャラクターも完璧には描かず、少し抜けていたり、弱い部分があったりする「等身大の姿」を大切にしています。その方が読者の方も自然と自分を重ねられるのではないかと思っています。
――今後の展望や目標をお教えください。
これからもSNSを中心に作品を発表しながら、書籍やキャラクター展開など、作品を届けられる場所を少しずつ広げていきたいと考えています。最近は海外の方から反応をいただくこともあり、日本だけでなく、国や言語を越えて共感していただける作品を届けることも目標の一つです。くまみというキャラクターが、漫画だけでなく、さまざまな形で多くの方の日常に寄り添える存在になれたら嬉しいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも応援してくださり、本当にありがとうございます!作品への感想や、キャラクターへの温かいコメントをいただくたびに、「描いてよかった」と励まされています。これからも、日常の中にある小さな感情や、「言われてみれば」と思える瞬間を大切にしながら、クスッと笑えて、少しだけ心が軽くなる作品を描き続けていきたいと思っています。疲れた日にふと思い出していただけるような作品を届けられるよう、これからも頑張りますので、温かく見守っていただけたら嬉しいです。

