胸郭出口症候群は首と胸の境界にある胸郭出口という部位が、腕を酷使することによって圧迫されてしまう病気です。
発症原因を理解して日常的に予防を行うことがおすすめです。
そこでこの記事では胸郭出口症候群の検査法と治療法をご紹介します。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
胸郭出口症候群の診断と治療

初期症状や受診する目安を教えてください。
初期症状である弱い痛みを感じる段階では、個人の判断で見極めることは困難です。しかし痺れるような感覚が増してきたら神経に障害をきたしている可能性があるので、受診することをおすすめします。また手先が冷えたり肩や腕が腫れた場合には、症状がやや進行していることが考えられます。
一時的な痛みはさまざまな原因で発症することはありますが、微々たる違和感でも長期間続くようであれば医師に相談をしてみましょう。その際、どこの部位にどのような痛みを感じたかを覚えておくようにしてください。
胸郭出口症候群の診断はどのように行うのでしょうか?
最初に原因を探るために、医師が指定した動作を問題なく行えるかを試す誘発試験を実施します。その後X線や超音波を用いて、骨の異常や血管の損傷がないかを確認したのち、CTスキャンで断面画像を取得するまでが基本的な流れです。
また筋肉の運動能力に低下がみられる場合は、「筋電図(EMG)」を用いて筋肉からの電気信号が正常かを確認する方法も実践されることがあります。
詳しい検査内容が知りたいです。
まずは腕や肩のどのあたりにしびれを感じるかを特定します。神経に影響を与えるような腫瘤が発生していないか、触れられた箇所の感覚に違和感がないかなどを調べることで、神経の圧迫度合いを判断する指標としていきます。
そしてこれらの結果や診断内容を踏まえ、圧迫の原因を物理的に除去したほうがいい場合には手術を、薬の投与やリハビリで解消できるレベルであれば整体での施術に分かれることが一般的です。
胸郭出口症候群はどのような治療をしますか?
手術を行うときは、胸郭出口の圧迫に最も関与している第1肋骨を切除することが最も効果的です。
薬での治療は腫れや炎症を抑える抗炎症剤を基本に、筋肉の痙攣や痛みを鎮める筋弛緩薬、血栓が発生しているときに投与する血栓溶解薬などが処方されます。
症状が軽い段階ではテーピングで筋肉の働きを維持し、セルフケアのマッサージ方法を共有するだけで済むこともあります。
編集部まとめ

病名や症状を聞くと恐怖心を抱くかもしれませんが、日常に潜む根本の原因を冷静に解消していけば防げるものです。デスクワークや運動も過度にやりすぎることが禁物だと理解できたのではないでしょうか。
この記事を読まれた方は1日3分でも肩や首のマッサージを行い、正しい姿勢を意識する習慣を身に着けてみてはいかがでしょうか。痛みや冷えに悩まされない毎日を過ごしていきましょう。
参考文献
「胸郭出口症候群」|日本整形外科学会
胸郭出口症候群診断上の問題点
胸郭出口症候群|済生会

