
妻のひまわりは誰からも愛される笑顔の似合う女性だった。しかし、結婚10周年、夫婦そろって30歳を迎えたばかりだというのに、現在の妻はまるで老婆のように歳を取っていた。



「気味悪いったら」「あのおばあさんも30歳」と近所の主婦たちは興味本位の視線を送る。夫は周囲の目を気にせず妻を大切にするのだが、どうしてもできないことがあった。それは、急激に老いていく妻の顔を直視すること。「俺は…老いが恐ろしい」と妻に隠れ、呜咽していた。
■「としとしあわせ」に込められた夫婦の幸福
本作の作者は、2017年冬期のゲッサン新人賞(小学館)や、2021年5月期の新世代サンデー賞(小学館)で佳作を受賞した経歴を持つ墨染清(@sumizomesei)さんだ。「老い」について描いた本作のタイトル『としとしあわせ』は、「歳と幸せ」と、夫婦が手を取り合う「歳歳合わせ」をかけたものだという。
「無情に訪れる『老い』ですが、伝えたいことは『夫婦の幸福』でしたから、幸せを感じられるタイトルにしたいという想いがまずはじめにありました」と墨染さんは語る。
読者からは「残酷だけど、美しすぎる物語」「涙腺が崩壊した」という賛辞が相次いだ。この大反響について墨染さんは、「自分が老いることよりも、大事な人が老いて弱る姿を見る方がよほどつらいと昔から強く感じていて、その苦痛を当時の私なりに精いっぱい詰め込んだ作品です。この思いを受け止めてくれる人はいるのかと不安に感じていましたので、たくさんのご感想をいただけて、驚いたと同時に心からうれしかったのを覚えています」と振り返る。
取材協力:墨染清(@sumizomesei)
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