
障害が原因でクレジットカードが使えなくなった際、現金を所持していなかったらどうなる?(画像はイメージ)
【画像】これがクレカ「不正利用」されても“補償”が受けられない3つのケースです!
クレジットカードや電子マネー、スマホ決済での支払いが可能な店が増え、キャッシュレス決済を多用するようになった人は多いのではないでしょうか。
そんな中、7月16日に一部のクレジットカードで決済できなくなる障害が一時的に発生し、SNS上では「クレカ使えなくて詰んだ」「現金持っていない」といった声が多く上がるなど、大きな混乱が生じました。
もし飲食店の利用時、キャッシュレス決済が使用できなくなった際に現金を一切持っていなかった場合、客は法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士が解説します。
支払いに関するトラブルは客と店との間の契約上の問題
飲食店で飲食をした後、会計時にクレジットカードの障害でキャッシュレス決済が一切使用できず、支払いに必要な現金を持っていなかった場合の法的責任ですが、そもそも、支払いに関するトラブルはあくまで、店と客との間の契約上の問題です。
店で飲食をしたり、何らかのサービスを受けたりしたにもかかわらず、その場で現金で支払わなかった場合、その時点で、客は民事上の契約不履行による損害賠償責任を問われますが、刑事責任を問われることはほとんどありません。
そのため、客がその場で現金で支払わないことを理由に店側が警察に通報した場合でも、警察は刑事事件として扱わず、「民事不介入」の原則に従って、当事者間での話し合いを求めるでしょう。ただし、客が支払いを免れようという意図で「後日支払う」と店を出て、その後、支払わなかった場合、客は刑法246条の詐欺罪に問われる可能性があります。詐欺罪の法定刑は10年以下の拘禁刑です。
現金を持っていない客に「今すぐ現金で支払え」「商品のキャンセルは認めない」などと言って、その場で現金での支払いを威嚇して強要した場合、店側が脅迫罪などの刑事責任を問われる可能性があります。
客が現金を持っていないのであれば、現金を自宅に取りに帰らせるのが現実的ではないでしょうか。その際は、料金の未払いを防ぐために電話番号やメールアドレスなどの連絡先を聞くのがよいでしょう。情報の使用目的が明らかであれば、店が客に連絡先を聞いても個人情報保護法に違反しないと思います。
客が支払いの猶予を求め、その後、支払いに応じなかった行為は単なる支払い義務の不履行であり、民事上の責任となります。客が最初から、だます意図で店のサービスを受けたなどの事情がない限り、詐欺罪として刑事責任を問うのは難しいと思います。そのため、店側が警察に被害届を出したとしても受理されない可能性が高いでしょう。
キャッシュレス決済のシステムや端末に不具合が生じて集客などに影響があった場合、店側は決済サービスの運営会社に補償を求めることができるか気になる人もいるでしょう。
結論としては、店側が損害を被っている以上、理論的には損害賠償請求ができますが、そもそも店側が実際に被った損害の証明が難しく、損害の証明ができたとしても決済サービスの利用規約で決済サービス提供会社の損害賠償責任に上限金額を設定したり、「免責」を設けたりしている場合があります。完全な補償を請求するのは難しいのではないでしょうか。
キャッシュレス決済は便利なものですが、トラブルも起こり得ます。店側はトラブル時の対応をあらかじめ考えておくべきですし、客の側も買い物の際は最低限の現金は持っておく心構えがあった方がよいでしょう。
