
共感を拒む女優と、他人の感情に寄り添う心理カウンセラーが不思議な“感情の共有”現象を通して互いの心を癒やしていくファンタジー・ロマンス「恋する共感細胞」が配信中。同作で崖っぷちに立たされた元トップアイドルにして女優のユ・ジアンを演じているのが、現在29歳の女優カン・ミナだ。子役時代から演技を始め、すでにキャリアはデビューから17年を迎えた。その歩みを、ターニングポイントとなった作品とともに振り返る。
■独立映画で異例の反響 演技賞も獲得
幼少期からCMモデルやエキストラとして活動していたミナ。本格的な俳優デビューは2009年で、この年、12歳の頃に主演を務めた短編映画「海で」を正式なデビュー作としている。
初めてオーディションを受けてキャスティングされた2013年の時代劇ドラマ「チャン・オクチョン」では、キム・テヒ演じる“天下の悪女”オクチョンの少女期を演じ、“リトル・キム・テヒ”の愛称で親しまれた。最近出演した番組で当時について「どんなドラマかも知らずにオーディションを受けて、そこで初めてキム・テヒ先輩の少女期役だと知りました。中学生だった私にはとてもプレッシャーでした」と振り返っている。
その後も、学業と並行しながら年に映画1本、ドラマ1本ほどのペースで演技を続けた。大きな転機となった作品の一つが21歳のときに出演したインディーズ映画「パク・ファヨン」(2018年)。10代の不良少年少女たちの世界を描いたこの作品で、ミナは喫煙シーンを含む退廃的な役柄を体当たりで演じた。同作は、YouTubeのレビュー動画が大反響を呼び、独立映画としては異例の注目を集め、ミナ自身もこの作品で子役イメージから脱却。過去にキム・テリも受賞した「大韓民国大学映画祭」演技賞を獲得した。
■出世作「女神降臨」で主人公のチャーミングな友人役
こうして子役から大人の役者へと成長した彼女。20代に入ると人気ドラマに出演し、視聴者に広く認知される女優へと進化していく。
カン・ミナの名を広く知らせるきっかけになった出世作といえば、“顔天才”チャウヌの代表作の1つとしても知られる「女神降臨」(2020年)だ。同作でミナは、ムン・ガヨン演じるヒロイン・ジュギョンの友人で、明るく友達思いのスアを愛嬌(あいきょう)たっぷりに演じ、同作のマスコット的存在として視聴者に愛された。
2022年には、「ガウス電子~僕らの社内恋愛マニュアル~」でオフィスコメディーに挑戦。世界累計閲覧数26億回というメガヒットウェブトゥーンを原作とした同作で、ミナは主人公たちが在籍するマーケティング3部の社員コン・ガンミを演じた。自己管理が厳しい一方、お酒が入ると別人になってしまうガンミを、まるで原作から飛び出してきたかのようなシンクロ率で好演。コミカルなキャラクターを作り上げた。

■「恋する共感細胞」では自信満々の元トップアイドルに
2026年が、20代最後の年。2人の若きボクサーが裏社会の巨悪に立ち向かう「ブラッドハウンド」シーズン2では、初めての“悪役”ジナを演じた。全身タトゥーと濃いスモーキーメイクという強烈なビジュアルで、「女神降臨」のスアなどで見せてきた元気いっぱいのイメージから大きな転換をはかった。
そして、7月4日からディズニープラス スターで配信開始した最新作が、主演を務めるロマンス「恋する共感細胞」だ。
国民的アイドル出身の女優ユ・ジアン(ミナ)は、過去のトラウマから心を閉ざしていた。だが演技力不足を指摘されてしまい、心理カウンセラー・ウンファン(キム・ミョンス)のもとを訪れる。ウンファンのカウンセリングを受けた俳優たちは、共感力が高まり演技力も向上しているという。こうして出会った2人にある日、感情を共有する“トランスファー”という現象が起こり…というストーリーが展開する。
1週目から、元トップアイドル・ジアンの強気で自信に満ちあふれたキャラクターが魅力的に映し出された。有名監督にも一切媚びず、逆に監督の失礼な物言いに対して「監督さん、私のこと好きです? アンチは好きの裏返しなのよ。アンチが100万人いたから分かるの」「人気とお金の次は演技派俳優の肩書が欲しい。でもご安心ください。私も監督の映画に出る気は1mmもないので」と言い返し、その潔さに監督のほうがほれ込んでしまうという、元トップアイドルらしいたくましさで視聴者を引きつけた。
■趣味は編み物!YouTubeチャンネルも開設
自信満々の元トップアイドルという役柄をしっかり自分のものにして生き生きと演じているミナは、同作の制作発表会見に、ウンファン役のミョンス(INFINITE・エル)、ジアンのライバル女優ハン・イジン役のクォン・ソヒョン(元4Minute)と共に登壇。アイドル出身の2人に負けないポジティブなオーラを放ち、司会のパク・キョンリムから「カン・ミナさんもアイドル出身だったかしらと思って、調べちゃいましたよ」と声を掛けられたほど。
一方、ストーリーが進む中で、他人に共感することを拒んで生きてきた彼女の過去のトラウマがうかがえる描写も…。ジアンがどう成長し、変わっていくのか期待せずにいられない立ち上がりだ。
最近ハマっているのは編み物。2025年10月に開設した自身のYouTubeチャンネルでは「本業は俳優で、趣味は編み物です」という紹介文とともに、もっぱら編み物関連動画を投稿している。
2021年に公開された韓国の24時間ニュース専門チャンネルYTNのインタビューでは、「俳優という仕事に100%満足しています」「20代が終わるまでに『20代で一番演技がうまい女優』と言われるようになりたい」と目標を語っていたミナ。20代を締めくくるこの1年、成長を続ける彼女の進化から目が離せそうにない。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

