
ショップ店員をしていると、不審者や変質者が来店することも多々あるという。某デパートのアパレルショップで約10年働いていた経歴を持つゆき蔵(@yuki_zo_08)さんは、たびたび「危ない人」を見かけてきた。前回は、ショップ店員のスカートの中をスマートフォンで盗撮する客の話を紹介したが、それはまだまだ序の口だったようで、「ここからが本題です」とゆき蔵さんは切り出す。本当に「危ない人」というのは日常に紛れていて、普通の客のフリをして店を訪ねてくるのだと語る。



■普通の客を装う“ストッキング男”の異常性
ゆき蔵さんが働いていたのは、某デパート内にある女性の服飾品を取り扱う店舗だった。ある日、「同僚の女性への送別品」を探して来店した男性客がいた。彼の標的となったのは、いつもガーリーな服を着た“ゆるふわ”な雰囲気の女性店員、小鳥さんだった。
小鳥さんに声をかけた客は、送別品として「ストッキング」を購入したいと申し出た。「彼女、いつもストッキングを履いてて、よく伝線させてるので」と言う彼に対し、小鳥さんは「ストッキングは女性にとってアンダーウェアに近いので、同僚の女性への送別品にはどうかと…」とやんわりとアドバイスした。しかし彼は聞き入れず、すごい剣幕で言い返してきたため、小鳥さんは一旦退避した。だがこのあと、小鳥さんは店長に呼び出され、理不尽にも怒鳴られてしまうことになる。
■「自意識過剰なんじゃないの?」孤立する被害者
この日の出来事は、このあと待ち受ける恐怖のストーカー事件の単なる序章にすぎなかった。「また来るからそのときはきちんと対応するように」と店長に言い残して帰った“ストッキング男”は、予告通り、小鳥さんのシフトの時間帯を狙って来店を繰り返していく。
事態を重く見たゆき蔵さんたちはデパートの警備に連絡したが、「物理的に何かしてこない限りは何もできない」と返されてしまう。さらに店長に再三相談しても、「別にその方が営業妨害しているわけじゃないでしょ?」と冷たくあしらわれ、怖がる小鳥さん本人に対しても「自意識過剰なんじゃないの?」と言い放ったという。何か起きてからでは遅いと歯がゆい思いを抱えつつ、ゆき蔵さんは信頼できる別の上司に相談することにした。
■エスカレートする恐怖と正義感の代償
結果的に上の上司が動き、改善策をとってもらえたものの、店長を通さずに直接連絡をしたことで「告げ口だ」「偽善者だ」と怒られ、我慢の限界を迎えたゆき蔵さんは店頭で店長と怒鳴り合ってしまう。ただならぬ雰囲気に、フロアの課長まで駆けつけて止めに入る大失態を演じてしまった。
エスカレートしていく“ストッキング男”の行為によって、小鳥さんは恐怖のどん底へと突き落とされ、出勤することはおろか、通勤電車に乗ることすらできなくなっていった。事件の一部始終を漫画にしたゆき蔵さんは、作中で「声をあげるなら私も一緒に協力します」と小鳥さんにメールを送るシーンを描いているが、のちに自身の行動を振り返り「強い正義感なんて、ただの押し付けだと気付いた」と吐露している。事件のカタはついても、小鳥さんの傷は癒えることはない。同時に、ゆき蔵さんの心にも重いものを残したまま、事件は幕を下ろした。
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