
オードリー・春日俊彰がBSフジのロケ番組『わがまち散歩』に出演し、かつて長い下積み時代を過ごした思い出の街・阿佐ヶ谷を訪れた。番組では売れない若手時代を過ごした名物アパート「むつみ荘」周辺や、馴染みの商店街を巡るロケの放送回が7月21日(火)に放送予定。思い出の町を練り歩いたロケを終えたばかりの春日に、WEBザテレビジョンが直撃インタビュー。20年の時を経て感じた街の変化や、笑い話に昇華した驚愕の貧乏メシエピソード、さらには熱いテレビ論から相方・若林正恭の直木賞ノミネートへの本音まで、「春日節」全開でたっぷりと語ってもらった。
■20年の時を経て大凱旋!今だから気づいた、あの頃の“モヤモヤ”

ーー本日の収録、思い出の街・阿佐ヶ谷を久々に歩いてみていかがでしたか?
春日:やっぱり、街は20年進んでましたね。阿佐ヶ谷をテレビのロケーションで回られる、来ることができたというのは非常に喜ばしいことです。本当によく行ってた場所、生活圏を巡って、いろいろと変化も感じました。
あの頃って、テレビに出ていない時代が「つらかった」という感覚ははなかったんですよ。でもやっぱり、今に比べたら「あの頃は晴れやかではなかったんだな」って、今回歩いてみて気づかされましたね。当時は必死で気づかなかったけど、何かモヤモヤしてたんだろうなって。そういった感覚の発見がありました。
ーーロケ中、商店街でも住宅街でも、すれ違う方々がすごく親しみを持って春日さんを歓迎しているのが印象的でした。春日さんにとって、阿佐ヶ谷の街の方々はどんな存在ですか?
春日:町の人の反応がありがたいですよね。テレビに出る前から「阿佐ヶ谷、阿佐ヶ谷」って普通に言ってましたから、それを街の方も知ってくれていて、「身内感」を持って応援してくれていたんだなと。
今日のロケでも調子に乗って「ただいま!」なんて言ってみたんですけど、「え?」ってなる人が誰もいなくて、みんな「お帰り!」って空気で合わせてくれたんですよ。おかげで恥をかかずに済みました(笑)。テレビでよく見る「スターの大凱旋」みたいなのをちょっとふざけてやってみたら、本当に温かく迎えてくれて。本当に良い街ですよ。
――今の春日さんは阿佐ヶ谷が生んだスターだと思いますよ。
春日:「阿佐ヶ谷を離れて7年ほど経ちますが、今でもこんなに街に愛されてるんだっていう『スターの風格』をぜひ見てほしいですね(笑)」
■アメジュース、パンの耳定食…春日流・合理的(?)な貧乏生活の裏側

ーー昔の阿佐ヶ谷は貧乏学生や俳優、劇団員など、何かを目指す若者が集まる街というイメージがありましたが、春日さんから見て当時はどんな街でしたか?
春日: 当時もまさにそういう街でしたね。私が「むつみ荘」に決める前、駅前の不動産屋さんで物件をいろいろ見せてもらったんですけど、むつみ荘よりも全然もっと過酷な部屋がたくさんありましたから(笑)。今はあまり見ないコインシャワーや古い銭湯、コインランドリーもたくさんあって。物価も安いですし、何かをやりたいっていう若者を受け入れてくれる、住みやすい街でしたね。
ーー春日さんといえば節約家のイメージもあります。若い頃の苦労話や貧乏エピソードは今聞いても面白いですが、当時の貧乏エピソード・節約エピソードはありますか?
春日:私はね、好きでやっていて、当時は必死で泣く泣くやってたわけじゃないんですよ。人から言われて初めて「それおかしいよ」って気づくことが多くて。たとえば、よくテレビでも話してますけれど「アメジュース」。ジュースは高くて買えないけど飲みたい。「ジュースって原液を水で薄めてるよな」「じゃあアメ玉を水に溶かせばいいじゃん」という思考です。ペットボトルにアメ玉を3〜4粒入れて一晩置いておくと、だいぶ薄味ですけどオレンジジュースができる。自分の中では非常に合理的だったんですよ。
ーー実は私(インタビューアー)も貧乏学生時代、電気ポットで米を炊きながら同時にレトルトカレーを温めたり、いろいろ工夫していました。
春日:それは素晴らしい、まさにそういうことですよ! 私もスパゲッティの麺を100円ショップで500g買ってきて、100円のミートソースで食べていたんですけど、麺の上に乗せちゃうとソースが残ってもったいないじゃないですか。だから、どんぶりにソースを入れて、麺の先だけをちょっと浸して食べる「つけ麺スタイル」で食べていました。これだと1つのソースで3束(1.5kg)はいけるんです(笑)。
ーーそれはまるでパスタの「半身浴つけ麺スタイル」ですね(笑)。
春日: いや、半身浴どころか「足湯」ですよ(笑)。
(一同爆笑)
春日: あとはパン屋さんでパンの耳をもらってきて、ちぎってケチャップで和えて「ケチャップライス風」にしたり、お湯に味噌を溶かしてパンの耳を具にした味噌汁を作ったり。「パンの耳定食」なんて言って作っていましたね。
■「極端な話、何も起きない」テレビ狂の春日が愛する、BS番組の“心地よさ”

ーー春日さんはラジオなどでも「普段からBSの番組をよく見ている」とお話しされていますよね。今回、ご自身もBSのロケ番組に出演してみて、改めてBS番組の魅力はどこにあると感じましたか?
春日: そうなんですよ、私は家ではほとんどBSの録画番組しか見てなくて。地上波の散歩番組だったら、いろんなお店に立ち寄って、ちょっと光るスポットを紹介するような「点」があるじゃないですか。でも、BSの番組って、極端な話「何も起きない」んです(笑)。光る「点」どころかずっと豆電球1個の薄明かりのまま、なだらかに進んでいく。「あそこに何かあるね,、何だろうね」って言いながら、最後に蕎麦を食べて終わるような。
ーーその「何も起きないフォーマット」が心地いいんでしょうか。
春日:そう、演者の誰も派手なことを起こしようとしていないし、思ったままを話している。地上波ならカットするような間(ま)も、編集でそのまま使われていたりする。「緩い」というよりは、「心地がよい」んです。番組全体から “人肌の温かさ” を感じるというか。打ち上げ花火のような派手さではなく、線香花火の綺麗な見せ方をすごく工夫している。そこが面白いし、今日のロケも、いい意味で何も考えずに身を委ねて、自由に楽しくお話しさせてもらいました。
■相方・若林の直木賞ノミネートに驚愕「中2からの同級生が作家に…面白すぎるでしょ」
ーー相方の若林さんのエッセイ本が直木賞にノミネートされ、文化界隈でも非常に注目を集めています。相方として、この報せを聞いたときはどう思われましたか?
春日: いやあ、驚きましたよね。本人からも事務所からも事前に何も知らされていなくて、本当に世間と同じタイミングで知ったんですよ。朝起きたら、妻から「なんか若林さんが大変なことになってるよ」って言われて、テレビを見たら山里(亮太)さんが朝の情報番組でめちゃくちゃ息巻いていて(笑)。やっぱり驚きましたね。
ーー放送される頃には結果が出ているかと思いますが、やはり期待は大きいですか?
春日: ここまで来たらぜひ取ってほしいですよ! だって、中2からの同級生の男が直木賞作家になるって、単純に「面白すぎるじゃないですか」(笑)。ワクワクしますよ、「何それ!?」って。だって男子校時代、夏に裸に(アメフトの)ショルダーとメットだけつけて、遊びでタックルし合っていたような男がですよ? そんな男が直木賞作家になるなんて、ちょっと面白すぎます。もし私が審査員なら、ダントツで若林くんに一票入れますね(笑)。
ーー今回の阿佐ヶ谷ロケ、これまでエピソードトークで語られてきた数々の思い出が、実際の「映像」として見られる貴重な機会になりますね。
春日: そうですね。今まで話してきたことが嘘じゃなかったんだっていう「裏取り」としても、ぜひ『わがまち散歩』の春日回を楽しんで見ていただきたいです(笑)。
(取材・文/WEBザテレビジョン 編集長)

