息子が1歳のころ、百貨店へ行ったときの出来事です。混雑したエレベーターに乗ろうと、ベビーカーを押して待っていた私。すると……。
「階段を使え!」と怒鳴られ…
後ろから来た年配の男性が「ベビーカーは場所を取るんだから、階段を使え。邪魔だ!」と大きな声で怒鳴ってきたのです。突然の暴言にショックを受けた私は、周囲の目も気になり、「すみません……」とうつむいてその場を離れようとしました。
しかしその瞬間、一緒に待っていた周囲の方々が、一斉に声を上げてくれたのです。隣にいた女性は「ここは優先エレベーターですよ。ベビーカーの方が利用するのは当然です」ときっぱり。近くにいた会社員風の男性も「そんな言い方はないでしょう。みんなで譲り合えば乗れますから」と、その男性をたしなめてくれました。
さらに、ちょうど到着したエレベーターに乗っていた方々も「大丈夫ですよ、どうぞ入ってください」と言い、私たちのためにスペースを空けて招き入れてくださったのです。
ひとりの心ない言葉に心が折れそうになりましたが、多くの方々が「あなたは間違っていない」と示してくれたことで、涙が出るほど救われました。怒鳴っていた男性はまさか周囲から次々にたしなめられるとは思っていなかったのか、「え……」と小さくつぶやき、みるみる顔を青ざめさせました。
そして、気まずそうに目をそらすと、何も言わずその場を去っていったのです。周囲は温かい空気に包まれました。
周りの方々の毅然とした対応のおかげで、萎縮していた気持ちは「社会に守られている」という安心感に変わりました。私も誰かが困っていたら、あのときの皆さんのように、迷わず味方になれる人でありたいと思っています。
◇ ◇ ◇
ベビーカーでの移動中、心ない言葉を向けられると、外出そのものが怖くなってしまうこともありますよね。エレベーターはベビーカーや小さな子ども連れの人にとって必要な移動手段のひとつ。
公共の場では、さまざまな事情を抱えた人が同じ場所を利用しています。困っている人を見かけたときは、無理のない範囲で声をかけたり、見守ったりできるといいですね。
著者:佐々木佳代/30代 女性・フリーランス。3歳の息子を育てる母。仕事と育児の両立に奮闘する日々のなか、週末に家族でカフェ巡りをするのが息抜き。
イラスト:さくら
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)

