息子が5歳のころ、家族で新幹線に乗って旅行へ出かけたときのことです。私たちは早めに指定席を予約し、窓側の席を取っていました。息子は何日も前から景色を見ることを楽しみにしており、当日も窓の外をじっと眺めていました。
突然、席を譲ってほしいと言われ……
発車してしばらくすると、通路を挟んだ反対側に座っていた親子のお母さんから声をかけられました。「すみません。息子がどうしても富士山を窓から見たいと言っていて、もしよければ窓側の席を譲っていただけませんか?」
そう、この新幹線の窓からは、区間によって富士山をきれいに眺めることができます。相手の親子が座っていたのは反対側の席だったため、富士山が見えるこちら側の窓側席と代わってほしい、というお願いでした。
富士山がきれいに見えるのは私たちが座っている側だったので、その区間だけでも、うちの息子の窓側席と代わってほしいとのことでした。
同じ年ごろの子を持つ親として、気持ちはとてもよくわかりますが、うちの息子もこの席をずっと楽しみにしていました。私は少し迷いましたが、相手のお母さんにこう伝えました。
「すみません。うちの子も何日も前から富士山を見るのを楽しみにしていて……。今回はごめんなさい」すると相手のお母さんは、少し残念そうではありましたが、「こちらこそ、急にお願いしてしまってすみません」と笑顔で席へ戻っていきました。
お互いに気まずくならずに
その後、息子は無事に窓から富士山を見ることができ、「見えた!」と大喜びしていました。相手の親子は富士山を見ることはできなかったものの、反対側の窓から見える山や町並みを眺めながら楽しそうに話していました。息子さんが景色を指さして笑っている姿を見て、私も少しほっとしました。
席を代わらなかったことで気まずくなるのではないかと心配しましたが、相手の親子も最後まで穏やかで、お互いに嫌な空気になることはありませんでした。
相手からお願いされたときには、できる範囲で応えたいと思います。けれど、自分たちにも大切にしている予定や楽しみがある場合は、無理に譲らなくてもいいのだと感じました。
大切なのは、ただ断るのではなく、理由をきちんと伝えること。丁寧な言葉でやり取りすれば、お互いに気持ちよく過ごせることもあるのだと学んだ出来事でした。
著者:佐藤 美紀/30代女性/主婦です。休日は家族で出かけることが多く、公園やイベント巡りを楽しんでいます。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)
※AI生成画像を使用しています

